こんにちは、C-HR FANです。
2018-05-11
【みん友限定】 ヒューズボックスから電源をとるには (1) ヒューズの向きに注意しよう
2018-08-01
【みん友限定】 ヒューズボックスから電源をとるには (2) どのヒューズを選ぶか
に続く第3段です。シリーズ的な感じとなってきたので、上記の(1)や(2)は少しタイトルも変更して内容がわかりやすいようにしました。
専門家ではなく、頭の中で考えた事をブログでつらつらと書いていますが、電装DIYに詳しい方々からも大きな批判が今の所ありません(個人的にメッセージで議論をさせていただいたりもしています)ので、そんなに間違っていないのかなと勝手に思っています。
さて今回は「(3) ヒューズの容量は合わせよう」です。
下の写真のように、ヒューズには容量はいくつかありますね。C-HRの助手席下のヒューズボックスでは20A (黄)・15A (青)・10A (赤)・7.5A (濃茶)・5A (うすい茶)があります。
ヒューズボックスのヒューズを抜いて、電源取りだし用のヒューズ(ヒューズ電源)を挿す場合、同じ容量のヒューズを挿すようにとされています。
たとえば、
DIYラボ「ヒューズ電源の種類と選び方」ではヒューズ電源と取り付ける場合
「差し替えようとしている純正ヒューズと同じ数字」を選びます。
と当然のように書かれています。
あーそんなんだ、そういうルール(決まり)があるんだなと、何の疑問もなく過ごしてきました。
最近、みん友さんからヒューズボックスからの電源の取り出しについて質問されたり、相談を受けたりしている時に決められた容量と違うヒューズ電源を取り付けた場合、どうなるんだろうという疑問がわいてきました。
いままで疑問を持たずにやってきたんですが、これを機会に少し考えて知識を整理しようと思いました。そして私なりに整理した事をご紹介しようと思った次第です(エキスパートの方々には当たり前の事が書かれているかもしれませんので、いつものようにエキスパートの方々はスルーして下さい)。
下図は一般的なヒューズボックスの構成についてイラストにしてみました。
C-HRではエンジンルームに設置されているバッテリーのプラス端子から純正電装品に向けて配線されていますが、過剰な電流が流れた場合に純正電装品を保護する目的で途中にヒューズが設けられています(こういう板状のヒューズはブレードヒューズと呼ぶそうです)。
純正電装品によってとりつけるヒューズの容量が決められていて、より多くの電流を消費する電装品の場合大きいヒューズが取り付けられる事になります。図では15Aのヒューズポート(土台・枠ですね)に設定され、それに対して15Aのヒューズが挿し込まれています。
このヒューズの場合、15A以上の電流が一時的にも流れればヒューズが切れて純正電装品側に電流が流れなくなるかわりに、純正電装品が壊れるのを防ぎます。
そして、ヒューズボックスから追加で電装品を取り付けるために電源を分岐する際には、下図のように、(a) ヒューズを純正電装品側に渡ってから分岐配線を出す方法と
(b) ヒューズを純正電装品側に渡る前に分岐配線を出す方法の2通りがありますが、
(b) ヒューズを電装品側に渡る前に分岐配線を出す方法の方が推奨されると
【みん友限定】 ヒューズボックスから電源をとるには (1) ヒューズの向きに注意しようで説明しました。
ヒューズ電源についての基本知識は上記の通りですが。
今回は元々のヒューズと容量が違うヒューズを挿した場合どうなるかについて考察します。
元々のヒューズと容量が違う場合、大きく分けて(I)容量が大きいヒューズを挿す場合と(II)容量が小さいヒューズを挿す場合の2通りの場合がありますので、今回それぞれについて整理してみました。
(I) 設定された容量よりも大きな容量のヒューズを取り付けた場合
たとえば15Aのヒューズを取り付けるように設定されたヒューズポートに20Aのヒューズを挿入した場合について考えます。
この場合問題になるのは、純正電装品に設定された電流量(ここでは15A)以上の電流が流れる可能性があるという事です。上図ではヒューズボックスに挿したヒューズは20Aですので、15Aに設定された純正電装品に向かって何らかの原因で15Aの電流が流れてもヒューズが切れません。
したがって
純正電装品に対して設定した電流負荷以上の電流負荷がかかる可能性があり、過電流の負荷により純正電装品が壊れる(破損する)恐れが生じます。
しかし、現実にはそのような危険性は少ないです。
というのも、
純正電装品が使用する電流量は、設定されたヒューズよりもかなり少ないからです。
DIYラボの「車のヒューズから取れる電源容量。限界は何アンペア?」では
純正電装品に対するヒューズにはあらかじめ実際に流れる電流の約3倍のマージン(余白・余剰)が取られているそうなんですね。したがって15Aのヒューズが入っている回路には、実際に(純正電装品に)流れる電流量は5Aそこそこしか流れていないという事になります。
しかし、何らかの原因で規格以上の電流が流れ(過電流)、その際にヒューズが切れずに電流が遮断されないと、純正電装品が破損する恐れがあるとともに、後で述べますが配線の加熱などにより車両火災が起きる恐れがあります。これは怖いですね。
(II) 設定された容量よりも小さな容量のヒューズを取り付けた場合
逆に設定電流量よりも小さいヒューズを挿した場合どうなるでしょうか?
下図は15Aのヒューズポートに10Aのヒューズ電源を挿しています。この場合、純正電装品側へは元々15Aの電流を供給可能ですが、10Aのヒューズで橋渡しをしているので、10A以上の電流が流れるだけでヒューズが切れてしまいます。
しかし前述のように純正電装品への電流は約3倍のマージンが設定されている事が多いので15Aのヒューズポートに対しては通常5A程度しか流れていません。したがって10Aのヒューズ電源を挿しても直ちにヒューズが切れる事はないはずです。逆に純正電装品が10A以上の電流を使っているのであれば、15Aのヒューズポートに10Aのヒューズ電源を挿せばすぐにヒューズが切れるので、ヒューズ電源を挿して通電した直後にヒューズが切れなければ当面は大丈夫という事になります。ただし、純正電装品への電流が何らかの理由で10Aを超えヒューズが切れると純正電装品が作動しなくなるので注意が必要です。
また純正電装品へのヒューズが切れた場合、C-HRなど最近の車両はCAN (Controller Area Network)通信で管理されていて、CAN通信で管理されている純正電装品のヒューズが切れると最悪車両を動かせなくなったりする場合があります。この点からECUなどと書かれたヒューズポートから電源を分岐するのはできれば避けた方がいいでしょう。
またイラストでは15Aのヒューズポートに10Aのヒューズ電源を挿していますが、
例えば15Aのヒューズポートに5Aのヒューズ電源を挿した場合はマージンぎりぎりなので、いつヒューズが切れてもおかしくない状態になります。
【補足】
市販されているヒューズ電源では15A・10A・7.5Aのヒューズ電源から5Aの電源を分岐できるようになっていますが、
ここで注意して欲しいのはヒューズだけでなく、配線にも容量があるという事です。これを忘れると思わぬトラブルに遭遇する事になります。
DIYラボ「増設シガーソケット用の電源を、ヒューズから取る場合の注意点」では以下の表のように、配線の太さによって流せる電流量(最大電流量)が決まっていると書かれています。
電装品のDIYでよく用いられる細線の太さは0.2スケア (square: sq)ですが、細線の最大電流許容量は2.5Aで5Aではない事に注意しておいて下さい。0.2sqの細線に5A近くの電流を流すと細線が溶けてしまう(最悪車両火災の)恐れがあります。
またヒューズポートからヒューズ電源で電源を取り出す場合に、取り出し配線にはかならずヒューズを入れるようにしなければなりません(市販のヒューズ電源では必ずヒューズが挟まれています)。下図のように分岐する配線に5Aのヒューズを挟む事により、分岐側にそれ以上の電流が流れないように制限されます。この5Aのヒューズを挟まないと、無制限に電流が流れる事が可能になります。変に途中(下図では10Aのブレードヒューズと5Aの管ヒューズの間)からヒューズなしで分岐したりすれは容量制限がかかりませんし、その場所からヒューズ付きでも何本も分岐すると容量オーバーになります。もし、バッテリーからヒューズポートの間の配線(下図では赤線ですね)が溶けたりすると、車両火災の恐れもありますし、そうでなくても配線に異常をきたしている場所がヒューズボックスより奥になりますので原因を特定したり修理する事がとても難しくなる(個人では無理)と思われます。
ヒューズボックスのヒューズポートのうち、15A・10A・7.5Aのポートからはそれぞれ5Aの電流が分岐できるように設定されていますが、バッテリーからヒューズポートへの配線(上図では赤線ですね)はヒューズ容量の大きい回路の方がより太い配線が使われているのが一般的だそうなので、ヒューズボックスから電源を取り出す場合、できるだけ大きい容量が設定されているヒューズポートから分岐した方が良いと思われます。
以上、ヒューズボックスから電源を分岐してとるには (3) ヒューズの容量は合わせようについて私なりに整理しました。
【みん友限定】 ヒューズボックスから電源をとるには (1) ヒューズの向きに注意しようと
【みん友限定】 ヒューズボックスから電源をとるには (2) どのヒューズを選ぶかを総合すると、ヒューズボックスから電源を分岐する場合のポイントをまとめると以下のようになります。
ヒューズボックスからヒューズ電源を用いて電源を分岐する場合のポイント
(1)抜いたヒューズポートと同じ容量のヒューズを用いる
(2)ヒューズの分岐の配線をヒューズボックスのプラス側(バッテリーからの直結線)に合わせる
(3)元ヒューズがどの電装品を扱っているか見て、万一のときに影響の少ないヒューズを選ぶ
(4)(3)を踏まえた上で元ヒューズの容量がなるべく大きいものを選ぶ
(5)バッテリー直結側から電源を分岐するので、分岐した配線にはかならずヒューズをはさむ(エーモンのヒューズ電源の配線には管ヒューズがはさまれています)。
なお今回のヒューズボックスからの電源分岐の投稿に際して、エキスパートのみん友さん(くうねるさん、バディ男さん)から色々貴重な助言をいただきました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。
また、投稿リストに関して、シリーズ的なものは投稿と投稿の間隔が時に長くなってしまい、その間に別の話題の投稿を挟んでいるものもありますが、リスト上では同じシリーズを並べてまとまって読めるように適宜順番を入れ替えたりしています。したがってリストは必ずしも投稿日順になっていないのでご注意下さい。
C-HR FANの過去の投稿リストはこちらです。
C-HR FANの投稿リスト8 (2019-04-18~)
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2018/08/25 07:18:13