ECUのIAM（学習補正）初期値の設定について

以前、エクシーガのECUのIAM（学習補正）は、イグニッションのON／OFFで必ず初期値に戻る仕様になっている ことを指摘している。
これは、レガシィ（BR/BM）でも同じ仕様になっているようだ。

この仕様の意味は、始動時に必ずIAM（Ignition Advance Multplier）を初期値に戻すことで、エンジンに掛かるノッキング等の発生を抑えるフェールセーフを保つ為だと思われる。

しかし、IAM値が最適化された「1」の状態から、エンジンを再始動するとまた初期値の「0.5625」に戻るのは厄介だ。

初期値の「0.5625」からまたIAMの値を上げて最適化が終了するのに10分以上の時間が掛かる事もあるからだ。
また、IAM値が低い状態は「エンジンパフォーマンス（性能）」が極端に落ちる。

例えばサーキット走行の場合、エンジンを始動して走り始めた最初の何周かはベストコンディションで走れない事になるし、また、シャシダイなどのパワーチェック時にはベストなパワーが出ていないことになる。

前置きが長くなってしまったが、このようにIAMの初期値が低いと「エンジンパフォーマンスにモロに影響する」ので何とかしたいと思う。

そこで、IAMの初期値を引き上げてしまおう！と言うのがこの項目だ（画像参照）

場所は、「Ignition Timing - Knock Control」→「Advance Multiplier(Initial)」

エクシーガの場合、この値は「0.0000」になっている。
この値を「0.5625～1」の間で引き上げればエンジン始動時のIAM値を決定することが可能だ。

ここで気になるのが、「万が一、IAM値が下がらなければならない事態（例えばノッキングが発生し易い状況）になった場合、初期設定値の設定値以下になるのか？」と言うこと。

これは確認しました。
FLKC（Fine Learning Knock Correction）でマイナス値が頻繁に出るような負荷状態で走行したところ、見事に初期設定値以下にIAM値が落ちていました。
例：初期値0.75→FLKCマイナス数値大→0.5625

一応、初期値を上げても、万が一の場合、IAM値の低下によるフェールセーフの動作は問題ないと思います。

しかし、完全な冷間時からの始動時はFLKCのマイナス値が記録される＝IAMの低下が発生する可能性は非常に高いので、闇雲にIAM値を「1」等に引き上げるのはお勧めしません。
あくまで、ロギングしてIAM値の降下状況を確認しながら初期値を設定することをお勧めします。


【注意】
素人による解析結果であること、車両のアプライド型、ハード側の仕様による違いもあるので、参考としてください。　試す際は自己責任で。

【200110220追記】
「初期値を上げても、万が一の場合、IAM値の低下によるフェールセーフの動作は問題ないと思います。」
の記述に間違いがありました。
IAMの初期設定値を上げると、FLKCによるIAM低下は初期設定値以下にはなりません。
いきなり高数値にせず、ロギングを行いIAMの低下数値と計らいながら決定して下さい。