2020年05月06日
象の鼻地区
昔から、国内で最も好きな場所のTop:3に入る「横浜 赤レンガ倉庫」周辺。
その中でも「象の鼻」地区と言われる区域があり、現在の中央広場となる以前の'06年位まではRacing Carが多く収容されている倉庫が数多く立ち並んでいた。
此処は自動車好きにとっては特別の場所だった。周辺にある建築物はどれも古き良き横浜を思わせる。波打ち際の防波堤沿いにあった事や、倉庫が当時で地区80年が経過していたことなども影響してか、自動車のTV Adなどにも使用されていた。
どの店も大正ロマン時代を感じさせるものだが、その中でも、一際輝いていたのが「Ginetta House」だ。勿論、あの英国車のジネッタである。
そこには、金土日の夜のみ営業するという自動車趣味のたまり場のような聖地があったのだ。
階段を上がると、そこにはいつも数百冊もの自動車専門誌が無造作に置いてあり、自由に読めた。いわゆるAmber Worldで、全てが暖かい琥珀色に輝いている。
突き当りには巨大な一枚板で作られた見事な長いカウンターがあった。CDデックは一応あるが、滅多に使用せず、店長の拘りで未だにRecordを愛していた。アンプも、薄暗い灯りの骨董品だったのを覚えている。
この店に於いてあるものは殆どがJAZZだったが、アルバムのリクエストをすると、いつも店長の並木氏がリコード版に針を置いては、今かけているアルバムカヴァーを額に入れて飾ってくれた。此処は、単に自動車趣味の集まりというのみならず、Cafeとしても素晴らしいもので、まるで20世紀初頭にあったIrish Barのようだった。
私は此処の居心地の良さに夢中となり、毎週末、行くのが楽しみでなら無かった。7pm開店と同時に、次々と自動車趣味の連中が自慢の車を止めて集まった。そこでは顔なじみの連中が集合しては、いつも楽しく情報収集を繰り返していた記憶が懐かしい。駐車場は横浜市管理局の敷地だったので、かなり広い土地の中で自由に停めては撮影もできた。
その後、残念ながらその店は無くなってしまったが、朝方までいつもお互いの車両を交換運転しては、高層ビルの美しい夜景、イルミネイションに浮き上がった赤レンガ倉庫。僕らは、色鮮やかなネオンサインに照らし出されたみなとみらいの観覧者の先までかっ飛ばし、U-turnで戻ってくるという公道サーキットまがいの遊びを深夜まで繰り返していた。
また、「ああいった店が横浜で復活してほしいな。」と、私は時間を忘れて当時あったお店の前で物思いに耽っていた。
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Posted at
2020/05/07 00:25:26
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