ガレージの掃除をしていて、探し物があったのでアルバイトに電話をかけた。彼女は気を利かせてくれて、いっしょに探してくれると言ったけれど、休日にそれは悪いと断った。でも、彼女は着た。彼氏のクルマでやってきた。「彼氏じゃありません!」とその男の前で否定した。彼氏、鼻毛が出てるよ。トヨタの86とかいうスバルに乗っていた彼氏は今どきそんなサングラスはしないんじゃないか?京都でよく見る中国人観光客か?とまあ、見るからにいけ好かない小僧だった。その小僧の鼻の穴から1本鼻毛が出ていた。汗で粘ったその毛は鼻の下に貼りついていた。と、彼女が言った。「鼻毛出てるでぇ」男はただでさえ暑くて上気した顔をさらに赤くして、鼻の下をこすった。鼻毛はみごとに横を向いた。彼氏はバックミラーに映る鼻毛をつまんだけれど、汗で滑って抜けなかった。ラジオペンチを貸してやった。これでつまんでズイッと抜くんだ。彼氏は一瞬ためらったものの「きったないで、はよ抜いて」という彼女の言葉にペンチを鼻の穴に突っ込んだ。鼻毛は抜けた。ラジオペンチを返そうとする男に冷たく言った。いらんで持って帰れ。彼氏は一人で帰っていった。アルバイトにチョコミントなんたらというのを買ってやった。つまらない日曜日だった。