
羽ばたく若者達 FILE.1
彼が、うちの門を叩いた時は、正にゲリラ攻撃のようでした。
昼時も過ぎ休憩中だった店内に、いきなり入ってきて、
「どうも!Mr.Tです!」
「カナダ留学から帰って来ました!」
「ボクシングやってました!」
「今はアーティスト活動をやってます」
など数々の自伝を、いきなり語り始めました。
「BOSS!ここ良い店ですね〜!」
「アメリカにも、こんな店はないですね!」
「いや〜ここのスタッフが羨ましい!」
など、今度は数々の褒め言葉を連発。
「そこでBOSSに相談なんですけど…」
「僕、良い働きをすると思うんで〜」
「雇って下さい!」
「うん、良いよ!」と即決のBOSS
結局バイトに応募しにきた、ただの無職であった事を明かした後、風のように去って行きました…
その後、スタッフ各々が…
「大丈夫かなあの人?」
と、言ったとか言わなかったとか…
働き始めた彼は、ホールスタッフにも関わらず、お客様のテーブルでいつもの自伝を語り、かと思えば、突然ステージに上がりターンテーブルを弄りながらのマイクパフォーマンスを始める始末…
おおよそ、まともな社会人としての常識は持ち合わせておらず、破天荒な性格でしたが、当人は決して、ふざけてるわけじゃなく、その破天荒を情熱を持って、大真面目にやっているのです。
そんなトラブルメーカーの彼だっただけに、魅力のある人間でもありました。
「パーティーやるからおいで〜」
と団体客の集客に貢献し、うちのリムジンで街へ繰り出し、ナンパ混じりのビラ配りなど、彼にしか出来ない役目を数々とこなし、その未完成なカリスマ性で次々と人脈を築いていくのでした。
うちは、当時の広島のCLUB情報誌「RAMPAGE」とイベントタイアップをしていたので、大物アーティストに混じり、彼も徐々にクラブイベントにも出演するようになりました。
うちが店を辞めた後、RAMPAGEの社長である、タカシ君が立ち上げた、元ガチャガチャプロダクション(現RAMPAGE)という芸能プロダクションに所属し、ユニバーサルミュージックジャパンとメジャー契約。
数々の苦悩の末に念願のメジャーデビューを果たしました。
それを期に、Mr.Tから
「TEE」
に名前を変え、名曲「ベイビー・アイラブユー」など数々のヒット曲を生み、現在は大物アーティストの一人として活躍し続けております。
「See You Again」
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
Posted at 2018/05/10 16:25:16 | |
トラックバック(0) | 日記