年明けの初仕事として恒例となっているNAIAS(北米国際自動車ショー)デトロイト。たしかミレニアムの2000年からだから、16年連続16回の皆勤賞ということになる。
そもそも海外の主要国際モーターショーをカバーしようと思うようになったきっかけは、1990年代中頃のバブル崩壊から超円高という経済環境の変化から。日本の主要自動車メーカーは、日米自動車協議のすったもんだの挙げ句、最大の対外輸出国でもあるアメリカでの現地生産化を促進。それにともなって、1980年代から急増していた対米輸出モデルはより一層現地化の色彩を強めた。
5チャンネル制の失敗が祟ってマツダがフォードの傘下に墜ち、トヨタの幻影を深追いしすぎた日産が2兆円の有利子負債を抱えてルノーの子会社となり、三菱もダイムラー・クライスラーの一角に沈んだ。
日本のトップ5の3極が外国人に社長の座を譲り、とりわけマツダと日産の北米市場建て直しから回復を目指す意志は明確で、マーク・フィールズRXエボルブ→RX-8、カルロス・ゴーンZ33、R35GT-Rとまずは名刺代わりにスポーツカーから再挑戦を開始した。
あれから15年ということになるわけだが、時代は本当に大きく変わった。アメリカはシェール革命でゾンビの如く生き返った。ガロン1ドル台という20年振りに見るデトロイト周辺のGSの価格表示に、むむむなんぢゃこりゃあな思いが募ったが、当然のことながらこれで済むはずもない。
今年は、昨年のIPCC第5次評価報告書に基づいて新たな方針が明らかになるCOP21が年末のパリで開催される。その前にえええぇぇぇな事態が勃発しても驚かないが、地球温暖化のポイントオブノーリターンのタイミングは過ぎたかまだ間に合うかの瀬戸際だ。脱炭素化社会に向けてとにかく動き出す時だろう。
燃料電池車(FCV)はナンセンスとかいろいろ言う立場もあるが、そもそもどれが一番というトーナメント方式のチャンピオンシップは意味がない。考えられる可能性をすべて用意して、適材適所でまあ総当たり戦で勝ったのはここだねというリーグチャンピオンシップでその時々の優位を語る時……。
ああ、この話を始めると長くなる。carviewSPLブログはサマリー書いて、本家DRIVING JOURNALでちょっと深彫りして、メルマガで筋道を立てるという計画通りにしないとね。
僕はね、ハイブリッド以上のスピードでFCVは急速に普及すると思う。インフラ? 今から107年前ヘンリー・フォードがモデルTを量産ラインから産み出した時、ガソリンスタンドってあったと思う?モデルTはそれから19年に渡って1500万台が送り出されたが、それを可能にしたのはその間にロックフェラーがクルマ用燃料としてのガソリンの生産/供給体制を構築したから。
今水素インフラがどうこう言って、難クセ付けている人々はすでに確立しているエネルギー源の既得権益を背景にしていると考えるのが合理的。意味ない、そんなの。可能性は排除しない。それが新たな文明を迎える態度だろう。
昨年のLAショー。ちょうど日本国内で正式発表のタイミングと重なったMIRAIが周到に用意されていた。ZEV規制対応の切り札だからね。
トヨタが出すと聞いて台数で競い合うVWが急遽出展したのがHYMOTION。ゴルフ・ヴァリアント(ワゴン)をベースにしたFCV。MQBは燃料電池車もカバーすると言いたいようだが、このパッケージングで商品になるの? NAIASではダイムラーAGのD.ツェッツェや、T. ヴェバーに拙い英語で突撃インタビューしたけれど、2013年に発表した通り「2017年にルノー日産、フォードとの燃料電池の共同開発した成果としてのFCVを市場投入する予定で、開発は粛々と進めている。インフラの問題があるので、我が社としてはまずはプラグインハイブリッドから……」
トヨタのこのタイミングでの市場投入はジャーマンスリーには結構なインパクトがあったと見て間違いはない。MIRAIに乗ると、なぜFCVに未来があると僕が乗り気になった理由が分かる。走りが新しく、乗り物として面白かったからだ。
Posted at 2015/02/15 01:15:57 | |
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