みん友さんからのリクエストによる試算です。
S2000(AP1)のファイナルを変更した場合の加速特性について。
まず、計算のベースとした車両情報について。
●AP1 S2000 ベースグレード
エンジン:F20C (2L 直4 NA)
最高出力:184kW(250ps) at 8300rpm
最大トルク:217.7Nm at 7500rpm
変速機:6MT
1速 3.133
2速 2.045
3速 1.481
4速 1.161
5速 0.970
6速 0.810
減速1次 1.160
減速2次(Final) 4.100
タイヤ(後) 245/40R17 直径0.628m
車両重量 1250kg
・タイヤサイズは前後で異なるため、駆動輪(=後輪)で計算。
・トランスミッションから駆動輪までの間に減速が2回ありますが、この減速2次(4.1)を4.3もしくは4.4にすることを検討中とのこと。峠走行を重視、VTECゾーンをもっと活かしたい目的。
(・そういえば、縦置きトランスミッションだと思うのだけど、直結ギアがないのね〜)
●性能曲線(パワートルクカーブ)
トルクピークが7500rpmにあって8000rpm超までは大きく落ち込まないから8300rpmに250psという出力ピークを持ってこられる。
ホンダさん、さすがです。
●ファイナル変更前後で、まずは車速vs.回転数
4.1→4.3
4.1→4.4
S2000の場合、そもそもがかなりローギアードなんですけどね。ファイナル4.1でも。
(同じく6MT、S15シルビア オーテックバージョンとの比較)
許容回転数上限が高いからこそ、ローギアードにできるんですね。
S15オーテックもシルビアの中では高回転型かつローギアードなんですが。
●いよいよ、加速特性出します。
加速度 vs. 車速
ファイナル4.1(純正)と4.3
ファイナル4.1(純正)と4.4
6速MTなので同じ色の線が6本。
同じ色同士は同じセッティングの、左上の線から1速、2速、・・・、6速の特性です。
線の右端が9000rpm。
各ギアの線で右半分の盛り上がっているところがVTECゾーンなので、そこが活かせそうかどうか、車速との兼ね合いで読み取ってもらえればいいと思います(^_^)
もちろん、ファイナルの数値が上がるほど、同じギアでも低速からVTECを活かせるわけなので。
加速度そのものについて
ファイナル4.1でも相当楽しいと思います。が、
4.3以上にすると、2速、3500rpm以上で0.5G使えるんですね。
これ、かなりのもんですよ!
1Gっていうのは重力加速度、つまり物を空中で手放したときに重力で自由落下するときの加速度(9.8m/s^2)ですが、
実際の車の挙動で考えると、
街乗りで信号待ちから青になって発進加速するときが、0.15〜0.2Gくらいの加速。
0.3Gは、一般道ではかなり元気がいい加速です。
0.5Gなら0−100km/hが5.7秒です。
ちなみに、これもあくまで乱暴にまとめた目安ですが、
平地の乾いた舗装路で
FFなら0.45Gでホイールスピン
FRは0.6Gでホイールスピン
くらい。
それ以上はグリップしないので駆動力が逃げて使えない。
加速時に荷重がリアに移動するのでFFは駆動輪の荷重が抜けて不利。
加速に2速0.5Gが使えるのは後輪駆動の特権ですね。
ファイナル4.4だと2速7500rpmくらいで0.6Gにかなり近くなるので、これ以上のローギア化は不要でしょうね。4.4あれば充分かと。
2速フルスロットルでホイールスピンしちゃうと扱いづらくなるし。
それと、峠は必ず勾配があるわけですが、上り勾配での加速度の考え方について。
道路の勾配はよく標識で%で表されたりするけれど、
よくある数値の中では急な、10%の坂を考えてみます。
これは、水平に100m進む間に10m上るor下るということ。
10%勾配というのは、角度に直すとarctan(0.1)=5.71°
重力によって、この坂を上る車にかかる減速方向(斜面に平行な方向)の加速度は、1G × sin(5.71°)=0.099G つまり約0.1G
(角度が小さいうちはsinとtanはほぼ同値。)
10%勾配なら減速方向0.1G
だから、10%の坂を上るときは、加速特性のグラフから0.1Gを引いたのが実際にフルスロットルで出せる加速度。
平地で0.5G出せるギア&車速なら、同じ条件で10%上り坂では0.4G出せることになる。
0.4Gしか出せない車なら0.3Gの加速でしか上れない。
っていう感じ。
(この辺はあんまり面白くないかしら?)
VTECゾーンを活かせる車速はファイナルによってグラフに載せた通りなので、よろしければ参考にしてくださいm(_ _)m
個人的には、S2000がなんでこんなにローギアードなのか分かった気がします(笑)
VTECゾーンの美味しい回転数は高いところだから、ローギアードにしないと実用的な(というか現実的な)車速でVTECを堪能できないわけで。
改めて、これは凄いマシンだぞ、と再認識しました。
S2000がメインの話は、ここまで。
以下は余談だけど、ショッキングな話かも。
特に、私を含めてシルビア乗りにとっては。
読みたくなければスルーしてくださいm(_ _)m
S2000 AP1とS15シルビアを比較してみたんですけどね。。
2L直4で高回転型NAで、6MTで車重も似たようなものとあって。。。
あうーーー
S15オーテックバージョン(200ps)とS2000(250ps)のパワートルクカーブを一緒に描いたら、これなんで、
S15スペックR(ターボ250ps)に応援に来てもらいました(^_^;)
加速特性比較
一応言い訳すると、新車時の車両価格はS2000のほうがS15(スペックR、オーテック)の1.5倍くらいしますので・・・
じゃぁライバルは同価格帯のDC2くらいか?
うーん。(→
以前の計算 vs. インテR 98スペック)
ホンダさんは高回転型エンジンに物を言わせてローギアードにして加速力を高められますから・・・
SRはそういうエンジンじゃないからなー。
その中じゃチューンドbyオーテックは7,200で出力ピークと頑張ってるんだけど。
日産で比較的高回転いけるのはRB26くらいだろうか?
(競技用ならFJ24とかあったけど)
あっ、でも、峠含めて日常使いは低〜中回転域ですから・・・
S15オーテック乗ってて思うのは、
高回転まで回るのは気持ちいいので好きだし、7500rpmまで回せるときは回すけど、そうできる場面って実はあまり多くなくて。
峠でも多いのは3500〜5500rpmの中回転域。
S15オーテックはこの辺が実は楽しい。比較的トルクがあるのと、音が好き。って、音という主観が入ってきました(汗)
峠でのコーナリングはやみつきになります(笑)
まぁ、それもありますが、私はS15オーテックLOVEです(*´艸`*)
・・・という強制終了の仕方 爆
以下、特性計算に使った車両データ(参考までに)
●S15 シルビア オーテックバージョン
エンジン:SR20DE (2L 直4 NA)
最高出力:147kW(200ps) at 7200rpm
最大トルク:213.8Nm at 4800rpm
変速機:6MT
1速 3.626
2速 2.200
3速 1.541
4速 1.213
5速 1.000
6速 0.767
Final 4.083
タイヤ 205/55R16 直径0.632m
車両重量 1200kg
●S15 シルビア スペックR
エンジン:SR20DE (2L 直4 ターボ)
最高出力:184kW(250ps) at 6400rpm
最大トルク:274.6Nm at 4800rpm
変速機:6MT
1速 3.626
2速 2.200
3速 1.541
4速 1.213
5速 1.000
6速 0.767
Final 3.692
タイヤ 205/55R16 直径0.632m
車両重量 1240kg