新型コロナウィルスに伴い売上の低下または営業自粛に対応し、世界各国の行政が事業者に対して様々な支援策を打ち出しています。日本においては、無担保、無利子(行政が利子補給)および無保証という緊急融資が支援策の要の一つであり、この緊急融資への申請が殺到しています。
ちなみに、筆者の勤務する会社の親会社は、米国のノースカロライナ州にありますが、従業員の雇用(従業員20名程度)を維持するために、自治体に緊急融資を申請したところ、40万ドル(約4,200万円相当)融資(ローン)が即実行されました。このローンですが、無利子はもちろんのこと、永久ローンといい、日本では聞かれないローンですが、平たく言えば、返済不要のローンという事になります。弊社の親会社がこの永久ローンを得る事によって、親会社の社長も不安を抱えることなく、事業に専念することが可能となっています。いかに日本の行政が事業者に冷たいか再認識させられます。
昨今のメディアの報道でも、日本が諸外国の支援策と比較して、後れを取っていると指摘されていますが、日本における自治体も一刻も早く事業者の支援に尽力されることを切に願っています。
さて、車の話に戻りますが、読者の皆様は、車を購入する場合のローンの利用について、どの様にお考えでしょうか? 車ローンの利用率に関して、公式な統計がありませんが、ディーラー等の関係者の話を整理しますと、現金での購入が約50%、ローンでの購入が約50%ということです。そして、現金で購入された方の車の買い替えサイクルは7年程度、一方、ローンで買われた方の車の買い替えサイクルは5年程度(ローンの期間が5年間が多いため)ということです。
新車の価格は、概ね200万円を超えますし、下取り価格(7年経過すれば、せいぜい20万円程度)を考慮したとしても、200万円を現金で拠出することは、決して容易な事ではありません。月給で、月々の必要経費を控除して、現金で200万円を拠出できる方はそう多くはないと考えられますし、ボーナスにしたって、住宅ローンを返済した後で、200万円を超える車を現金で購入することは決して容易ではないことを鑑みますと、貯金を取り崩して現金で車を購入するというのが現実なのかと察します。
そこで、車を現金で購入する方の意見をお伺いしますと、とにかく借金をするのが嫌という方が圧倒的でした。もっとも、ほとんどの方は同時に住宅ローンを借りている訳ですから、住宅ローンを借りても、車のローン(クレジット)は嫌だということには、それなりの理由があるのかと思います。住宅ローンは、政府系金融機関またはキチンとした銀行からの借入で税額控除もできるからというのが主な理由な様です。
確かに、住宅ローンの方が金利は低いし、税額控除の恩恵を受けられますが、住宅ローンは、借入期間が25~35年と長期間に及び金利の支払総額は相当な金額となってしまいます。以下が、住宅ローンと自動車ローンの比較ですが、住宅ローンを1,400万円、35年間、金利1.25%/年で借りた場合、金利の支払総額は、税額控除を享受したとしても、約220万円となります。一方、5年間の自動車ローンを7回借りた場合(200万円×7=1,400万円)、金利2.5%/年としても、金利の支払総額は、90万円程度と決定的な差があります。
従って、経済的な要因からすれば、住宅ローンより、自動車のローンの方が消費者にとって負担が少ないので、同じローンを借りるのであれば、少しでも車はローンで購入し、住宅ローンの借り入れ金額を少なくする方が賢明な選択と言えるのではないのでしょうか。
まして、今回の新型コロナウィルスの事を考えますと、企業のみならず個人でも手元資金を留保しておかないと、生活設計など出来ない時代となったことが証明できたわけですから、借金しても、手元資金を確保しておくことが重要と考えます。
さらに、車をローンで購入する場合、適切な頭金さえ払っておけば、(筆者:車の経済学(23)2018年9月11日付「車をローンで買う場合、頭金は幾らが妥当なのか?」を参照願います。)
車の売却価額>ローンの残高が確保でき、かつ車は中古車市場が発達しており、車を売却しようとすれば、即日でも売却が可能であり、車を手放すことで、借金がなくなります。この点でも、住宅ローンとは異なりますので、自動車ローンの
利用価値は大きいと言えます。
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Posted at 2020/05/07 23:07:17 | |
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