日本で販売されるセブン160が、どのような制度を利用したのか気になり、半年ほど調べてました。私のセブン160の認識を改めるキッカケになったのでブログにまとめますが、事実と異なる点があれば、コメントでご指摘を頂けると助かります。
輸入車を国内で販売するには国土交通省の審査・許可が必要で、大きく分けると①通常審査、②輸入自動車特別取扱制度(以降:PHP)、③並行輸入の3パターンに大別されるようです。
①通常審査:手続きは国産車と同じで、審査に必要な時間・費用は多大なようです。この通常審査をクリアした場合、年間の国内販売台数に上限がありません。ただし、通常審査を通した輸入車はVWゴルフくらいしか前例がないようです。
②PHP:年間の国内販売台数は5000台以下に制限されるものの、手続きを簡略化できる制度です。国内で販売される輸入車の殆どがPHP車ですが、ガソリン車は排ガス規制のハードルが高く、生産国は先進国の一部に限られるようです。管轄する
JAIA(日本自動車輸入組合)の一覧を見ると、名だたるメーカーが並びますが、排ガス規制の対象外であろうEVメーカーも散見されます。PHP車であれば車検証に具体的な型式が記載され、ある程度の不具合に対して、メーカーもリコール対応が要求されます。
③並行輸入:簡単に言えば個人輸入に近く、メーカー販売の場合は1モデルあたり年間の国内販売台数が200台以下に制限されます。管轄する
FAIA(外国自動車輸入協同組合)の一覧には、有名な紀和商会も含まれています。並行輸入車は車検証に「型式不明」と記載され、メーカーにリコール対応は要求されません。
セブン160は「型式不明」だと思いますので、並行輸入車になります。ケータハムの国内ディーラーでFAIAに加入しているのは大阪のジロン自動車のみですが、FAIA非加盟だから並行輸入できないわけではありません。
例えばiPhoneの海外モデルは、日本モデルと違ってシャッター音が無かったり、物理デュアルSIM搭載が可能だったりします。海外製スマホは技術基準適合証明(:技適マーク)を表示できないため、日本国内での使用は電波法違反ですが、外国人観光客などが持ち込む海外製スマホを含むと摘発は不可能です。そのため技適マーク無しのスマホも、日本国内での使用は容認されているのが実情です。結果として、日本国内でも輸入代理業者が海外製スマホを堂々と販売してますし、一部のマニアは個人輸入もします。外国車も同様に、メーカーとは無関係な輸入代理業者は存在しますし、個人輸入するカーマニアもいます。
セブン160は並行輸入車でリコール対象外ということを、私は初めて知りました。国産車ディーラーは何でもしてくれますし、PHP車ディーラーもリコールを含めた対応をしてくれるとは思います。ただし並行輸入車の場合、新車であっても国産車やPHP車とは違い、ディーラーの対応は限界がありそうです。かつて外国車メーカーの多くは日本に支社がなく、ヤナセのような輸入代理店を通じて並行輸入車を売ってました。それと同じように、ケータハムの国内ディーラーはケータハムそのものではなく、ヤナセのような存在に近いのかもしれません。
これはケータハムと国内ディーラーの問題ではなく、並行輸入車という制度の特徴のようです。私の印象として、セブン160のディーラーは「ケータハムと契約した輸入代理業者+可能な範囲で整備してくれる存在」で、サンダーバード5号のように「最前線にいないけど、裏で本部と連絡してる」というイメージです。つまり、ケータハムのディーラー(サンダーバード5号)に国産車ディーラー(同1号)やPHP車ディーラー(同2号)のような対応を求めるのは、ちょっと違う感があるのです。ケータハムの生産能力を考えると、今後も並行輸入車として1モデル年間200台以下で販売を続けるでしょう。もしセブンがEV化してもリコール対象外で、現在の国内ディーラーではEVの整備は対応困難でしょう。
私はセブン160を「低年式のホンダBEAT」のような感覚で、並行輸入車の知識もないまま購入したことを反省しています。私のセブン160は2014年式で、狭いフロントフェンダーとラテラルロッドを特徴とする初期型です。さらにキットカーなので他のセブン160と異なる仕様があったり、そのほか諸々を全て含めて「そういう車」と認識を改めた次第です。
古参のセブン乗りから言わせると…
…って感じなのでしょう。
日本の軽自動車に比べ、工業製品としてのセブン160はポンコツですが、趣味車としては本当に傑作だと思います。この車の弱点:リレーやクラッチケーブルは少し注意が必要ですが、クーラント漏れやアクセルペダルセンサー不良などの問題は、みんカラ等で情報共有しながらユーザー間で相談しつつ頑張るしかないのかもしれません。ラテラルロッドは賛否あるようです。私のように「そういう車」として気にしない者も、ラテラルロッドを許せない人もいるのでしょうが、どっちが正しいとか間違いというわけでもないので、各自が好きに考えて行動すれば良いのではないでしょうか。
私自身、ケータハムや国内ディーラーについて思うことが無いわけではありませんが、この車に出会えたのも、この車を通じて知人が増えたのも、車イジりが好きだった自分を思い出させてくれたのも、本当に良かったと感じてますから、彼らには感謝の方が大きく、私は今のままで良いとさえ思っています。ケータハムや国内ディーラーの対応に思うことがあっても「リコール対象外の並行輸入車だけど、自分が好きで買って乗ってるんだし、サンタバード5号だって遠く離れた宇宙にいるし…」と考えれば、心も穏やかになるのではないでしょうか。
Posted at 2022/12/25 19:37:48 | |
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