某所で「デマンド圧縮」なる用語を聞いて、それはうまい言い方だと感心しました。
ということで私もそれに乗っかろうと、とある機器をお試しで導入してみました。
こちらの写真がその機器。
Panasonicの
リチウムイオン蓄電システム(LJ-SF50B)です。
蓄電容量は 5kWh ですので、私のi-MiEV Mグレード(SCiBバッテリ 10.5kWh)のほぼ半分の容量になります。
●製品紹介
屋内用で屋外には設置できません。
気になる定価は…希望小売価格
128万円! うへぇ。
今入手できるSCiB搭載の機器としてはミニキャブ・ミーブがありますが、こちらは定価1,769,040円です。
177万円!
バッテリ容量が倍で、エアコン付きの荷物置きにもなって、そのうえタイヤが付いて走ることもできると、いいことずくめなこの機器、さらにバッテリが劣化しないという素敵な仕様、もうこれはどちらがお徳か言わずもがなですよね。
←すっかりEV脳になった男の意見ですのでだいぶ偏った意見です
とはいえ実際ミニキャブ・ミーブで車両から給電を受けるには、こちら、(ドラえもん風に)
MiEV power BOX!
が必要です。
こちらが定価154,080円なので、実際には
約193万円でパナの倍の容量で無劣化の蓄電システムが組めることになります。
小型でそこそこなバッテリ容量のシステムを、という用途にはパナの製品は魅力的かもしれません。
さて、こちらの蓄電池を使って今回の試験での私の野望は、中部電力のスマートライフプランの一番高い料金時間(デイタイム:7時間)の全てを、一番安い料金時間(ナイトタイム:10時間)で置き換えたいというものになります。
とはいえデイタイムに動いている家の電気機器は、冷蔵庫からサーバ用PC、ルータ、NASと複数の場所に散らばっているので、簡単に電源元の置き換えができません。試験のために宅内配線をいじるのもナニですので、今回は1階の台所にある
・冷蔵庫
・冷凍庫
・カメラ用防湿庫+α
これらの機器を接続することにしました。
これら機器で概ね100~150W程度を消費しています。
デイタイム7時間だけでは、5kWhのバッテリ容量のうち、0.7kWh~1.05kWh程度しか使いませんので、デイタイムとホームタイムの計14時間をこの蓄電池で賄うことにしてみます。
14時間だと5kWhのバッテリ容量のうち、1.4kWh~2.1kWhを使用します。
LJ-SF50Bは本体の設定で、タイマー運転を行うことができます。
これが設定したタイマー運転の設定です。
放電に関しては2つ、充電は1つのタイマーが用意されています。
現在の私の設定は、ナイトタイムの始まった21時5分に充電を開始し終了手前の6時55分に終了させる。
ナイトタイム終了手前の6時56分から蓄電池での放電を開始し、ナイトタイムの始まった21時4分に放電を終了させる。
というものです。
実際に設定の時間がクロスしていたりした場合には「決定」を押した時に、重複してるよ~と指摘を受けます。
タイマー運転中の画面がこちら。
17時15分なので放電中です。蓄電池の2/3程が残っているようですね。
電池から出力のコンセントマークへの矢印が流れる黒アニメーション表示になっています。
この時は100W以下の消費電力だったようで、0.0kWの消費量の表示ですね。
停電時にはAC100Vの交流マークに×が付きます。
充電中は交流マークから蓄電池への矢印が流れる黒アニメーション表示になります。
AC100V(商用電源)で出力コンセントが駆動されている時はAC100V横の矢印が流れる黒アニメーション表示になります。
蓄電池にマイコンが搭載されているので、充電や放電に関して簡単に設定をして制御をすることが可能です。
ミニキャブ・ミーブとMiEV power BOXのシステムでは、ミニキャブ・ミーブへの充電とMiEV power BOXからの出力にタイマースイッチリレーを使う必要があるので、これほどお手軽にはいきませんね。
LJ-SF50Bのこれ以外の設定として
・放電時間以外にAC100V断の際に放電する?しない?(UPS動作設定)
・放電終了蓄電池容量設定(最小30%、停電に備える)
などがあります。
取り扱い説明書にはハードディスクレコーダやPCは繋ぐなと記載されています。
接続する際は別にUPSを使う必要があるということですね。
あと、電源ON時に突入電流の大きな機器も繋げないようです。
実際PCを接続してみましたが、負荷の小さい状態では切り替え時にリセットがかかることはありませんでした。負荷が大きい時は駄目でしょうね。
ルータやNAS、PCを接続する時はUPSが必要です。
が、安物のUPSの中には瞬停からの復帰時に突入電流の大きな製品があるので注意が必要です。
●運用報告
さて、実際に数日間こちらの蓄電池で運用してみました。
デマンド圧縮の状態はどのようになったでしょうか…
恥ずかしながら、8月1ヶ月間の使用量実績です。
棒グラフの
J2に落ちて欲しいジュビロ磐田色がナイトタイム、
あの監督のブレない戦略への姿勢は好都合な時があるからパワハラ疑惑で監督変えるとかしないで欲しい湘南ベルマーレ色がホームタイム、
なるべく今の順位に留まっていてくださいよお願いしますベガルタ仙台色がデイタイムです。
28日から蓄電池を併用し始めました。
27日までの平日(月曜~金曜)のホームタイムとデイタイムの棒の長さと、休日(土曜・日曜・祝日)のホームタイムを見てもらうと、大体同じ長さであることがわかると思います。
平日、休日とも4.8kWh~6kWhです。
この結果から、パナの蓄電池ではナイトタイム以外の時間の機器全てを賄うことはできないということがわかりますね。
デイタイムだけであれば、2.3~2.6kWhなのでなんとかなります。
2.3kWh÷7h≒330Wh、2.6kWh÷7≒370Wh
つ~か、不在時に時間当たりの電気使用料が330~370Wって…もう少し機材の見直しをするか。
28日はタイマーでデイタイムのみ放電、29日、30日、31日は先ほど紹介の設定です。(ナイトタイム以外は放電)
パナの蓄電池に100~150Wの機器をつないでいます。
28日は黄色の量が減っていることと、29日、30日、31日は黄色と緑色の量が減っていることがわかると思います。その分水色は充電しているので増えている筈なのですが、いずれかのEVを充電しているので、パナの蓄電池の充電分の増えがわからなくなってしまっています。
ちなみにそれぞれの日の黄色と緑色の合計は次のとおりでした。(括弧内は黄色+緑色)
28日は3.6kWh(1.3+2.6)←デイタイムのみ放電
29日は3.1kWh(1.4+1.7)
30日は2.9kWh(1.4+1.5)
31日は3.4kWh(休日なのでホームタイムのみ)
平日・休日は4.8kWh~6kWhなので、これだけ圧縮することができました。パチパチ…では駄目ですよね。
費用対効果を考えてみます。
いつもデイタイムは2.3~2.6kWhです。大きい方で考えて
平日6kWhの料金内訳は(2.6kWh×¥38)+(3.4kWh×¥28)=¥194
休日6kWhの料金内訳は 6kWh×¥28=¥168
圧縮で
平日3.1kWhの料金内訳は(1.4kWh×¥38)+(1.7kWh×¥28)=¥100.8
圧縮分の6kWh-3.1kWh=2.9kWhの電気代は2.9kWh×¥16=¥46.4
平日は¥100.8+46.4=¥147.2 の電気代
休日3.4kWhの料金内訳は 3.4kWh×¥28=¥95.2
圧縮分の6kWh-3.4kWh=2.6kWhの電気代は2.6kWh×\16=¥41.6
休日は¥95.2+\41.6=¥136.8 の電気代
効果としては
平日 ¥194-¥147.2=¥46.8 節約
休日 ¥168-¥136.8=¥31.2 節約
このようになります。
年間で考えると
中部電力の規定の休日(土曜・日曜・祝日)は、土曜日、日曜日、祝日、1月2日、1月3日、4月30日、5月1日、5月2日、12月30日および12月31日です。
1年365日は52週なので、土日は52×2=104日、祝日は16日、中部電力で決定した7日、計127日(土日重複は考慮せず)
平日は365-127=238日
平日 238日×¥46.8=¥11,138.4
休日 127日×¥31.2=¥3,962.4
年間 ¥11138.4+¥3962.4=¥15,100.8 節約ができます。
定価である128万円の元を取るには
128万÷15,100.8円=84.8年かかります…orz
野望であるデイタイム全てをナイトタイムに置き換えるとしたら…
((2.6kWh×(¥38-\16))×238日)+((2.6kWh×(¥28-¥16))×127日)=¥17,576
これでも 72.8年 かかる…orz
ええ、わかっております。この手の製品は運用益で元を取るような考えをしてはいけないことは。
しかし悲しい現実ですね。
やはり動く蓄電池であるEVの方がいいじゃないの!でもお出かけしちゃうと家の電気は賄えないのですよねw