2025年09月06日
「サニーと風と、あの午後」
エンジンをかけると、少し震えるような音が響いた。
それは力強さというより、誠実さに近い音だった。
サニー1200。2ドアセダン。
小さなボディに、夢と自由を詰め込んだ相棒。
あの日、友人を乗せて海沿いの道を走った。
窓を開けると、潮風が車内に流れ込んできて、
カーステレオから流れる曲が、風に混ざって遠くへ消えていった。
信号待ちで隣に並んだセリカが、少しだけ挑発的にエンジンを吹かした。
でも、こっちはそんなこと気にしない。
サニーは速さじゃない。
“自分らしく走る”ことがすべてだった。
助手席の友人が言った。
「この車、なんか落ち着くな」
その言葉が、今でも心に残っている。
あの頃の空気、あの頃の笑い声、そしてあの頃の自分。
今はもう手元にないけれど、
サニーは記憶の中で、今も走っている。
あの午後の風を切って、
あの街角を曲がって、
そして、あの瞬間の自分に、そっと会いに行く。
昭和は昭和でも、どの昭和w
Posted at 2025/09/06 08:28:26 | |
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2025年09月06日
税務署の窓口に並ぶ人々。
その中に、ひとりの男がいた。
株式の譲渡益、配当、外国税額控除——書類の束を抱えて、静かに順番を待つ。
呼ばれた窓口には、若い女性職員。
彼が「株式の件で…」と口にした瞬間、彼女の瞳が泳ぐ。
そして、周囲を見渡し、そっと手を挙げる。
「すみません、少々お待ちください…」
現れるのは、いつもの“やりておばさん”。
眼鏡の奥の目がキラリと光り、書類を一瞥。
「はいはい、これは特定口座ね。源泉徴収あり、でも申告したいのね。外国税額控除は…ああ、米国株ね。じゃあ、ここに記入して…」
まるで魔法のように、複雑な数字が整理されていく。
男は思わず聞いた。
「この分野、お詳しいですね」
おばさんは笑う。
「20年やってりゃ、株も人も見えてくるのよ」
その後ろで、若い女性職員がメモを取りながら頷いている。
学びの瞬間。
そして、彼女はふとつぶやく。
「いつか、私も“やりて”になれるかな…」
おばさんは言う。
「なれるわよ。でもね、まずは“逃げないこと”からよ」
税務署の午後は、静かに流れていく。
数字の奥に、人の成長と誇りが見え隠れする。
そして、今日もまた、誰かの確定申告が“女王の手”によって救われていく。
とまぁあ
Posted at 2025/09/06 07:34:19 | |
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2025年09月06日
だっても あさっても ないけど
生まれたとき、手ぶら。
死ぬときも、手ぶら。
それでも人は、
何かを握ろうとする。
札束でも、名誉でも、未来でも。
けれど、
最後に残るのは——
心に何を抱いていたかだけ。
Posted at 2025/09/06 07:09:41 | |
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2025年09月06日
1兆円 の 罠
月に1兆円が振り込まれる生活。 欲しいものはすべて手に入り、時間も人も金で動く。 けれど、満たされない。なぜか、空虚だ。
隣の部屋の住人は、月5万円で暮らしている。 古びたラジオ、手作りの味噌汁、風に揺れる洗濯物。 彼はよく笑う。よく眠る。よく歌う。
ある日、1兆円の男は聞いた。 「どうしてそんなに幸せそうなんだ?」
住人は答えた。 「だって、足りてるから。」
その瞬間、1兆円の男は気づく。 自分は“持っている”けれど、“満たされていない”。 数字は増えても、心は空のままだった。
そして彼は、口座を閉じた。 月2万円の生活を始めた。 不便だった。けれど、風が心に吹き込んだ。
とね
Posted at 2025/09/06 06:46:35 | |
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