
マツダ3の先代車アクセラは、リヤサスペンションがマルチリンク(独立懸架)でしたが、マツダ3では、トーションビームに変更しました。

アクセラ リアサスペンション(マルチリンク)
リヤサスペンションの変更をしたのは、「コストダウン」だけが理由ではなく、マツダ独自の『乗り味哲学』とパッケージング最適化が主な理由です。
マツダが マルチリンクからトーションビーム に変更した理由は5つあります。
1. 人間中心の乗り味(G-ベクタリング思想)との相性
マツダ開発陣は、「マルチリンクは乗り心地が良いという前提を否定した」、「サスペンション形式よりも、ブッシュ特性・ダンパー制御・ボディ剛性の方が乗り味への影響が大きい」と発言しています。「形式が上だから良い」ではなく、「チューニング次第で結果は逆転する」と判断しました。

Gベクタリングコントロール
2. 操安・NVHをトーションビームでも作り込める
G-ベクタリング・コントロール(GVC)との親和性を優先しました。

Gベクタリングコントロールの走行制御
マツダ3は、タイヤに急激な入力を与えないこと、ドライバーが違和感を感じない挙動を最優先にするという思想のもと、トーションビームの利点を活かしました。左右が連結されているトーションビームは、挙動が穏やかで初期応答がマイルド、姿勢変化が予測しやすく、ドライバーが無意識に修正しやすい利点を持っています。
「限界性能」より「日常での安心感」を優先させました。
これがマツダ3のキャラクターです。
3. 実は「静粛性(NVH)」で有利だった
意外ですが、マルチリンクはリンク点が多く振動経路が複雑、トーションビームは振動経路がシンプルです。そのためマツダは、ブッシュを大型化し、梁の断面形状を最適化させ、車体剛性を大幅に向上させることで、
ロードノイズ・突き上げを低減しました。

マツダ3 トーションビームサスペンション
4. パッケージングと重量のメリット
トーションビーム化で、リア床下スペース拡大させ、燃料タンク配置の自由度アップしました。荷室床のフラット化ができ、部品点数が減ったことで軽量化することができました。これにより 「サス単体ではなく、クルマ全体としての完成度」が上がりました。

マツダ3 エクステリア
5. コストは浮いたが「安く作った」わけではない
よくある誤解ですが、リアサスペンションのトーションビーム化は、コストダウン目的で安い足にしたのではなく、浮いたコストをボディ剛性・遮音材・内装質感に再投資したのです。特にマツダ3は、高張力鋼板の拡大、遮音材を増やし、シート骨格の刷新など体感できる部分に予算を集中しています。

マツダ3 インテリア
では実際、走りは悪化したのでしょうか?
多くの試乗・比較評価では、一般道・高速道路では旧型より安定感が高く、限界域・サーキットでは、旧型の方が良いという評価が多いです。
マツダは最初から「サーキットで速いクルマ」を狙っておらず形式の優劣より、「人が気持ちよく感じるか」を最優先した結果だったのです。
■ 日常域での安心感
■ 直進安定性
■ 静粛性
■ 内装・質感
これらを総合すると、マツダ3の思想にはトーションビームの方が合っていたということです。
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2026/01/15 15:35:20