
車の上についている背びれは、シャークアンテナ(シャークフィンアンテナ)といいます。BMWが通信機能を搭載する為に車に搭載したと言われています。このシャークアンテナ、最大の利点は複数の通信機能をコンパクトに集約できることと、デザイン性・利便性に優れていることです。
シャークアンテナは、従来のロッド(棒状)アンテナや伸縮式アンテナに比べて多くのメリットがあります。
1. 機能性の集約と拡張性
①多機能性の集約
内部にコイル状のアンテナ素子などを組み込むことで、AM/FMラジオの受信だけでなく、GPS、ETC、モバイル通信(Wi-Fi、テザリング、SOSコールなど)など、複数の通信機能を一つのコンパクトな筐体に集約できます。
②高精度な測位
シャークアンテナですが、1つではなく2つあるタブルシャークアンテナがあります。
このダブルシャークアンテナは、準天頂衛星システム「みちびき」などの高精度な衛星情報を受信でき、高度な運転支援システム(ADAS)を実現するための高い自車位置測位精度を提供します。
2. デザイン性と空力性能
①スタイリッシュな外観
サメの背びれのような流線形のデザインは、車両全体の外観を洗練させ、モダンな印象を与えます。
②空気抵抗の低減
従来の棒状アンテナのように風で揺れることもなく、空気抵抗を抑える設計になっているため、わずかですが燃費向上や静粛性に貢献するとされています。
3. 利便性の向上
①手間いらず
固定式であるため、自動洗車機に入れる際や立体駐車場を利用する際に、ロッドアンテナのように折りたたんだり取り外したりする手間が一切不要です。
②耐久性の向上
アンテナが車体から飛び出している部分が少ないため、外部からの衝撃や接触による破損リスクが低減します。
シャークアンテナは、小型化・多機能化という現代の自動車開発の要請に応えつつ、デザインと実用性を両立させたアンテナの主流となっています。
4.シャークアンテナの今後の展望
①小型化と性能の向上
Straits Researchによると、車載アンテナの世界市場は2033年まで年平均6.3%で成長し、約1兆3399億円に達すると予測されています。順調に伸びるように見えますが、Business Research INSIGHTSは「接続性と通信の改善が市場の成長を促す」と指摘しています。多機能化する自動車の通信に対応するため、さらなる性能向上が求められています。
②ガラスアンテナの台頭
シャークアンテナの競合としてガラスアンテナも注目されています。ガラスアンテナはガラスに埋め込まれるため外観に影響を与えず、突起がないため空気抵抗も発生しません。さらに5GやV2X(車車間通信)など高度通信への対応も可能ですが、自動車ガラスには紫外線カットや熱制御、安全基準など多くの制約があり、両立は中々難しいようです。
自動車には多くの技術が詰め込まれ、アンテナは先進運転支援や自動運転を支える通信を司っています。多くの技術が搭載され、重要なパーツの一つとなりつつあります。
最近では、透過率80%超の「透明アンテナ」の開発も進んでいます。将来的には外から見えないアンテナが普及するかもしれません。
Posted at 2025/12/07 21:27:45 | |
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