【クルマは不思議な縁のもの】名門ランチアの中でも有数の「ファントゥドライブ」なステーションワゴン [9枚]
投稿日 : 2018年02月22日
この水色のランチアリブラワゴンを所有したのは2009年、ランチアテーマオーナーズクラブのメンバーBBSに、「エンスーの杜」でワンオーナーのタマが売りに出されていたものをクラブのメンバーが紹介していたのがきっかけだった。
私がリブラの現車を一番最初に目にしたのは、リブラがまだ発表されたばかりの2000年頃、和歌山に出張していたときに立ち寄ったアレーゼ和歌山(当時あったイタリア車のディーラー)の真正面で展示してあった車両だった。当時の私の琴線にはまったく触れることもなく、その後も意識したことはほとんどなかった。後に所有することになろうとは、その時はゆめゆめ考えもしなかった。しかしクルマの所有というのは縁のものだと誰かが言っていたが、この水色のリブラ(Azzurro Lauraというボディカラー)の時はまさしく縁でつながっていたと思わされるように、あれよあれよと事が進んでいった。
そのころ長きにわたって封印してきたバンド活動を再開し、楽器を運べる車が必要になってきたため、荷物が積める実用と趣味性を兼ね備えたおしゃれな車が欲しいと思い始めていたところにこのリブラワゴンの話だった。そしてそれまで長年、所有車の8.32をもらってくれる良い婿殿を探していたものの一向にその気配がなかったのだが、このリブラワゴンの話が持ち上がった途端にパッと良い婿殿が現れ、斯くして8.32は良家へ嫁いでいった。
そうして8.32と入れ替わるように、ファーストオーナーの所在地である川崎から、遥々遠く離れた飛騨の山奥のわが家へと来たリブラワゴン。濃紺のアルカンターラが貼りめぐらされた内装は隅々までデザインされ、質感も上位クラスを凌駕するほど上質。運転のほうはさして期待していなかったのだが、そこはさすが名門ランチア。この外観の見た目とは裏腹の、これが実にファントゥドライブな車であった。アルファロメオ156とフロアを供用するしっかりしたボディに(テーマと比較したらかなり剛性感がある)、エンジンはフィアット製の5気筒でフィアットエンジンの例にもれず回りたがる感じながら発進トルクが薄くクセのあるもの。そこにコクコクと小気味良い硬さがある5速マニュアルシフトの組み合わせで、エンスー心をくすぐる操作感。足がこれまた実に良く、ハンドリングもなかなか素晴らしい。鼻先が重くないのは良いことだ。運転に限って言えば、同じランチアのテーマより運転が楽しい車だと思った。
タイミングベルトの交換は5万キロに一度、そのたびにエンジンを丸ごと降ろす必要があるなど、さすがにランチアらしい割り切りもある車だったが、その後4年に渡って所有し、あらゆる場面で活躍してくれ十二分に満足させてくれる素晴らしいクルマだった。2013年、同じランチアテーマオーナーズクラブのクラブメンバーの元へと嫁いでいった。その新しい婿殿の所在は奇遇にも、この車の最初のオーナー宅からわずかな距離の場所であった。
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