前記事で感想と言いながら「シート調整」の話しかしていないので全般的な話を書いておきます(笑)。自分にとっては5000キロ超えた時にどう感じるか、振り返るための備忘録的なものではありますが、同じような仕様のS3を検討されている方向けの情報としてもお読みいただければ幸いです。
■エンジン
諸般の事情により(後述)旅行前にDでオイル交換したこともあり、徐々にレッドゾーンまで回しています。乗れば乗るほど、回せば回すほどこのエンジンが好きになってきました。
アイドリング時にボンネットを開けてエンジンカバー部に手をあてる(始動直後じゃないと熱いので注意ですが・・・)とわかりますが、この
EA888 2.0 TFSI エンジンは4気筒エンジンとしては非常に振動が少なく、高回転までとてもスムーズに回ります。
また前情報として高精度バランサーシャフトの採用や、バランサーシャフトやピストンスカートへのコーティングによる低フリクション化などの話がでていましたが、売り文句通りのスムーズさ&レスポンスをそなえていますし、同時にとても気持ちのいい乾いたハイチューンターボらしいエンジン音を奏でます。馬力やトルクなどのSPECだけでなく、
質感から「スペシャルなエンジン」であることを実感できるのは、オーナーとしてはとてもうれしいものです。
同じく前情報としてS3には「革新的な温度管理システム」が採用されているとありますが、これは上位モデルなどで一部採用されている「Innovative Thermal Management」を指しており、暖気(暖気が終わりアイドル回転数が下がるのがとても早い)やエアコンの効きがとても早いことで実感することができます。副次的な効果として冷間始動時のエンジン保護も期待できそうです。
個人的に嬉しかったのはここまでハイスペックなエンジン、かつトルクフルな直噴ターボにも関わらず2000回転以下が穏やかな特性になっているので、普段乗りでもあまり神経質にアクセルワークする必要がなく、普段使いでとても扱いやすいエンジンということがあります。ターボラグといえばそうなのでしょうが、素がパワフルなので「ファミリーカー」として使う時はこれくらいラグがあったほうが却って使いやすいですね。たとえば同じアウディのモデルでいうと、A5SB(2.0TFSI)のエンジンは出足が良すぎて怖かったりします。ここは好みの問題もありますが、私の家の周りのように細い路地が多い場合、ピーキーな特性の車は普段使いで扱いずらいのは確かです。
■クワトロ
今回の車選定でA45でもBMWでも、ゴルフRでもなく
S3にした理由のひとつがこれです。「みんなクワトロ良いって言うけど実際どうなのよ」という思いが長いことありまして、、、。特に詳しい友人(プライベートはずっとFRでレース経験もある人)がTTのクワトロモデルに乗り換えた後「
四駆のイメージ変わった」とかいう話を聞いてからは更に気になっていました。
以前箱根で慣らしに行ったときに今まで経験したことのないコーナリング感覚を感じましたが、最近では様々な状況でクワトロがコーナリング性能をかなり引き上げているのではないか、と感じる場面が増えてきました。正確には増えてきたというよりも、やっと鈍い自分が
理解できてきたかも?という感じでしょうか。
コーナリング時に程よくリアを蹴り上げている感触があり、これが軽快さや旋回性能の高さに寄与しているように思います。
ゴルフRとS3は基本的には同じハードを使っていますので、4WDシステムに関する基本性能は全く同じかと思います。ただ
クワトロの神髄は4WDセッティングに関する膨大な蓄積データにあると言われていますので、今回のS3ではアウディ(もしくはクワトロ社)は過去データを元にかなりスポーツ走行寄りの設定にしているのではないか?と推測しています。
実際、アウディジャパンプレセールス部商品企画マネージャーの田代友康氏は北海道帯広で行われたA3セダン(1.8クワトロ)のメディア向け試乗会で「
A3シリーズのクワトロはいわゆる“ポン付け”のハルデックスとは違う」「
駆動力を配分するアルゴリズムのプログラミングなどで、アウディは長年の蓄積があり、クワトロの名を冠するからにはその走行性能に妥協はない」と述べています。A3とS3もハルデックスのセッティングは違うという記述も散見されましたので、S3にはよりスポーツ志向のアルゴリズムが組み込まれていると想像できます。こういう情報は訴求ポイントにもなるので、もっと積極的にだして欲しいですね(苦笑)。
ゴルフRもS3も今回のモデルでは相当緻密な制御をしているようですし、兄弟車と言われながらも各々の個性/差別化につながる部分だと思いますので、是非これはゴルフRと比較してみたいです。
本当はそういうのはプロの方に詳細な記事を書いて頂きたいのですが、何だか読んでてもよく分からない or 当たり障りのないことしか書かない or 本当に乗ったのか?という記事ばかりで参考にならんですよね。。。
■マグネティックライド/アウディドライブセレクト
各領域で80点の性能を期待しつつ前から「一度試してみたかった」ということでMRを選択しましたが、納車直後はバネが馴染んでいないこともあり「失敗したか?」と感じたこともありました。ただ以前も書いた通り、マグネティックライドサスペンション(以下、MR)は距離を走るごとにとてもいい具合にフィーリングが良化しています。特に
コンフォートと自動、効率あたりのフィールは大分良くなりました。
今回の旅行中でも伊豆スカイライン~ターンパイクをUPDOWNした後、更にフィールがよくなっており、まだまだフィーリングが変わりそうな気がしています。ひょっとしたらMRは減衰力固定のモデルよりもショックの慣らしで変化幅が大きいのか、あるいはバネの馴染みに時間がかかる機構なのか、または減衰力調整の学習機能(どうやらこちらも細かい制御しているという情報あった)などもあるのかもしれません。公式な技術資料がないので定かではありませんが、もう少し仕組みを調べてみたいところです。
ただ
一つ2点ほど不満なのは、MRに限らずアウディドライブセレクトの選択方式が自分の趣向に遭わないことと、一部セッティングの詰めが甘い点です。
当たり前の話ですが、
基本的にバネレートは固定ですので、ここまで広いレンジをカバーするサスペンションだと減衰力だけで全てを調整しきるのは物理的に無理があります。なので、いっそのこと
コンフォートとダイナミック、効率の3モード(+個別)くらいに集約して個々のモードのセッティングをもう少し詰めても良かったんじゃないか・・・と思わないでもないです。
個人的な見解(好み)では効率モードはMRセッティングをコンフォートと同じにしてエンジン&ミッションだけ変える、自動の設定をベースにもう少しスポーツ寄り(減衰高め)にしてダイナミックモードとして設定、コンフォートはそのまま。この3セットでバネレートを最適化すればかなりいい感じになったんじゃないかな(と妄想しています)。
そう思ってしまう理由はドライブセレクトの選択方法でもありまして、
3シリーズやAクラス、レクサス(IS/CT)のように一発で設定したいモードに入れることができないUIなんですよね。ステアリングホイールのボタンにドライブセレクトを割り当てることができますが、ここを押そうがセンタコンソールのボタンを押そうが、各設定を順番に呼び出す形になるので一発で切り替えられないのです。またこれ以外にも「効率モードを経由したのでアイドルSTOP無効化ボタン押したのにこれが元にもどる」「ボタン押しすぎるともう一周・・・」みたいな状態が若干ストレスになります。
ただ徐々に当初期待していたレベルのサスペンションになりつつあるので、MR選択は間違っていなかったと言えると思います。
■インテリア、各種装備へのアクセス
これは前回も書いた通りです。ナビの施設検索、一部UI以外は非常に満足度が高いと言えます。これは個人の好みに由るところが大きいので、これ以上は書きませんが
質感の高さはクラス随一と言って良いかと思います。
■タイヤ
整備手帳にも書きましたが、大人二人+子供二人だと標準の280/260という空気圧はいささか高めかもしれません、特にコンチ履いている人は。。。
今は
260/240で非常にバランスとれており、もう少ししなやかなタイヤを履くことで更にバランスが取れるかもしれませんが、MRの馴染み具合次第ではこの先このままで十分と感じる可能性も高いですね。
ADVAN SPORT V105やPSSを履かせたらどう変化するか興味あります。
全体としてはCSC2などに比べるとグリップ/静寂性/ステアフィールなどのトータル性能は高いと感じました。空気圧調整後は走行フィールも低速の乗り心地もよく、コンチ5がついてたら当たりと思って良いかと。AOというのも最適化されているようで気分的に良いですね。
■トラブル、その他改善してほしい部分
最初にDでオイル交換したと書きましたが、実は少し前に「オイルレベルセンサー」が故障して部品交換しました。これを交換するとオイル抜くことになるので、交換後に純正オイルをそのまま入れてもらいました。マイナートラブルぽいですし、部品が国内にあったのでさほど影響ありませんでしたが、新車はオイル減りも多いこともあるので(今の車はそうでもないけど)ちょっとドキッとしますよね。
S3に限らず、A3系は同様の症状でる可能性ないとはいえないので、このエラーでたら速攻でDに行って部品確保、もしくは本国発注してもらうようにしましょう。
またコーティングの記事でも書きましたが、MyS3は長いことモータープールや出荷港で放置されていたせいか、そもそも塗装の品質がよくないのかコーティングの時の磨きで大分塗装のくすみがとれました。どうもアウディ車は全般的にこの傾向があるそうで、貧乏くさい話で恐縮ですが・・・「
クリスタルエフェクトの名の元にメタリック塗装以上のプライスつけてるんだから、もう少し塗装品質なんとかならんのか!」と言いたい気分ではあります。気が小さいので言わないけどね(笑)
■総評
シートの問題が半分解決したこと、その他の満足度が上がっていることもあり今回の買い替えは大成功だったということで、今は少しほっとしています。
もしこの車のデザインが気に入り、ドライブ時の家族の快適性とスポーツ走行の楽しみ、気持ちいいエンジンを持つ車を「オールインワン」として欲しければ買って損はありません。事前に期待する性能や満足感はほぼ手に入れられるでしょう。
ただもし私のようにファミリーカー+ホットハッチ(=スポーツドライビング用)の両立を最優先・・・というよりも、より
スポーツ走行に重きを置いたうえでS3を選択する方はMR、及びレザー仕様は止めておいた方が良いでしょう。更にスポーツ志向が強いようであれば、
M135などとも比較したほうが良いかもしれません。
スポーツ志向が強い方にMRを奨めない理由は、MR自体のスポーツ走行性能はSREだったり、ハイパコだったり、エナビルなどで完全にバランスとったハイスペックなバネ+ダンパーを
超えるものではないからです。もちろんA3系シャーシの基本性能としてとても回頭性が良い車ということもありますし、MRもそこそこ走れる足ではありますが、BESTな選択かというとちょっと違うかなと思います。
またシートは前述したとおり、振り回すような局面では明らかにサイドサポートが不足しております。良いオプションシートが無いこともありますので、走り込む人はレカロ等に換装することも視野に入れてレザーオプションは外すのが賢明です。
次は5000キロ超えたあたり(タブンペースががくっと落ちるので相当先)で再掲します。
Posted at 2014/05/05 16:36:31 | |
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