124スパイダーが来て、一年余りが過ぎようとしている。
このクルマを選んだ理由は、ベースがNDロードスターなので、前車NAで体験した整備やメンテが生かせるだろうと思ったし、軽量なクルマ特有の気持ち良さから離れられなくなっていた…それに、これまでのクルマとは何だか違って、遊び心がそこかしこにあって、何となく魅かれてしまった…
少し調べてみると、「フィアット 124 シリーズのオープンボディが1966年のトリノショーでデビュー。」とある。曲線を描きながらシャープに纏められた造形はピニンファリーナのデザインで、発売当時から世界中のクルマ好きを魅了したそうだ。まぁ、そのオマージュのアバルト版になるのだけれども、奇しくも1966年は馴染み深くて、半世紀以上の時を経て出逢えたのは、単なる偶然だけではないような気もしてしまう…
クルマ趣味の先は長い…(そうあって欲しい)ことから、最初の1年間はそのまま弄らずに楽しもうと決めていたけど、縛りがなくなったので、レコードモンツァを取り付けた。NAの時はエキマニと触媒の交換で、ボルトがもげないか、ヒヤヒヤしたけれど、124では物足りないくらいに嵌ってしまい、セルボタンを押した瞬間に、獣(蠍?)が目覚めたような炸裂音が響き、思わず笑ってしまった。
あぁ、イタリア車の本質ってコレなんだろうなぁ…
ラテンの血というか、とにかく陽気に行こうぜ~って
感性に語り、民衆はそれを求めている…
124スパイダーの脚廻りは、しなやかにロールを許すコイルが与えられているけれども、ダンパーはビルシュタインなので、硬めでゴツゴツしている。
それに、近年のワインディング路面は、総じて荒れているので、
正直、あと10歳も若かったらのなら、このまま楽しめただろう…
カスタムするに当たって、NAでは申し分なかったKONIのダンパーを取り寄せたので、仕事の手が空いた時にでも、取り換えを楽しみにしている。
好みの道具が使うにつれて、手に馴染むように、クルマのパーツも身体に合わせて自らの手で、組み付ける。それはとても幸せなことだとロードスターは教えてくれた。
久し振りにビーナスラインを走ってきた。
今年は雪が多かったから、標高の高い所では、まだら模様のように残雪があって、冷ややかな空気が漂って、髪を撫でては消えてゆく…
2年前に知り合った後輩が、早くも独立することになったので、今後も応援したい気持ちを込めて、助手席に伴なった。彼は、職人の世界では珍しく、あらゆる面で器用であり、とても明るく朗らかで、大きな夢を描いている。
クルマという空間、とりわけオープンカーは、心も開放されて、親しく話せる社交場のような雰囲気を持っているからか、何時になく、彼も饒舌で楽しいドライブとなった。このクルマについての感想はあえて聞かなかったけれども、擦れ違う黄色のオープンカーを見て、「やがては乗ってみたい…」と話していた横顔が妙に眩しく、色々なことが自分の若い頃と重なった。
思うに彼は、未来を切り開いてゆくだろう…そして、数年の後には、黄色のオープンカーに乗って自信に満ちた笑顔で現れる…そんな姿が自らの夢となる、貴重なドライブとなった。
Posted at 2022/05/05 19:15:46 | |
トラックバック(0) | 日記