2013年11月14日
5年ほど前に書いた記事が検索で引っかかって結構読まれているようなので、加筆し訂正を加えて書き直しておく事にします。
大体昔の記事見るの恥ずかしいんですよね。分かりもしないのに書いてたりする事もあるんで・・・^^;
なので見返して行ってアホな事書いてるヤツは消して行ってやろうかと^^;;;
ともかく。
自動車のレザーシートに関してです。
ジャガーは9割がたレザーシートなので(ハーフレザーってのはありますが)、レザーに関する知識は非常に重要です。手入れの方法に大きく関わってきますので。
かつてネットで調べてみましたが、国内/海外を含め大した記載がなされておらず、全く参考になりませんでした。特にジャガーに関しては。
どこを見ても、「コノリーは…」「コノリーだから…」この記述ばかりです。
しかし、一からげにコノリーコノリーと言われていますが、コノリーと言えどグレードによって全く異なる訳です。
例えばX300のグレードの中でも、ダイムラーはいうまでもなく、セレクトとソブリンですでに違い、恐ろしい事に年式によっても違います。ロールスやベントレーも違うし、フェラーリもやはり違います。ましてや日産のインフィニティやプレジデントに使われていたやつは当然違います。
要は、コノリーだから高級で素晴らしいというのは明らかに間違っているということです。
まず知っておいて頂きたいのは、レザーには大きく分けて3つの種類があるという事です。
1つはアニリンレザー。表面を鞣し、染色した(セミアニリンの場合は顔料を加えたり表面のコーティングをしたりする)のみで加工をしていない革です。
2つ目はウレタン仕上げの革。これは表面に厚くウレタン塗装を施した革です。
3つめはスエード/ヌバック。スエードは厚い皮を半分の厚さにスライスした裏側を表に持って来たもの。ヌバックは銀面を削り取ったもので、いずれも繊維が表に出てきます。
ネットで散見されるのが、コノリーのグレード分けの中にはセミアニリン仕上げとウレタン塗装仕上げの2種類がある「らしい」ということ。
しかし、福野礼一郎氏著の「極上中古車を作る方法」によれば、88年式のロールスロイスですらそのコノリーレザーは塗装仕上げです。ただし皮自体のグレードはとてつもなく高く、塗装皮膜は薄い上に、ウレタンではなくビニール系塗料を使用している(氏の見解)ので他のクルマとは全く別物のようです。
実際私も見て触って確かめましたが、明らかに塗装した革で、ハンドバッグや高級靴とは違いました。
確かにコノリーはセミアニリン仕上げの革も扱っていたのでしょう。
しかしそれが自動車に使われる事はなかったと言い切っていいと思います。
「自動車向け」のセミアニリン仕上げというのは比較的最近現れたものですので、私としては2003年に倒産したコノリー社がその技術をもっていたのか疑問です。むしろその技をもっていなかったから倒産したのではないかと個人的には思っています。
アニリンやセミアニリンの革は風合いが非常に優れている反面、自動車の内装のような過酷な環境で使用するのには向いていません。
トヨタがセミアニリンをはじめて採用したのが2000年のセルシオからです。それからメルセデスなどもセミアニリンを採用し始め、現在高級車にはセミアニリンが採用される事例が多くなっていますが、これは自動車に使用しても長く耐えうる表面加工が出来るようになったからです。
これの登場と引き換えのようにコノリー社は倒産したということです。さらには、コノリーが倒産する前にすでにロールス・ベントレー・フェラーリの各社は取引をやめていたと言いますから、この辺りどうであったのか非常に興味があります。
コノリーの自動車向けレザーのグレードは大きく分けて2つ。
オートカーフとオートラックスです。
前者がそこそこのクルマ用、後者が超高級車用です。
ラックスというのはシャンプーのラックスと一緒で「luxuary(ラグジュアリー)」から取ったものです。
もちろん、先述の通り、この中でも細かなグレード分けはあると思います。
さて、それではジャガーの革はどうなのでしょうか。
X300やX308の通常グレードが分厚い塗装を施した並みのレザー(=オートカーフ)であることは間違いがありません。ソブリンはグレードが高いとされていますが、実際X300においては96年MYの時点でセレクトと区別は出来ないレベルになっていました。95MYは違うんですがね。
ダイムラーの革はどうかと言いますと、これはもう別物です。
ただし、ロールスの革ともまた違うんですね。
また、ダイムラーと言っても、Sr-3のDD6の革ははっきり言って良くないです。これは間違いなくオートラックスではないでしょう。通常のXJSのV12はオートカーフですが(オプションでオートラックスも選べた)、それでも上質で革が柔らかく、X300/308時代の革とは別物です。
ダイムラーに本当に質のいいレザーが使われ出したのはXJ40以降でしょう。XJ40の93年のマジェスティック、94年のソブリンリミテッド、XJSの6.0最終や4.0リミテッド、X300のDD6、この辺りは間違いなくロールス級に近いレベルのオートラックスが奢られています。
長くなったので、手入れに関する事は次回に回します。
Posted at 2013/11/14 05:07:39 | |
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