もう手放しでしまったカブくんですが、買った当時を振り返ってみました。次のオーナー様へのメッセージです。
およそ3年程前にヤフオクで手に入れました。出品者が比較的近場でしたので落札後現物確認致しました。バイクショップの方も同席してもらいピストン、シリンダー、シリンダーヘッドを目視確認しました。シリンダーとピストンにはストローク方向に傷がありました。推測するに、前オーナーがオイルレベルを確認せず、オイル切れの状態で走り、油膜が切れてしまいピストンとシリンダーが直接触れ合った事によるものと思います。これは同席のバイク屋さんも同意見でした。以前のカブですとこれくらいでは簡単に焼き付きなど起こさないようですがJA10はオフセットシリンダーのせいか、ピストンが上死点に向かう側に傾きやすいのかもしれません。
気になるのは、シリンダーとピストン以外のダメージです。白煙吐いていたと聞きましたのでオイル混入での燃焼によりヘッドが高温に晒されてしまい、熱的応力によるクラックを心配しました。自動車のような多気筒エンジンの場合焼き付きを起こしていない気筒が頑張る事により焼き付き起こした気筒の燃焼室が高温になりアルミの断面積が急変する箇所に亀裂を起こす場合があるからです。多くの場合バルブとバルブの間に亀裂が発生します。もちろんそこは重点的に見ましたが、良好な状態でした。またヘッド内部油膜切れによるカムとロッカーアーム接触部にダメージ受けてる可能性があるので、ローラーロッカーアームおよびカム面も入念にチェック致しました。ローラー面も傷一つなく摩耗も見られませんでした。燃焼室はオイル吹き返しにより黒く汚れていましたが、拭き取るとカーボン体積もなく、良い状態で燃えている事が分かりました。
次に腰下です。前述の若く多気筒エンジンであれば焼き付き起こしたまま強制的に回転させられる為コンロッドビッグエンド部にダメージが出てしまう事があります。気になる横方向のガタもなく、コンロッドの摺動も滑らかでした。
小排気量なので燃焼室表面積が小さい事、単気筒なので他気筒から駆動されない事、ガソリンエンジンなので負荷が増大するとエンジン回転数が下がるのでディーゼルエンジンのような深刻なビッグエンドへのダメージは発生しないのだと考えております。もちろんスモールエンドも目視確認で問題ない事確認しております。
このような状況でしたので、ボアアップキットでシリンダー及びピストン、ピストンピンを交換すれば問題ないと判断してボアアップ行いました。
念のため、腰下は新品のオイルをたっぷり使い少なくとも2回はオイル洗浄してもらいました。
初期のオイル交換は新しいオイルを入れた後全て排出して規定量まで入れる簡易的フラッシングを行なっております。エンジンフラッシング剤が市販されておりますが、残留成分が悪さするのを嫌い、使っておりません。その代わり古いオイル分を出来るだけ排出するよう心がけました。
ボアアップ直後は振動を感じメーターパネルの共振で苦労しましたが3000キロ過ぎたあたりより振動も低減し、慣らしが終わった事実感しました。焼き付きによる吹き返しでエアクリーナーまで汚染されていましたので、クリーナーボックスの清掃とエアクリーナーを新品に交換致しました。
ボアアップはエンデュランスさんから出されているWAVE用純正ピストン&シリンダーにするかを悩みました。4ミニの世界では有名なタケガワというブランドの信頼性と圧縮比上げる事での効率アップを考え、今のキットに決めました。結果的に正解だと信じております。メーカーは圧縮比上げるメリットよりレギュラーガソリン使えないデメリットを天秤にかけるので、ハイコンプピストンは使いたくても使えないのです。ハイオクさえ入れていれば何も問題ありません。
私はむしろ入手した時点のエンジン内部を確認できた事は良かったと思います。入手後15000キロ程走行しておりますがエンジンはノートラブルです。むしろこれからが本番です。
Posted at 2019/06/30 00:41:13 | |
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