失敗談です。
タイトルはキャリパーカバーとなってますが、複合的な問題です。
キャリパーカバー自体に問題があったわけではありません。
キャリパーカバーの取り付けは難しいものではないです。
汎用ステーをイイ感じで曲げればいいだけです。
キャリパー側のボルトが一般的なステーの穴より大きいので
それの加工に少々の手間がいりますが。
で、取り付けてタイヤを装着したところ、ホイールとの隙間が
非常にヤバイ感じがしたので5mmのホイールスペーサーを入れました。
ワイドトレッドスペーサーではありません。ホイールスペーサーです。
これが第一の間違いです。
同時に、カッコ良かろうとアルミのホイールナットも変えました。
ものすごく安かったし、それなりにカッコ良いものです。
これが第二の間違いです。
タイヤを取り付けるとき、トルクレンチ使ってますか?
締め付けトルクを適正にしないと、いろいろ問題があります。
足りないときの問題は説明無用ですね。
適正以上のトルクで締め付けると、それはそれで問題があります。
ナットがなめる、ボルトが折れる、そういうものも説明がいりませんが
そうなる前の段階で問題が発生してます。
ホイールを取り付けたとき、ボルトとナットはどうなってるのか?
くるくるナットを回して締め付けていくとナットがボルトを抜こうとする力が発生します。
そして、ボルトはナットに引っ張られて、元に戻ろうとする力が発生します。
ああみえて、鉄のくせに輪ゴムと同じように伸びて縮もうとしてるのです。
このとき、規定を超える締め付けトルクになるとボルトが伸び過ぎて戻る力が弱くなります。
そうなると、トルクレンチで締め付けても、すぐに緩みます。
うちのせりこちゃんは、前の持ち主がトルクレンチを使ってなかったのか
全20本のボルトのうち3本がヤバイと言われておりました。
そんなところにホイールスペーサーを噛ますとどうなるか?
ボルトとナットの溝が噛み合って、その溝にかかる摩擦力で固定されてるわけです。
例えば、ナットの長さが5cmとしましょう。1cm辺り10本の溝があるとしましょう。
適正トルクで締め付けたとき、ボルトとナットが3cm重なってるところに
5mmの邪魔者が入ってくることで、これまで30本の溝で支えてきた力を
25本の溝で支えることになります。
1本の溝にかかる力が増えるわけです。
さぁ、そこで問題になるのが安物のアルミのナットですよ。
30本の溝なら何とか支えられたのに、25本に減りました。
しかもボルトは半分死んでて、既定値のトルクに達するまでに、いつも以上の力が
ボルトとナットにかかるようになっていたわけです。
最終的にナットの溝が破綻して、ぐんにゃりと死にます。
ナットだけ死んでくれたら、特に大きな問題にはならなかったのに
死にかけのボルトの溝を、ほんのわずか、目視でわからないようなレベルで
道連れにして死んだようです。ルーペで見ればわかるかもしれませんが。
結果、ナットを手で回していくと、途中でクルクルきれいに空回りして
ホイールを止められないクソボルトが生まれて、泣くことになりました。
ボルトそのものは1本あたり数百円という安いものですが
工賃含めて、もう一本の死にかけも交換して、8000円かかりました。
ちょっとホイールの内側に赤いものが欲しい…そんなことを考えた結果が-8000円。
そういう実体験から、キャリパーカバーは人にはオススメしません。
一部のショップでは、5mmのスペーサーを使うならハブボルトを長いものに
交換することを薦めてるところもあるそうです。
ちゃんと全体を考えて、手間とお金をかけてドレスアップしましょうね。
無知が勢いで行動すると、こういう結果になりますよ。