その時であった。灰煙りを突き破って、ただ一騎モルフィネス達の前に躍り出て来た武人がいた。敵の騎馬部隊を采配していた四天王が一人セイリュウであった。視界の利かない中で己の部隊が自壊して行くのを見てセイリュウは自軍を見放し、ただ一騎タゴロローム軍の旗頭であるエレナを狙って突撃を敢行したものと思われた。モルフィネスの油断もあったであろうが、突入のタイミングも悪かった。彼の配下の兵士達が次の灰攻撃の準備をしていた最中であった。 あっという間もなく、モルフィネスの陣を突っ切って本陣にいるエレナの所まで迫った。" すべての女の子は美しく輝く肌を望んでいます! バレンタインデーの計画に関係なく Låt oss inse det, skönhetsprodukter är dyra Нравится нам это или нет 您是否知道銅管樂器的健康和美麗需要特別注意?這是真的-他們的幸福和幸福取決於它 "この時、エレナは馬上にあった。後方深く守られていたが、奮戦するタゴロローム軍の勇者達を気遣い、せめて共に戦っている姿を示そうと騎乗していたのである。その殊勝な心掛けが彼女の身を救った。真っしぐらにエレナ目掛けて突っ込んで来るセイリュウに気付いたエレナは馬上で腰の剣を抜いた。セイリュウは愛用の長剣でエレナの胸目掛けて突いて来たが、エレナは軽くいなすようにそれを弾いた。駆け抜けて行ったセイリュウが馬を返して再度突入を掛けようとした時には、ヘルデンに指揮されたハンベエ親衛隊の面々が槍襖を作ってエレナの前を遮っていた。モルフィネスの弓部隊が自分に照準を合わせ始めたのも見える。「ちいっ。」この状況にセイリュウは馬を返して逃げ去って行った。「雑兵ばらと差し違えるほど、私の命は安くない。」と捨てゼリフを吐いていた。襲って来たのがハンベエだったらどうだったのだろう。こんなに易々と退いたであろうか?攻撃の徹底性という点で、ステルポイジャンの軍は劣っていた。なまじ大軍を擁している為、死に物狂いという状況まで自分達を追い込めないのであった。. エレナは何事も無かったように、ハンベエ達が死闘を繰り広げている前方に目をやった。タゴロローム軍は押している。しかし、敵の壁は厚く最後の壁は中々破れそうに無いようだ。 数に勝るステルポイジャンの軍は側面からも攻撃を仕掛けて、時にタゴロローム軍が崩れそうになる。その度にハンベエやドルバスが駆け付け、そして盛り返すという事が繰り返されていた。エレナはその様子をじっと見ていた。美しいが、感情の読み取れない無表情な顔であった。戦いというものは、そして覚悟というものは人を無表情に変えてしまうものなのだろうか。エレナのすぐ側にはロキがいた。ロキも今日ばかりは口数も少なく無表情であった。
エレナの危難にヒヤリとしたモルフィネスであったが、敵の騎馬部隊の壊滅を確信したらしく、配下の弓部隊に下知を下した。「これよりは、前線の援護に回る。全軍矢を満載して付いて来い。」馬に跨がって進み始めた。ハンベエは何度も敵の本陣に突入していた。だが、その度にステルポイジャンは身を躱して後方に下がり、未だその首を上げられずにいた。味方の将士の勇戦奮闘は称賛に値するものであったが、彼我の兵力の差は如何ともし難く、時に崩れ立つようになって来た。ハンベエもドルバスもただもう必死で崩れ掛けた味方の下に飛んで行っては退勢を挽回していた。東に西に目の回るような忙しさである。一方、ステルポイジャンは苛立ち始めていた。 味方は優勢な兵力に物を言わせて、敵を四方八方から攻めたて、時に崩し掛けている。しかし、タゴロローム軍は崩れそうに見えて中々崩れなかった。崩れても大崩れはなく、直ぐに盛り返して来るのである。. このしぶとさは一体何なのか、ステルポイジャンの長い戦歴の中にも今日のタゴロローム軍ほどしぶとい軍勢は中々お目に掛かった事のないものであった。意外であったが、タゴロローム軍のしぶとさはハンベエの施した編成に理由があった。
一方ハンベエは、せせら笑いの混じるテッフネールのセリフなど耳にも入っていないぜ、と言わんばかりの無関心さで、無言のまま『ヨシミツ』を抜き、斜め下段に構えた。「ハンベエ、その若さで軍司令官とは異例の出世でござるな。座り心地はいかがでござる。」無視を決め込むハンベエを前に、智慧城市香港テッフネールはニヤニヤとからかいの言葉を止めない。ハンベエは黙したまま動かず、じっと相手のマナコを見詰めた。「ダンマリでござるかの。しかし、ハンベエ、早々に軍司令官自らのモテナシとは恐れ入ってござるよ。頼れる手下がおらぬのでござるか。」「・・・・・・。」「折角軍司令官まで上り詰めているのに、一介の刺客を自ら相手をするとは、命が惜しくはござらぬのか。」「・・・・・・。」「いやいや、命が惜しくないはずはござらぬの。みどもが町に入ってからの兵士達の警戒ぶり、意外に小心な心の底が透けて見えるでござる。」「俺が小心者なのは間違ってないが、今回はお前がやって来るのを知っていただけの事さ。」「ほう・・・・・・。噂は羽根が生えていると言うでござるから、既に聞こえておったでござるか。」「いや、ステルポイジャンから報せが届いていたのさ。テッフネールという奴が俺を殺しに来るから気をつけろってな。」「・・・・・・。」思いもよらぬハンベエの一言に、今度はテッフネールが押し黙った。無論、ステルポイジャンから報せ云々(うんぬん)は嘘も嘘、敵の動揺を誘わんとする真っ赤な出まかせであった。窺うようにハンベエをしばし見詰めたテッフネールは、「やれやれ、まだ若造のくせに相当腹黒いしたたか者のようでごさるな。どうトチ狂えばステルポイジャンがみどもの事をハンベエに知らせなどするのでござるかな。」と口を歪めて言った。流石に、にやけた顔ではなくなっている。「知らねえよ。心変わりは人の常。大方、お前の事が邪魔にでもなったんじゃねえか。」「ふん、見え透いた手でござる。その程度のハッタリでみどもが動揺すると思うでござるか、ハンベエ。」「さっきからハンベエハンベエと、・・・・・・敵の癖に心安げに俺の名前を呼ぶんじゃねえ。」ハンベエはイラだった様子で吐き捨てると、いきなり間合いを詰めてテッフネールに斬り付けた。相応(あいおう)じて、テッフネールも斬り返して来る。両者は駆け違って位置を入れ替えた。ハンベエの左脇腹から右の脇にかけて服が切り裂かれていた。この日のハンベエは鎖帷子、手甲脚半、鉢金までした完全武装であった。テッフネールはハンベエの太刀を躱しつつ、刃(やいば)を滑らすようにして、その衣服を切り裂いて見せたのである。上物の鎖帷子を着込んでいたため、刃はその上を滑っただけであったが、着用していなければテッフネールの刃はハンベエの体に吸い込まれるように入っていたであろう。先制攻撃を掛けたが、ハンベエの一撃は僅かにテッフネールの肩口、服の布地を裂いたのみであった。「ふっ、鎖帷子を着込んでいたでござるか。中々上等の鎖帷子のようでござるな。少しばかり太刀使いを変えねばならぬようでござるな。」必殺であったはずの一撃が鎖帷子に阻まれてハンベエに手傷すら与えられなかったが、テッフネールは別段残念がる様子もない。斬られた!フデンの下を辞してから、ハンベエにとっては初めての事であった。自分の刃は届かず、相手の刃に斬り裂かれたのである。ハンベエの顔色が蒼白に・・・・・・ならなかった。この若者はどういう神経をしているのか、「全く、用心ってのは、やっておくものだな。帷子着込んでいたお陰で、命拾いしたぜ。」とふてぶてしく笑って見せたのである。(鎖帷子が無ければ死んでいた・・・・・・だからどうした、鎖帷子は最初から着込んでいた、テッフネールの奴の一撃は俺に何の痛打も与えちゃいねえ。)ハンベエは胸の内でそう嘯(うそぶ)いていた。その横顔には些かの動揺も読み取れない。「ほう、強がって見せるのが上手うござるの。顔色が少しも変わらぬのは大したものでござるが、お前の兵士達は心配そうに見ておるぞ、ハンベエ。」テッフネールが再びにやついた顔に戻ってせせら笑っていた。テッフネールの指摘したように、タゴロローム守備軍兵士達がざわめいていた。「斬られた・・・・・・。」