しかし、今のたっつんは、たやすく人のせいにせず、自らを責め成長の糧とする、ということを出来るようになっていた。(又爺の教えを無駄にしちゃいかん。)最後まで、たっつんを武骨に気遣ってく
海外集運た又爺に報いるには、又爺の教えを守る事。それがたっつんなりに出した答えであった。そのため、今も、又爺を失った悲しみを腹の底で練りながら、落ち着いた挙措で武吉と向き合っていた。「海獅子様は、誠に偉大な方であった。」しかし、重々しく言う武吉の言葉に、たっつんは下を向いてしまった。本当は海獅子という聞き慣れない異名を確認したかったのだが、又爺を失ったばかりである。いくら哀しみを抑え込んでいても、又爺の話になると、様々な記憶が脳裏に浮かぶ。殴られた事。叱責された事。諭された事。そして、助けられた事。それらは全て、厳しい中にも暖かな色合いを帯び、感情の波が沸き上がってくる。(こんな、ほぼ初対面の人の前で…、この場で泣く訳にはいかん。)たっつんは下唇を強く噛み、目をつぶって、小刻みに震えていた。
Posted at 2018/08/27 21:10:59 | |
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