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jennifer92のブログ一覧

2021年03月02日 イイね!

どれほどの時間眠っていたのだろう

どれほどの時間眠っていたのだろう。ようやくモスカが目を覚ました時には、外は薄暗かった。既に夕方なのであろう。「誰かある?」空腹を覚えたモスカは半身を起こして呼ばわった。しかし、返事は無い。(おかしい。)首を捻りながら立ち上がった彼女は、自室の戸を開けて、もう一度呼ばわった。やはり、返事は無い 何やら、普段と城の様子が違っていた。この夕方の時刻、いつもなら食事の用意等で下働きの雑仕女達で賑わっているはずである。それが妙に静かであった。代わりにガサゴソと何かを物色しているような音がしている。モスカは奇異に感じ、廊下を『誰かある?』と呼ばわりながら歩いた。突然、人相の良くない男が三人ほど顔を出した。一目で兵士崩れの無頼漢と分かる服装と凶暴な顔を持っていた。彼等はモスカを見て、ほんの一瞬驚いたような顔付きになったが、「女だ。」「女だ。」international school primary「しかもかなり上等な女だ。」と口々に呟き、発情した厭らしい目付きでモスカを見た。「その方らは何者じゃ。此処で何をしておる。」下賎の者共め、このわらわに何という不埒な目付きを向けおる、とモスカは男共を睨みつけた。「俺達ゃ、見ての通りの泥棒よ。そう言うお前さんは誰だい?。」
「無礼者、身分を弁えよ。わらわはこの城の主にして、この国の国母ぞ。」「・・・・・・って事あ。モスカ夫人ってわけかい。へへ、聞いたかい。恐れ多くも太后陛下らしいぜ。」目の前にいるのが、太后モスカと聞いても男共は驚く様子も無くニヤニヤと仲間同士目配せを交わしている。「なるほど、この城の主がモスカ夫人とはどこかで聞いたような気がするな。しかし、モスカ夫人だとしても、女にゃ違えねえ。」「確かに女だ。しかももう若くはないが、いい女じゃねえか。へへへ。」 三人の兵士は下卑た笑みを浮かべてモスカに近付いて行く。「わ、わらわをどうするつもりじゃ?」流石に蒼白になって後退りしながら、モスカが喚いた。「なあに、そんなに脅えなくても殺しゃあしねえよ。ただちょっとアレをするだけさ。男と女がやるアレをな。」「へへへ。」「へへへへ。」「何と無礼な。誰かある。誰ぞ。」怒りと恐怖にブルブルと震えながら金切り声を上げるモスカ。だが、彼女の声に応ずる者はいない。「無駄だよ。みーんな逃げちまったよ。貴族共もこの城の人間もよ。」「何んじゃとっ。」「だから、大人しく観念して楽しい事しようぜ。太后陛下さんよ。いてっ。」スケベ面を崩しながらモスカの肩を掴もうとした男は、弾かれたように手を引っ込めた。右手の甲が切り裂かれていた。モスカが短剣を抜いて切り付けたのだった。「このアマァっ。」男の怒鳴り声を背後に聞きながら、モスカは身を翻して自室に向かって駆け出していた。「逃がすんじゃねえ。」喚き立てながら、追い縋る男共を尻目に、モスカの部屋の戸がバタンと閉められた。恐らく中から鍵を掛けたであろう。「往生際の悪い女だ。殺しゃあしねえって言ってんのによ。今更勿体振る玉か、元々、色仕掛けで前の国王に取り入った女狐が。」手傷を負わされた男は毒づいて戸を蹴破った。 モスカは寝台の上にペタンと端座していた。しかし、奇妙な事に頭から水でも被ったかのようにびっしょりと濡れていた。「なんでえ、お誂え向きにベッドの上じゃねえか。しかし、なんだこの臭いは油か。油なんか被ってどうしようと言うんだ。まあいい、油まみれの女を抱くのも一興ってもんだ。」目を血走らせながら、男は一歩踏み出した。「それほどわらわが抱きたいか? ふん、抱かれてやっても良いぞ。わらわも男は嫌いでもない。」 火のようにマナコを燃え立たせ、思い出したかのように普段の驕慢な笑みを浮かべてモスカは言った。
Posted at 2021/03/02 23:20:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | パソコン/インターネット
2021年02月28日 イイね!

その時であった

その時であった。灰煙りを突き破って、ただ一騎モルフィネス達の前に躍り出て来た武人がいた。敵の騎馬部隊を采配していた四天王が一人セイリュウであった。視界の利かない中で己の部隊が自壊して行くのを見てセイリュウは自軍を見放し、ただ一騎タゴロローム軍の旗頭であるエレナを狙って突撃を敢行したものと思われた。モルフィネスの油断もあったであろうが、突入のタイミングも悪かった。彼の配下の兵士達が次の灰攻撃の準備をしていた最中であった。 あっという間もなく、モルフィネスの陣を突っ切って本陣にいるエレナの所まで迫った。" すべての女の子は美しく輝く肌を望んでいます! バレンタインデーの計画に関係なく Låt oss inse det, skönhetsprodukter är dyra Нравится нам это или нет 您是否知道銅管樂器的健康和美麗需要特別注意?這是真的-他們的幸福和幸福取決於它 "この時、エレナは馬上にあった。後方深く守られていたが、奮戦するタゴロローム軍の勇者達を気遣い、せめて共に戦っている姿を示そうと騎乗していたのである。その殊勝な心掛けが彼女の身を救った。真っしぐらにエレナ目掛けて突っ込んで来るセイリュウに気付いたエレナは馬上で腰の剣を抜いた。セイリュウは愛用の長剣でエレナの胸目掛けて突いて来たが、エレナは軽くいなすようにそれを弾いた。駆け抜けて行ったセイリュウが馬を返して再度突入を掛けようとした時には、ヘルデンに指揮されたハンベエ親衛隊の面々が槍襖を作ってエレナの前を遮っていた。モルフィネスの弓部隊が自分に照準を合わせ始めたのも見える。「ちいっ。」この状況にセイリュウは馬を返して逃げ去って行った。「雑兵ばらと差し違えるほど、私の命は安くない。」と捨てゼリフを吐いていた。襲って来たのがハンベエだったらどうだったのだろう。こんなに易々と退いたであろうか?攻撃の徹底性という点で、ステルポイジャンの軍は劣っていた。なまじ大軍を擁している為、死に物狂いという状況まで自分達を追い込めないのであった。. エレナは何事も無かったように、ハンベエ達が死闘を繰り広げている前方に目をやった。タゴロローム軍は押している。しかし、敵の壁は厚く最後の壁は中々破れそうに無いようだ。 数に勝るステルポイジャンの軍は側面からも攻撃を仕掛けて、時にタゴロローム軍が崩れそうになる。その度にハンベエやドルバスが駆け付け、そして盛り返すという事が繰り返されていた。エレナはその様子をじっと見ていた。美しいが、感情の読み取れない無表情な顔であった。戦いというものは、そして覚悟というものは人を無表情に変えてしまうものなのだろうか。エレナのすぐ側にはロキがいた。ロキも今日ばかりは口数も少なく無表情であった。



エレナの危難にヒヤリとしたモルフィネスであったが、敵の騎馬部隊の壊滅を確信したらしく、配下の弓部隊に下知を下した。「これよりは、前線の援護に回る。全軍矢を満載して付いて来い。」馬に跨がって進み始めた。ハンベエは何度も敵の本陣に突入していた。だが、その度にステルポイジャンは身を躱して後方に下がり、未だその首を上げられずにいた。味方の将士の勇戦奮闘は称賛に値するものであったが、彼我の兵力の差は如何ともし難く、時に崩れ立つようになって来た。ハンベエもドルバスもただもう必死で崩れ掛けた味方の下に飛んで行っては退勢を挽回していた。東に西に目の回るような忙しさである。一方、ステルポイジャンは苛立ち始めていた。 味方は優勢な兵力に物を言わせて、敵を四方八方から攻めたて、時に崩し掛けている。しかし、タゴロローム軍は崩れそうに見えて中々崩れなかった。崩れても大崩れはなく、直ぐに盛り返して来るのである。. このしぶとさは一体何なのか、ステルポイジャンの長い戦歴の中にも今日のタゴロローム軍ほどしぶとい軍勢は中々お目に掛かった事のないものであった。意外であったが、タゴロローム軍のしぶとさはハンベエの施した編成に理由があった。

Posted at 2021/03/01 03:24:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | パソコン/インターネット
2021年02月25日 イイね!

「負けたら、何にもならないっしょ

「負けたら、何にもならないっしょ。」こう呻いた後、口からも血を吹きビャッコは事切れた。 ひゅうと一陣の風が両者の間を吹き抜け、ハンベエのそそけ立った髪を撫でて行った。 ビャッコは倒したが、まだ戦は終わったわけでは無かった。ハンベエの前方には現国王であるフィルハンドラに付き従う兵士達が、既に死を覚悟した形相で剣を構えている。タゴロローム軍はそれを三方から囲むようにして対峙していた。「この男、丁重に葬ってやってくれ。」天を仰いで息絶えているビャッコから目を離し、後ろの兵士を振り返ったハンベエは言った。疲れ果てて何の感情も湧かない頭は茫漠たる虚無に満たされていたが、しかし尚ハンベエには忘れてはならない事が有った。(ガストランタの野郎は何処だ。)見回したところ、" 「いま、の、は………」 其實想要去減肥一定是需要一個過程的 女生在健身的時候,早餐的搭配十分鐘重要 そうだったのか"ハンベエの目の前に居る軍勢の中にいる気配は無かった。ガストランタは一応ステルポイジャンの片腕、五千人という数の兵士達の中に有っても指揮官として存在感を持っているはずだが、それが全く無い。疲れてはいても、ハンベエの五感は鋭い。この中にはおらぬ。)ハンベエはそう断じた。元々俺はガストランタって奴を斬る為に今回の戦を起こしたんだ。此処で逃がしでもしたら・・・・・・シャレにならねえ、とハンベエは眉間に皺を作った。逃げやがったか、逃がしゃしねえぜ、胸中に火を焚きながらハンベエは踵(きびす)を返そうとした。だが丁度その時に、「待て。」と声が掛かった。味方陣営からではなく、敵陣営からであった。防備を固めている敵陣の兵士達を押し分けて出て来たのは何と現国王であるフィルハンドラであった。鎧の袖を掴んで引き留めようとする何人かの側近を振り払うようにしてハンベエに向かって進んで来た。 タゴロローム軍の兵士もそして国王を守っている兵士達も言葉を忘れ、固唾(かたず)を飲んで成り行きを見守った。(身なりから、どうやらこいつがフィルハンドラって奴らしいな。)ハンベエはそう思いながら、近付いて来る相手を見詰めた。無表情で鈍い目付きである。「ハンベエとやら、一騎打ちを申し込む。」 フィルハンドラまだ弱冠十六歳、蒼く済んだ白目と真紅の唇を持つ美少年であった。その口元は一文字に閉じられ、味方の敗勢に狼狽(うろた)えている様子もない。ステルポイジャンが死に、今又ビャッコが倒れたと言うにたじろぐ事無く凛としていた。(健気な。)ハンベエと言う悪鬼の如く敵を屠って来た若者、いいやヒョウホウ者には珍しい事に、目の前で正々堂々と決闘を申し出る少年に哀れを感じた。『殺したい者同士が出会って一方が死ぬ。何処に問題が有る?』と嘯いたこの若者も、モノノアワレを感じる事が有るらしい。「もう勝負はついてるぜ。あたら命を無駄にする事もあるまい。」あからさまに気乗りしない風情でハンベエは言った。「姉上の軍の要(かなめ)はハンベエ、そちであろう。そちを倒せば、逆転の目もある。」このハンベエに勝てると?」ハンベエは改めて、国王フィルハンドラを見た。構えているのはこの国の大半の兵士が使っているのと同じ両刃(もろは)の直刀である。武術の心得は多少なりともあるように見受けられたが、ハンベエから見ればホンのヒヨッコであった。「そちが鬼神のように強い事は既に見た。だが、勝負はやってみなければ分からぬぞ。」「どうあってもやるつもりか。」「余の為に何人の者が死んでいるか知っておろう。今となっては神仏と戦う事であろうと厭(いと)うわけには参らぬ。それにこの身は王である。戦いに敗れて生きる道などありはせぬ。」フィルハンドラは変わらず凛とした風情で言った。それにしても初めて言葉を交わすハンベエに対してハキハキと喋り過ぎている気がする。ハンベエに対する者が何故か挑むように思いのたけをぶつける事の不思議さである。ヒョウホウ者と身を定めたハンベエの態度がそれをさせるのであろうか。
Posted at 2021/03/01 23:45:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | パソコン/インターネット
2021年02月22日 イイね!

一方ハンベエは

一方ハンベエは、せせら笑いの混じるテッフネールのセリフなど耳にも入っていないぜ、と言わんばかりの無関心さで、無言のまま『ヨシミツ』を抜き、斜め下段に構えた。「ハンベエ、その若さで軍司令官とは異例の出世でござるな。座り心地はいかがでござる。」無視を決め込むハンベエを前に、智慧城市香港テッフネールはニヤニヤとからかいの言葉を止めない。ハンベエは黙したまま動かず、じっと相手のマナコを見詰めた。「ダンマリでござるかの。しかし、ハンベエ、早々に軍司令官自らのモテナシとは恐れ入ってござるよ。頼れる手下がおらぬのでござるか。」「・・・・・・。」「折角軍司令官まで上り詰めているのに、一介の刺客を自ら相手をするとは、命が惜しくはござらぬのか。」「・・・・・・。」「いやいや、命が惜しくないはずはござらぬの。みどもが町に入ってからの兵士達の警戒ぶり、意外に小心な心の底が透けて見えるでござる。」「俺が小心者なのは間違ってないが、今回はお前がやって来るのを知っていただけの事さ。」「ほう・・・・・・。噂は羽根が生えていると言うでござるから、既に聞こえておったでござるか。」「いや、ステルポイジャンから報せが届いていたのさ。テッフネールという奴が俺を殺しに来るから気をつけろってな。」「・・・・・・。」思いもよらぬハンベエの一言に、今度はテッフネールが押し黙った。無論、ステルポイジャンから報せ云々(うんぬん)は嘘も嘘、敵の動揺を誘わんとする真っ赤な出まかせであった。窺うようにハンベエをしばし見詰めたテッフネールは、「やれやれ、まだ若造のくせに相当腹黒いしたたか者のようでごさるな。どうトチ狂えばステルポイジャンがみどもの事をハンベエに知らせなどするのでござるかな。」と口を歪めて言った。流石に、にやけた顔ではなくなっている。「知らねえよ。心変わりは人の常。大方、お前の事が邪魔にでもなったんじゃねえか。」「ふん、見え透いた手でござる。その程度のハッタリでみどもが動揺すると思うでござるか、ハンベエ。」「さっきからハンベエハンベエと、・・・・・・敵の癖に心安げに俺の名前を呼ぶんじゃねえ。」ハンベエはイラだった様子で吐き捨てると、いきなり間合いを詰めてテッフネールに斬り付けた。相応(あいおう)じて、テッフネールも斬り返して来る。両者は駆け違って位置を入れ替えた。ハンベエの左脇腹から右の脇にかけて服が切り裂かれていた。この日のハンベエは鎖帷子、手甲脚半、鉢金までした完全武装であった。テッフネールはハンベエの太刀を躱しつつ、刃(やいば)を滑らすようにして、その衣服を切り裂いて見せたのである。上物の鎖帷子を着込んでいたため、刃はその上を滑っただけであったが、着用していなければテッフネールの刃はハンベエの体に吸い込まれるように入っていたであろう。先制攻撃を掛けたが、ハンベエの一撃は僅かにテッフネールの肩口、服の布地を裂いたのみであった。「ふっ、鎖帷子を着込んでいたでござるか。中々上等の鎖帷子のようでござるな。少しばかり太刀使いを変えねばならぬようでござるな。」必殺であったはずの一撃が鎖帷子に阻まれてハンベエに手傷すら与えられなかったが、テッフネールは別段残念がる様子もない。斬られた!フデンの下を辞してから、ハンベエにとっては初めての事であった。自分の刃は届かず、相手の刃に斬り裂かれたのである。ハンベエの顔色が蒼白に・・・・・・ならなかった。この若者はどういう神経をしているのか、「全く、用心ってのは、やっておくものだな。帷子着込んでいたお陰で、命拾いしたぜ。」とふてぶてしく笑って見せたのである。(鎖帷子が無ければ死んでいた・・・・・・だからどうした、鎖帷子は最初から着込んでいた、テッフネールの奴の一撃は俺に何の痛打も与えちゃいねえ。)ハンベエは胸の内でそう嘯(うそぶ)いていた。その横顔には些かの動揺も読み取れない。「ほう、強がって見せるのが上手うござるの。顔色が少しも変わらぬのは大したものでござるが、お前の兵士達は心配そうに見ておるぞ、ハンベエ。」テッフネールが再びにやついた顔に戻ってせせら笑っていた。テッフネールの指摘したように、タゴロローム守備軍兵士達がざわめいていた。「斬られた・・・・・・。」

Posted at 2021/02/23 18:49:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2021年01月26日 イイね!

推測を含むとして、

推測を含むとして、イザベラは次のような内容の事を書いていた。諜報機関であるサイレント・キッチンの隠密兵士が、未だ多数ゲッソリナやその周辺に潜んでおり、ステルポイジャン軍はその謀略を恐れ、日夜その炙り出しに余念が無いようだ。既に百名以上の人間がサイレント・キッチン関係の人間として、処刑されている。貴族達とステルポイジャン軍の関係は微妙。バトリスク一門へivf價錢の苛烈な処置に震え上がって、一も二も無くフィルハンドラへの忠誠を誓った彼等であるが、同時に次は自分がステルポイジャンに滅ぼされるのでは無いかと疑心暗鬼に陥っている者が多い。彼等ivf價錢は王妃モスカの所に頻りに顔を出して御機嫌伺いをしている。王妃モスカはステルポイジャンの部下ガストランタと情交関係に有るが、その一方で貴族のノーバーという男と関係を結んだようだ。相当な淫乱である。此処まで読んでハンベエはちょっと笑った。お色気満点で男を手玉に取るイザベラが王妃に対して、『淫乱』とは五十歩百歩、とハンベエは思ったのだ。が、直ぐに考えを改めた。イザベラは別に王妃を揶揄したわけでもあるまい。客観的に事実を伝えて来ただけに過ぎない。次に、ステルポイジャンと王妃の関係が伝えられていた。両者の関係も友好的とは言えないようだ。ステルポイジャンはフィルハンドラには忠誠を誓い、後ろ盾になっているが、王妃モスカの振る舞いを苦々しげに思っている様子。一方、王妃は王妃でステルポイジャンを煙たく感じているようだ。世間一般はステルポイジャン達に恐れを抱き、政治向きの話をする者はほとんどいない。読みながら、ハンベエはイザベラの情報収集力に舌を巻いている。時間的に考えて、ゲッソリナに着いてからせいぜい一日であろう。風聞を集めたのか、忍び込んで直接確かめたのか。尚も、手紙は続く。大分前に、ラシャレー大浴場が破壊されたようだ。これには、市民から幾分不満の声が出ている。全体的観測としては、ステルポイジャンはラシャレー側の謀略を警戒して、ゲッソリナから直ぐには兵を動かさないように見える。最後にイザベラの手紙はそういう内容で結ばれていた。(ラシャレー浴場が破壊された・・・ステルポイジャンめ。)ハンベエはそこを読んだ時、俄かに口を歪めた。(何故風呂を壊しやがる、誰が作ろうと風呂はいいもんじゃねえか。)先頃、ゲッソリナで対面した時の印象から、実はハンベエ、ステルポイジャンという人物がそれほど嫌いでもなかったのである。なるほど敵である。だが、かつてバンケルクに向けたほどの憎悪を抱くには至ってなかった。むしろ、重厚さを思わせるステルポイジャンの挙措発言に、一抹の敬意すら払うべきかも知れない、とさえ思っていた。だが、ラシャレー浴場の破壊という情報はハンベエを怒らせた。たかが風呂と言うなかれ、ハンベエにとって風呂は師フデンと共有した嗜好であり、文化であった。ラシャレー浴場の破壊にハンベエは師や自分の生き方の一部を否定されたように感じたのだ。(俺であれば、いかにラシャレーが憎くともラシャレー浴場は破壊せん。所詮、ステルポイジャンとはその程度の奴という事か。と急にハンベエの中でステルポイジャンの人物像が小さくなってしまった。底が割れたわ!とハンベエは思った。が、どうであろう?このハンベエの感情をステルポイジャンが知れば、迷惑そうな顔をするのではないだろうか。既に何度も述べたように、この大陸では入浴の習慣は一般には普及していない。大部分の人々は行水等で事足れりとしていた。ラシャレー大浴場が繁盛していたとは云え、入浴の嗜好は一部の好事家に留まる状況である。大部分の人間に言わせれば、『風呂なんて入らなくたって死にゃあしねえだろう。』と言ったところなのである。
Posted at 2021/01/26 00:37:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | ニュース

プロフィール

「本編に最後までお付き http://cvw.jp/b/3015665/45418110/
何シテル?   08/30 16:18
jennifer92です。よろしくお願いします。
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