
先月末、ポートメッセ名古屋で開催された「モビリティ・ショー」を見に行ってきました。最新のクルマ、特に技術的な面での興味はありますが、新型車の魅力はあまり感じないのでわざわざ出掛けて見に行くつもりは無かったんですが、セリカ仲間からのLINEで「トヨタがレストアしたセリカLBがあったよ」と通知があったので、それを見たいがために行ってきました。
東京でのショーには展示が無かったようで、名古屋のみの展示だったトヨタ自動車が再生したセリカLB1600GT(TA27)、早速担当者にいろいろ質問しながら隅々まで拝見してきました。
「どうぞ運転席へお座りください」と案内されたのでさっそく乗り込みます↓

さすがメーカーが再生するだけのことはあり、樹脂部品は製作したのだと思ってたら「元のパーツを全てリフレッシュして使用してます」とのこと。メーター外周のメッキも樹脂プリントのメーカーから工具を借りてホットスタンプ方式で再現したとの事ですが「プリントが均一でないとシワになったり、その度にすべてやり直しして…大変でした」と。
セーフティパッド(ダッシュボード)は外さずクリーニングのみだそうです(外すとき必ず割れちゃいますから、20セリカは(^^;

メーターパネルの白い文字も筆でペイントではなくこれもホットプリントだそうで「メッキよりソリッドカラーの方が弾いてなかなかうまく転写できなくて」との事。単にキレイに仕上げるのではなく当時の製造方法で再現することを目的としたようで、メーカーとはいえプロジェクトチームでの作業はなかなかに苦労があったそうです。
内装はルーフ内張の垂れ下がりを修復した部分はどうしても凹凸が出来てしまうのが判ってしまう以外はほぼ新品と見まがう仕上げ。シートは中央のニット・テープ・ヤーンの生地がどうしても無かったのでそこ以外を当時っぽくシボ模様を再現して張り替え、初期型特有のシートバック背面のドラゴンマークも押し印を製作して純正のごとく再現↓
驚いたのはフロアの再生。普通レストアといえば塗装剥離してフロアを塗る場合、ボディパネルと同じように塗装するのでピカピカのツヤツヤになりますが、このセリカはまるでメーカーラインで塗られたような上塗り塗料がパラッとのってる感じに。しかもそのフロア、手直し跡らしいものがまったく確認できません↓
まるでフロアパンは新品のよう!ちょっとピンボケだけど修復っぽい物が見当たらない↓
フロント下周り↓
フロント足廻りも当然抜かりなく↓
ミラー越しに見たセンターフロア↓
なんと元のフロアを形取って造り直してるのだそう。しかも元のパーツも塗装は全剥離した上で「カチオン塗装してあります」…いわゆる新車製作時の電着で下地塗装してあるとの事。当然ストリップボディでの塗装なので上塗りも焼き付け塗装。
これはショップレベルでは絶対出来ないメーカーならではの処理。レストアで有名なあのS工業でも出来なません。おそらくセリカLBでこの塗装を施してあるのは世界でもこの個体のみでしょう。
ただ当時と比べて塗料がかなり進化してるので、忠実に元色を再現してもどうしてもメタリックの粒子の輝きが強くて尚且つ艶もかなり向上するので「当時よりもキレイになってしまいます…」と言っておられました。まぁそればっかりは仕方ないですよねぇ~(^^;
モール類はステンレスにメッキが施してありました↓これに関しては「新しい手法の試みのひとつでして…」だそうです。凹みや傷のあるステンレスは整形してメッキで隠す…なるほど(^^)
バンパーは無論、サイドマーカー等のアンチモニー材も地肌を整えて再メッキ↓
バンパーは出来の良いリプロ品があったりサイドマーカーもオークションで「未使用品」があったりしますが、このLBはあくまで「既存部品を再生する技術の模索が基本」としています。利益目的ではないって事なんです。リプロパーツ使った方が手間もお金もかからないですから…。
リヤゲートのウェザストリップのモールも再メッキ↓これならどこかの部品共販(元モビリティパーツ)に在庫してそうな気もしますが「車両に付いていた部品を再生して使う」ことを主眼としてるのでこうなったみたいです。
フューエルリッドのGTマークは欠損してたのでこれは「THサービス」製です↓
まず劣化確定のLBのテールレンズも程度の良い部品を探すのではなく車両に付いてた物を再生。しかし左側は割れていたのでこれもKOITOを頼らずシリコンで形取りしてレジンで製作↓ OT誌的な手法ですがそれで「ここまで再現出来る」という、個人でも再生できる希望を感じます(^^♪
機関関係は言うに及ばずご覧の通り完全再生状態
タペットカバーは結晶塗装後に文字枠を磨きではなく「切削」で仕上げています↓
インダクションケースのコーションシールは「THサービスさんで」↓
エアクリーナーケースは粉体焼き付け塗装かと思ったら「シャーシブラックで塗りました」との事。シャーシブラックでもここまで艶やかに塗れるんですねっ‼ ↓
ブレーキブースターのコーションラベルは「新たに製作しました」と。コダワってます♪(これはASCO製で亜鉛メッキ仕上げですが、ベンディックス製は黒塗装仕上げ)
フロントパイプ&マフラーは三五の職人さんがハンドメイドで造ったそうで、ステンレスに見えますがこれはスチール材で造って展示用で錆ないようにクリア塗装してあります↓ それにしてもスゴイ再現性です♪
パンチングも1個1個、手作業で加工したんですって!

パイプ径が太く見えるのは当時のベンダー曲げではなく砂を詰めて炙って手曲げしてるからとの事。
マフラーカッターも「造りました」ですって。1ロット作って売って欲しい~‼
車両のコーションプレートを見るとハイオク仕様なのが判ります↓ 2000番台なので初期の初期、昭和48年4月か5月登録でしょう。
ハイオク仕様なのに「無鉛」のステッカーが…↓
気になったのは担当者が「バルブシートを無鉛仕様に打ち換えてあります」と言ってましたが、2T-Gも18R-Gもシートリングはハイオク仕様もレギュラー仕様も同じなんですけどぉ~…あと「有鉛仕様ですがハイオク仕様ではないんですよね?」って言ってたのもちょっと「?」でした。
この時代は「有鉛=ハイオク」なんですが、おそらく無鉛ハイオクが登場してからの世代は有鉛とハイオクを別物ととらえるんでしょうね(^^;触媒付き車両に有鉛ハイオク入れられませんので、確かに無鉛ハイオクと有鉛ハイオクは別物ですが「オクタン価を上げる」という目的は同じなので…ちょっと「えっ?」と思っちゃいました(^^; 若い世代って有鉛ってピンとこないのかなぁ~…
ホイールもちゃんと前期初期を再生↓
タイヤは復刻の「ADVAN HF-D」185/70R13というサイズ的にも確かに…って感じですね。英国DUNLOPにもうちょっとクラシカルなのがあったと思うけど…これはコレで「有り」なチョイスかと(^^)↓
さて自動車メーカーがこういった車両をお披露目すると「メーカーがレストアしてくれるんだ‼」と思いがちですがメーカーは「レストアも受けませんし、部品の再販も予定してません」との回答。ではこのフルレストアはいったい何の意味が?
「若手の技術者の育成と部品再生技術の模索のため」だそうです、残念…(>_<)
しかしメーカーは先端技術の研究ばかりでなく、こういった旧いクルマを再生し多くの人に見てもらうことで「クルマにもっと興味を持ってもらいたい」との事。
ちなみにこのLB再生に当たって新明さんは関っていないとのことです。
こうしてセリカLBの再生プロジェクト担当者の方々に2時間以上お話を伺い、モビリティ・ショーを堪能させていただきました(^^♪ 見に来た甲斐がありましたっ‼
あとはまったく見学なし、あっロッキーオートさんがたくさんフェラーリ展示してましたがその中の512BBだけ見て帰りました♪↓
新型車は自分的にはあんまり興味無いんで…(^^;
「旧車の方がいい!」とは言いませんが、今のクルマは「趣味」では乗れません。
壊れたら他車種の部品とかの「流用」が出来ないし、ディーラーに診てもらわないと(専用診断機がないと)何も出来ないクルマってプライベートでは直せない訳で…その診断機もメーカーとネットで繋がってないとECUの更新データが入手出来ない…つまり町工場では直せない…クルマいじりが趣味の人間には魅力に欠けるんです、最新のクルマって…(^^;
でも新車ってすべての部品(部位)が新品なワケで(当たり前ですが)、絶対的な信頼度があるので「安心を買う」って意味で、とんでもないプレミア価格の旧車を購入するより遥かにオススメではあります♪

「300万円台で始める旧車生活」って…これでとりあえずすぐ乗れる旧車は軒並み300万ベースになっちゃってる。300万あればぼちぼちな新車、買えますね!
70年代のポンコツ大衆車拾ってきてコツコツ直して乗るという定年後の予定は夢物語になってしまいました…(泣)
そういえばこのノスヒロの表紙に小さく載ってたシュニッツァーセリカ、来年のノスタルジック2DAYSに出展されるそうで、これを目的に観に行こうと思います♪

初期のブルーカラーのローデンストック。赤/白のカローラ高島屋セリカが自分としては馴染み深いですが、実物は見たことが無いので楽しみです♪ 出来ればカウル外した中身の方に興味あるんですが…無理だろ~なぁ~(^^;
「RA28L」がベースなんですね↓

プレートには「18R-G」とあるのでやっぱヨーロッパ仕様ベースなんでしょうかね。プラントナンバー「A41」なんで我々の国内仕様と同じ工場で製作ですね(^^)