クラリオンのフルデジタルサウンドZ3を試聴したので、インプレッションを投稿します。
第一印象は、非常にスッキリし癖のない音だということです。ずっと聞いていても聴き疲れない感じです。しかし、情報量や解像度の面では物足りない印象でした。良くも悪くもソフトドームツィーターの音です。
カロッツェリアやアルパインはハードドームツィーターを採用し、解像度優先。NCVのダイヤトーンはその中間と言ったところだと思います。
●ハードドームツィーターは、高解像度でボーカルの息づかいや演奏する指の動きまで描画できるが、上手くチューニングしないとキツい音になってしまう。高額な素材(ダイヤモンド、ベリリウム、ボロン)を除き固有音が多く余計な響きが付加される。いわゆるじゃじゃ馬です。
●ソフトドームツィーターは、ドンピシャでチューニングしなくても耳に優しい音。最大の欠点は、ハードドームと比較し解像度が低く、生々しさを感じられない。
というハードかソフトのどちらが優れているか永遠の論争があります。自分の考えでは、ハードドームを使いこなし、息づかいや指の動きまで再現することが、カーオーディオの醍醐味だと思います。
余談になりましたが、フルデジタルサウンドでは、カロッツェリアVシリーズやダイヤトーンG500やトヨタ純正ダブルツィーター(全てハードツィーター)で感じたサウンドの生々しさすなわち息づかいや指の動きを感じることができませんでした。
しかし、ノイズの少なさは抜きに出たものがあり、今後、フルデジタルサウンドのハードツィーターが発売したら是非試してみたいと思います。
ちなみに生々しさが再現されない理由は他にもあげられます。
●まず、周波数特性がフラットではないことです。しかし、スイープを聴いても綺麗でしたし、普段聞いている曲で確認しても問題ありませんでした。
●次にタイムアライメントの設定ミスですが、ボーカルは左右スピーカーからの中央から聞こえており、設定画面でも大体左右の距離差の分だけかけてあったので問題ありませんでした。
●最後に怪しいと思ったのが、デジタルプロセッサのダイナミックレンジの低さです。実はこのデジタルプロセッサはハイレゾ対応(96kHz24bit)を謳っていますが、ダイナミックレンジが14bit相当しかありません。デジタルスピーカーは、6つのボイスコイルがあり、それぞれのコイルを96kHzの256倍の周波数で1bit駆動しています。すなわち、
1bit駆動のボイスコイルの数が6個:6bit
256(8bit)倍の周波数でボイスコイルを駆動:8bit
合計(6bit+8bit)=14bit
となります。
これは、ハイレゾ規格の24bitはもちろんのとこ、CD規格の16bitすら下回ります。ダイナミックレンジが低いと振幅の小さい音から歪んでいきます。振幅が小さい音とはすなわち、
・周波数が高い
・音量が小さい
音です。ボーカルのささやき、シンバルやハイハットを優しく叩く音、JAZZドラムのブラシなど、多岐にわたります。クラシックも録音レベルが低くしダイナミックレンジを大きくとっています。ハイレゾ音源もダイナミックレンジを大きくとることが多いので苦手なジャンルです。逆にJ-POPやアニソンなどコンプで圧縮しまくりの曲は得意かもしれません。
クラリオンの説明員の人に、ボイスコイルを増やしてダイナミックレンジを大きくできないものなのか?と質問したところ、「開発段階で今より多い数で検討したが、ボイスコイルの重量が重くなって悪い結果になった。ダイナミックレンジと重量のバランスをとって6個としている」とのこと。さっき思い付いた対策としては、6個のボイスコイルを3bit駆動(8通りの電圧)すれば、3bit×6個+8bit=26bit相当となるので、生々しさが上がると思うが、96kHzの256倍の周波数で電圧値を瞬時に変えることは難しそう。ということは、デジタルサウンドのダイナミックレンジの限界を感じます。
これは、あくまで推測ですが、デジタルサウンドのハードツィーターを聴く機会があれば自分の耳で確かめたいと思います。
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2018/09/22 21:18:51