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前回からの続き
愛車の Nakanichi CDレシーバーに、iPhone を直結できるようにしたものの、良い音が鳴らない。
奮発して買った AAW ACCESSPORT 24bit ハイレゾ対応オーディオ・アダプタも、Apple 純正オーディオ・アダプタと変わらない音だった。
いやいやいや、
いくらなんでも、そんなはずがない。
仮にも 24bit ハイレゾ・オーディオ・アダプタと、純正アダプタが同じ音質のわけがなかろう。
AAW ACCESSPORT の音を、ヘッドホンで直接確かめた。
ヘッドホンからは、鮮やかで表情豊かな音楽が響いてきた。
すごく良い音である。
AAC音源なめてました。Apple iTunes の音がこんなに良い音だとは思っていなかった。
認識改めます。
正座して拝聴させていただきます。
超ハイレゾ音源のような、その場にいるような空気感は出ないけれど、車で聴くには充分過ぎる音質。
Apple純正オーディオ・アダプタと
AAW ACCESSPORT ハイレゾ・アダプタの音質対決は、
AAW ACCESSPORT の圧勝である。
子供でも音の区別がつくことだろう。
こんなに良い音がするDAコンバータだが、
これを Nakamichi CDレシーバーにつなぐと、残念な音になる。
こうなると、ヘッドホン出力とCDレシーバーのライン入力に、電気的な不整合があると考えるのが順当だろう。
色々調べたら、やはりヘッドホン・アンプの出力はライン入力のインピーダンスには合わないらしい。
オーディオ・マニアな人は、トランスを使ってインピーダンスを整合させているようだ。
私もマニアな人々の技にならい、トランスによるマッチング回路を試すことにした。
選んだトランスは SANSUI の ST-45。
10Ω:600Ω のインピーダンス、昇圧比 1:7.75
1.4cm 角の小さなトランス。
1個数百円のパーツだ。
久しぶりのハンダ付け工作は、ダメダメだった。
往年の電子工作マニアの腕前は、古いクルマの下回り並みに錆びていた…
なんとか仮配線を作って、音を確かめる。
おお、
一聴して、唸った。
1.4cm の小さなトランスからは、想像しなかった音の迫力。わずか数百円のパーツで構成されていることを思えば、悪くない。
だが気になる点もあった。
低音は音量レベルが低い。
音域そのものは、低くまでよく再生している。
低音域はトーンコントロールで調整するだけで、充分聴ける音になるだろう。
高音域は伸び過ぎなくらい伸びている。
30kHzくらいは楽に通るのではないか。
肝心の中音域は良くない。音が詰まっている。
迫力があって小さな音も良く鳴るが、音が分解されていなくて歌も楽器も混ざって聞こえる。
ケーブル直結に比較して、明らかに音に独特の色がついた。何より混濁した楽器の音が、安いオーディオ機器を思わせた。
ダメだ、この音は…
元の直結配線に戻すか、
トランスを変えるか…
いやいや、焦ってはいけない。
判断をするのはエージングが済んでからだ。
何曲も音楽を流した。
4時間ほど音を出し続けた。
ふと気がつくと、音が澄んできた気がした。
音の空間も広がった気がする。
当初の混濁したような音はなくなり、
楽器演奏の様子が浮かんでくるような感覚もしてきた。
これはエージングで化けるヤツか?
マイ・フェバリットを流してみる。
Celtic Woman の歌声が艶やかに響く。
この人は、本当にいい声を神様からもらった。
「Fields of gold」を聴いたら泣けてきた。
麦畑を吹き渡る風が見えるような気がした。
さだまさしのセルフカバー盤から、
「僕にまかせてください」をかけた。
懐かしいフォークソングである。
古い Nakamichi のCDレシーバーが、昔の想い出を掘り起こしてくれたかのように、不意に昔の歌をたくさん聴きたくなった。
伴奏のストリングスが、しっとりと切ない旋律を奏でる。
もう音質の評価は、いらなかった。
SANSUIの ST-45 は最初の音質から劇変した。
良い意味で、存在感が消えている。
ただ音楽だけが流れている。
トランスを使ったマッチング回路は、想像以上に良い仕事をしてくれた。
後日、配線を丁寧にやり直して、
回路をアルミケースに収納した。
そうして、車のオーディオ搭載スペースに収めた。
信号待ちの時間が、澄んだ歌声やギターの旋律に耳を傾けるひとときに変わる。
ロードスターのようなロードノイズだらけの車で、ゆったりとした音楽を楽しめるようになった。
その一方で、エンジンの回転音やエキゾーストノートに神経を研ぎ澄ませて乗ることが減った。
スポーツカー乗りとしては、落第している。
Posted at 2019/07/15 00:17:05 | |
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