
『 ビ ッ グ X 』(ビッグエックス)は、1963年11月から1966年2月まで集英社、『少年ブック』に連載されていた手塚治虫の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメである。また「ビッグX」は、「薬品」または「エネルギー」の名称であると共に、それにより変身した、主人公を指す場合もある。
目次
1 あらすじ
1.1 ナチス同盟編(プロローグ - 第9章)
1.2 クロス党編(第10章 - 第14章)
1.3 ガレア共和国編(第15章 - 第18章)
1.4 月世界編(第19章・第20章)
1.5 ミクロX編(第21章 - 最終回)
2 単行本
3 アニメ版
3.1 スタッフ
3.2 主題歌
3.3 登場人物・声の出演
3.4 サブタイトル
3.5 放送局
3.6 ネット配信
4 脚注
4.1 注釈
4.2 出典
5 外部リンク
あらすじ
ナチス同盟編(プロローグ - 第9章)
第二次世界大戦時、無敵の軍隊を作ろうと目論む「ナチス・ドイツ」の下で、生物を鋼鉄のように強靭で、しかも巨大化させる薬品、「ビッグX」の開発を行っていた日本人の朝雲(あさぐも)博士と、ドイツ人のエンゲル博士は、「ビッグX」の軍事利用を恐れ、その秘密を守るために「ビッグX」の製法を記したカードを朝雲の息子の、しげるの体内に埋込んだ。両博士は射殺され、ビッグXの研究書類は全て焼き捨てられた。20年後、朝雲博士の孫・昭は、「ビッグX」の製法を狙うエンゲル博士の孫の、ハンス・エンゲル率いる秘密結社「ナチス同盟」に襲撃され、父・しげるを殺されてしまう。翌年、しげるの親友・花丸博士との協力で「ビッグX」を完成させた昭は、自ら「ビッグX」で巨大化して、ナチス同盟に立ち向かうのだった。
クロス党編(第10章 - 第14章)
ナチス同盟を壊滅させた昭とニーナは、ビッグXで巨大化させたハゲタカに乗って日本へ帰ろうとするが、ハンスの攻撃により密林地帯に不時着してしまう。昭たちを襲撃したのは、世界的なネオナチ系秘密結社、「クロス党」だった。全世界に核戦争を起こして人類を滅亡させ、自分たちは放射能が薄くなるまで、宇宙に移住しようという陰謀を知った昭は、人類滅亡の引き金となるアメリカ合衆国へと向かう。
ガレア共和国編(第15章 - 第18章)
クロス党を滅亡させ、国連にその功績を讃えられた昭とニーナは特務レンジャーの称号を与えられる。ある日昭とニーナは国連からの依頼で、50年来の寒波に襲われたガレア共和国へと向かい、主要作物のジャガイモをビッグXで大きくすることで食糧問題を解決しようとする。しかし、その巨大化したジャガイモを漂着した宇宙生物が乗っ取り、巨大な植物怪獣「キング・ガレア」が誕生してしまう。キング・ガレアはガレア共和国の秘密地下要塞「じねずみ」を制圧し、兵を奴隷化して人類に降伏を勧告する。ニーナを人質に取られてしまった昭は、キング・ガレアを倒すべくハンスと協力を打診する。
月世界編(第19章・第20章)
国連科学財団のモル・タル博士は、月ロケット「 アルテミス 」を開発した。国連は勇敢な宇宙飛行士5名を、月に送ろうとしたのだが、地球の機密を盗むスパイが紛れ込んでいるのだと、モル博士は昭に告げる。昭とニーナは宇宙飛行士たちの、護衛兼スパイの発見を名目に「アルテミス」に乗船、人類初の月着陸を成功させようとする。途中、「アルテミス」に隕石が衝突し、昭は「ビッグX」の力でこれを除去するが体が重くなりすぎて、ロケットの外壁から滑り落ちてしまう。月面に叩き付けられた、昭の前に姿を現したのは、ハボス星で800年前に作られたと、自称するアンドロイド・カグアだった。
ミクロX編(第21章 - 最終回)
朝雲科学研究所に雷が落ちた。開発中の「ビッグX」に落ちた雷は、その成分を変質させ、生物の細胞を拡大ではなく縮小させる「 ミクロX 」に変えてしまった。昭は花丸博士にこのことを報告しようとするが、謎の男に襲われてユー・ユーと名乗る男に捕えられ、挙句薬を注射されて小さくされてしまう。ユー・ユーは化学者の蟻田博士を脅迫してミクロXを作らせ、最強の化学兵器として南北での戦争を続ける、アブラム共和国に売りつけようとする。戦争の兵器として作られたビッグXを、またも戦場で使わせるわけにはいかない。身体が元の大きさに戻った昭は、蟻田博士に協力しアブラム共和国でのミクロXの使用を阻止しようとする。
単行本
集英社のテレビ・コミックス『ビッグX』(集英社)全10巻
サンデーコミックス『ビッグX』(秋田書店)全4巻
手塚治虫漫画全集『ビッグX』(講談社)全4巻
手塚治虫名作集『ビッグX』(ホーム社)全3巻
集英社文庫手塚治虫名作集『ビッグX』(集英社)全3巻
秋田文庫『ビッグX』(秋田書店)全3巻
手塚治虫文庫全集『ビッグX』(講談社)全2巻
アニメ版
映像外部リンク
ビッグX
YouTube:手塚プロダクション公式アカウントが2013年12月19日にアップ
1964年8月3日から1965年9月27日までTBS系列局で放送。放送時間は毎週月曜 19:00 - 19:30 (日本標準時)。
東京ムービーの初制作作品である。また、TBSでは『エイトマン』に次ぐ国産アニメにして、初の19時台での放送である。国産アニメでは唯一の花王石鹸(現・花王)の一社提供で、オープニングのラストには宇宙空間に浮かぶ同社の商標「月のマーク」に腰掛ける朝雲昭(声 - 太田淑子)が映され、昭が「この番組を提供するのは、僕の大好きな月のマークの花王石鹸です」とコメントすると、画面が「提供(月のマーク)花王石鹸」と描かれた提供クレジットに変わる。
手塚治虫テレビアニメとしては初めて、手塚と直接関わりの無い外部のプロダクションの元請によって制作された作品である[注釈 1][注釈 2]。当初はTBSからピー・プロダクションに企画が持ち込まれたが、既に制作中のテレビアニメ『0戦はやと』などで手一杯だったため、社内の反対で話が流れた[1][2]。このため、TBSでテレビの人形劇を制作していた藤岡豊にアニメの制作プロダクション設立を促し、藤岡は間借りしたTBS社屋の4階で本作を制作した。このときに設立された東京ムービーは本作制作のためのプロダクションであり、会社登記も第1話の放送後であった[3]。
本作は同時期に放送されていた虫プロ制作の『鉄腕アトム』などに比べ、著しく作画力や動きが劣っている。これは、当初の東京ムービーが経験のない素人が大多数のスタッフであった故である。
1966年、ピー・プロダクションが手塚作品の実写化を企画した際には本作と『マグマ大使』が候補に上がったが、結果的には『マグマ大使』が実写映像化された。
原作では主人公・朝雲昭は薬液「ビッグX」をシャープペンシル型[注釈 3]の注射器で自ら打って(後に経口薬により)変身するが、アニメ版の「ビッグX」はシャープペンシル型の装置から出る光線状のエネルギーを昭が胸に当てることで変身し、目盛1で鋼鉄の体に、目盛2で20倍の巨体に変身するという設定となった。
原作のストーリーは、ビッグX(朝雲昭)が超能力少女ニーナらと共にナチス同盟と戦う連続物語となっていたが、アニメ版は1話完結で、多くはナチス同盟と無関係の敵と戦う話になっている。ビッグXの宿敵・ハンスは、原作では中盤以降、ナチス同盟の兵器であるロボット・V3号に酷似したロボット(頭部の形状、カラーリングは異なる)に脳を移し変えるが、アニメ版では最後まで人間であり、最終回では、科学者である実妹のイリーナの制止を振り切って専用円盤でビッグXと戦い、最後は「俺は遂に降伏しなかった」と叫び、円盤と自爆して果てる、という最期だった。
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2021/01/21 20:13:39