
小さい頃は神さまがいて
毎日愛を届けてくれた
心の奥にしまい忘れた
大切な箱 ひらくときは今
雨上がりの庭で くちなしの香りの
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ
---'74 荒井由実 「やさしさに包まれたなら」 より
今朝、家の近くのマンションの柵越しに咲いていたくちなしの花をパチリ。香りのよさにうっとり。大好きな花です。
くちなし、と言えば思い出すのは学生の頃に観たキャサリーン・ヘプバーン主演の「旅情」(Summertime)。アメリカのハイミスが一人イタリア・ヴェニスに旅をし、滞在中立ち寄った骨董屋の主人と短い恋をし、でもアメリカへまた帰って行くという、おしゃれで切ない映画。
男性に妻子がいると知り、一度は深く傷つく彼女。それでも結局は夢のような数日を過ごし、ラストは鉄道で去っていく彼女を見送りに来た男性に向かっていつまでも手を振り続ける彼女。くちなしの花が印象的に使われている映画でした。
1955年の映画ですから、私が学生の頃には既に昔の映画。。。ビデオもなく、女友達と4人くらいでフィルムセンターだかどこかへリバイバル上映を観に行きました。
映画評論家の淀川長治氏が雑誌か何かに、ラストシーンで列車から手を振るヒロインの、手の振り方が、日本人の女の子のように子供っぽい幼稚な手の振り方と違う、大人の女性の決意や強さを感じる振り方だ、と言う様なことを書いていて、手の振り方に大人も子供も、意志や強さも表せるのか?と特に注目して観た記憶があります。
以来、ずっと観てないですが、ヒロインの年齢はとうに過ぎてしまったけれど今あらためて観直したい、と強く思う映画です。ちょっと胸に迫りすぎちゃうかも、ですが。
毎年、くちなしの花を見て香りに触れると、忠英さんギターのイントロで始まるユーミンの曲を初めて聴いた頃のことを思い出し、「旅情」でヒロインが振りながら遠ざかる手を思い出します。
Posted at 2010/07/03 20:40:15 | |
Scene | 日記