先週、オートモビルカウンシル2018に行った時のこと。前のブログ(
こちら)では気になった輸入車を紹介しましたが、個人的にはメインイベントと思っていたイベントがありました。それが、マツダさんのブース、社を挙げてコンパクトカーの歴史の展示とトークショーを開くとのことでした。特に、そのトークショーには初代BK型アクセラのチーフデザイナーが来場するというのですから、初代デザインが好きで通勤車に使い続けているBARA妻も乗り気でした。よって、幕張メッセまでの足はアクセラでした。
マツダブースは会場の一番奥、静岡マツダさんから記念品引換券を頂いていたので、受付で提出すると首から下げるパスを貸与されました。だからかなあ、説明員の方々が非常に丁寧に応対してくれました。過去の名車から、次期アクセラと目されるコンセプトカーにつながる展示、車両の確保にしても、そのストーリー性にしても、そしてそれぞれに配置された説明員に関しても、力の入れ具合に脱帽でした。
先ずは初代FFファミリア。さすがに初代からのFR車の実車はありませんでしたが、次期アクセラにつなげるには「FFコンパクトの歴史」とするのが自然な気はしますね。昔は3ドアにしても4ドアにしてもよく見かけたものですが、先ず見かけなくなりました。これは、ミラージュとかパルサーとかカローラにも言えることですけどね。
このファミリアの周りでは、懐かしむ年配の方が非常に多かったのが印象的でした。このファミリアが現役だった時代、子育てとかいろいろな時期を過ごした年齢の方々ですから、いろいろな思いがあったのかもしれません。私は当時子供でしたけどね。ちなみに、家のクルマは初代ミラージュでした。同じようにフードが逆アリゲーターに開くモデルでした。
次がBFファミリア・・・と言っても、全ブースで一番目立っていた一台、マツダブースを訪れた際、真っ先に足が向かったのがこのマシンでした。マツダ323の4WDラリーカー、国産初のフルタイム4WDであるファミリアをベースとしたGr.A仕様、ホンモノのラリーカーです。ランプポッドは伊達ではありません。当時フィンランドの女性ラリードライバーであったミンナ・シランコルバ女史が所有しているとのことでした。
ベースの323は日本製ですが、欧州に輸出されたのち、現地でラリー車に架装された後は、今回が初来日だそうです。それにしても美しい状態ですね。個人的に、現在のようなWRカー規程よりも、市販車に非常に近いいで立ちのGr.Aカーが大好きなこともあって、しばし観察していると・・・スタッフの方が「乗ってみてください」と。
スタッフさんもサービス精神旺盛で、何枚撮られたことやら(笑。BFファミリアに乗ったことはありますが、左ハンドル車に座ったことはありません。インパネやドアトリムなどの内装も市販車然としていて、親近感が半端ないですね。いやあ、何だかかつてダートラ車両に乗った時のことを思い出しました。こういうコンペティティブなマシンは最高ですね。
次は、まさかのランティスクーペでした。確かに、海外では323を名乗っていましたから、ファミリアであると言えます。ここでいろいろとお話を伺えたのが、開発時実験評価をされていた方、ランティスのディメンションに合わせた試作車を製作してニュルを走った話から始まって、いろいろな興味深い話を伺うことが出来ました。リヤのボデー剛性の話(そのおかげでラゲッジ開口部が高い)だったり、着脱式リヤタワーバーの話だったり、止まりません。私もその手の話が好きですから余計に、です。
特に、このV6エンジン、この狭いエンジンルームに収めるための苦労や工夫についてもいろいろと伺うことが出来ました。特にインテークマニホールド、サージタンクの配置から配管の通し方、その中にデリバリーパイプを何とか配置してと、苦労の塊と言っていい成り立ちであることを強く感じさせられました。まあ、当時のJTCCでは目立った活躍が出来ず、JTCC末期にはファミリアセダンに取って代わられてしまいましたが、それでもやはり、ランティスと言えば「4ドアクーペタイプRの5MT」となるのは、やはりこのこだわりと、デザインのおかげなのでしょうね。
ちなみに・・・4ドアセダンは、国内市場対策で作ったとのこと・・・やっぱりか。
次は初代アクセラ。どのグレードかなと思ったら、マツダスピードアクセラ(BK3P)でした。当時、MPV等に搭載されていた2.3リッターMZR・DISIターボエンジンを搭載した6MT専用グレード、さぞ開発段階から企画されていたのかと思いきや・・・「BKアクセラ開発時には企画もありませんでした」とのこと。実際のところは分かりませんが、BKアクセラの出来も良かったからか、「載せれそうだから載せた」ノリだったようで。それを商品化するんだからすごい。
で、このBKアクセラや初代アテンザの時代は、当時提携していたフォードグループ(ボルボ含む)とのプラットフォーム共有化だったり部品共有化と言ういろいろなしがらみの中で開発を進めざるをえず、好きな標準部品を使うことが出来るような自由度の効く開発ではなかったことなど、苦労話をうかがうことが出来ました。
フロント周りはなるべく「普通」にしたかったそうで、スバル車のようなインタークーラーダクトは作らず、フードを膨らませて内部を通すことで、インタークーラーの冷却確保をしたそうです。バッテリー冷却も然り。そして、バックミラーに映るのは普通のアクセラ・・・でも速い・・・
抜かれた後に相手に見せつけるのが、この迫力を増したリヤスタイル、と言うことだそうです。それにしても、BKアクセラのリヤデザインは今見てもいい線行ってると思います。まあ、我が家もこのリヤデザインが良くて、当時デビューしたての2代目BL型を買わずに、わざわざ初代BK型を買いましたので。
後のトークショーで当時のデザイナーから聞いたのは、当時アメリカ市場向けに出していたファミリア(プロテージェ)のリヤデザイン、日本で見てたら「こんなもんだろ、よく出来た」と思っていたものの、アメリカに赴任して、現地で見ると・・・貧弱に見えるのだそうです。そりゃあ、片側何車線あるかわからないくらいの道で、広大な景色の広がりの中で特徴を示す・・・リヤデザインの重要性を思い知らされたのだそうです。そのため、BKアクセラの開発時は、後方から、遠くから見ても存在感のある、力強いデザインを目指したとのこと。それでも、決して下品になっていないところに、このBKアクセラのデザインの良さがあるのでしょうね。
ちなみに、2代目BLアクセラと、3代目の現行BMアクセラは展示省略。まあ、台数が置ければ置きたかったのでしょうけど、エリアが限られてましたから、マツダコンパクトの歴史の中での重要なポイントに絞った車種選定、と言う意図が感じられました。
そして、魁コンセプトへ。良くも悪くも、来年登場が噂される次期アクセラはこういう印象になるのだそうです。まあ、現行CX-5がこういう感じなので、まあ納得、と言う気分でした。コンセプトカーなので、幅も細部も大味です。
リヤデザインは何とも言えないというのが個人的感想です。どこか、見たことある感じがするんです。昔のアルファ156スポーツワゴンあたりと似た印象を感じました。あとは、ライセンスプレートがバックドアになるか、バンパー下になるかで、かなり印象が変わりそうです。個人的には現行BM型のナンバー位置は好きではないので、バンパーになってくれないかな~と思ってます。
斜め後ろの視認性を犠牲にしてデザインを取るという姿勢は現行同様、キャラクターラインを極力廃して、面の造形で主張するというのは現行CX-5からの文法。この辺は好みが分かれるところでしょうね。
キャラクターラインを使うことは決して悪いことではないと思うので、この辺はマツダデザイナーの好みなのでしょう。面の美しさが主張できる反面、分かりやすいアプローチ、特徴が作りにくくなるという諸刃の剣だからです。こういう面が主張するデザインのクルマでは、色づくりが重要になってくると思います。せっかくの造形が活きる、素敵なカラーラインアップが展開されることを願わずにはいられません。
トークショーでは、ファミリア時代からデザインを手がけ、初代アクセラのチーフデザイナーを務められた鈴木英樹氏、初代アクセラに携わり、マツダ魁コンセプトのチーフデザイナーである土田康剛氏が登場。いろいろの話を聞く中で、特に初代アクセラに関わる部分について、非常に熱い話を聞くことが出来、私も、BARA妻も大満足でした。
そんな重要なモデルなら、1/43ミニカーが登場していても良さそうな物なのに・・・と言うのはBARA妻の談。今後登場したらいいですねえ。
トークショー後に、デザイナー氏とお話しできたらと思っていましたが、ライターと思しき方などで混んでいたので退散。でも、非常に有意義でした。次期アクセラ、期待しましょう。
オマケ・・・他のブースにあったマツダ車、K360。私が今、なにげに欲しい1台です。スバル360とマツダK360、素敵なラインアップだなあと妄想。よほどの縁がないと無理でしょうけど。
駐車場にて。我が家のBKEPアクセラスポーツ20S、購入後9年11万キロ以上を走ったので既に12万キロを超えていますが、ショックアブソーバをはじめとした消耗部品の交換だったり、定期的な液物の交換(エンジンオイル、LLC、ATF、ブレーキフルード等)を行っていることもあって、絶好調。フットワークもいいし、よく走るし、エアコンも壊れないしで我が家的に手放せない一台となりました。
アクセラの集まるイベントに行っても、なかなか目にしない初代BK型、それも普通のグレードですが、この日はこの代BK型アクセラがマツダのコンパクトカーの歴史にとって非常に重要な位置にあること、次期アクセラのデザイナーからしてもこの初代アクセラのリヤデザインは忘れられない物であること、当時の開発者の苦労やこだわりが確認できたことで、よりこのアクセラに対する思いが深いものとなりました。いいイベントでした(^^
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モーターショウ | クルマ
Posted at
2018/08/12 21:56:12