2010年02月25日
今や絶滅品種となった感のある「ガキ大将」、かつては各地・各学校に存在したものだ。
腕っ節もさることながら、ここ一番での頼り甲斐が求められていた。
しかしよくよく考えてみると性格的に自己主張の強い者がその座についていたように思う。
実はからっきし喧嘩はダメな者もいたかもしれない、本人にしてみれば気が気じゃなかったろう。
今から30年ほど前、小学生高学年だった僕のクラスにもガキ大将は存在した。
彼の名をヒロシという。
ヒロシは確かに腕っ節も強かった。
一度だけ彼と衝突した事があるが、場慣れしているとでも言うのか足の奮えを抑えるのに必死な僕に対し彼は余裕の表情でせせら笑っていたっけ…
そんなクラスの男子から一目置かれていたヒロシに反旗を翻す者が現れた。
N子だ。
「子」って事は女子、ホモサピエンス~ヒト科のメスである。
当時は男子より女子の方が発育が早く、とりわけN子は160cmに迫るタッパと将来は女子プロレスラーになりたいと公言していたほどのガッチリとした体格で完全に男子に勝っていた。
生まれながらの気性の荒さと、それをサポートする肉体。
無敵の破壊兵器にさすがのヒロシもタジタジである。
男子が女子に力で封じ込められる
今でこそどこのご家庭でも見られる「よくある風景」であるが、当時の学校という小さなコミュニティーの中ではそれはそれは由々しき問題であった。
ダチョウ上島よろしく周りにそそのかされ破れかぶれで何度かN子にぶつかって行った事があるが、
その度に脳が揺れるほどの重量級のビンタであっさり床に沈められたものだった。
思えば僕のヤラれキャラはこの頃芽生えたのだろう。
あくまで個人的な主観に基づいて書かせてもらうが、僕は基本的に女性ボーカルが得意でない。
なぜかと言われても答えに困ってしまう。
Janis Joplin やAretha Franklin も2~3枚アルバム持ってるし、聴けば上手だなぁ~とも思うが
別になくたって困らない。
少し前巷を騒がせたスコットランドのおばちゃんにしろしかり。
天使の歌声と言われてもピンとこない、だからどうなのだ?
上手いとは思うが、心揺さぶられないからしょうがない。
最近では誰だ?興味がないから名前さえ出てこないぞ。
そんな「声楽女性軽視」な僕の前に立ちはだかる2人のボーカリストがいる。
一人は Joni Mitchell、そして Bjork だ。
彼女たちの歌は有無を言わさぬ説得力を持って僕に迫ってくる。
表現力がハンパじゃない。 悔しいが認めざるをえない。
音符の乗せ方、強弱のつけ方、間の取り方、ファルセットへの切り替え、すべてが僕にとって完璧。
どんなに女性ボーカルは苦手なんだー!とジタバタしたところで無駄な努力。
聴く度に打ちのめされ敗北感を味わう事になるのだ。
まさにN子のビンタの様な歌。
情緒的なストリングスと相反する無機質なマシンビート。
その上を縦横無尽、罪なまでに無邪気に行き交う彼女の声。
こんなモン出されちゃ、もう他のアーチストは廃業である。
そしてまた僕は脳を揺らすのだ。
Posted at 2010/02/25 23:42:03 | |
トラックバック(0) |
聴かずに死ねるかっ!? | 日記