
実は僕、ロードスターの他にこの様な車を持っております。
なぜに愛車登録しないか?
それは「乗らない」からであります。
新車購入から5年、僕が乗った延べ距離はおそらく3000kmに満たないでしょう;
乗らないから慣れない、ギア操作したつもりがワイパーが動く…;
サイドブレーキの解除方法すら自信がありません。
普段は足代わりとして母に使わせています。
給料日前だというのに息子たちを連れて外食へ。
一家4人乗車とあって久しぶりにキューブの出動です。
いやぁ~ホント久しぶり!今年初乗りじゃね?
しかしあらためて見てみると良いデザインの車だよなぁ~
ラウンドフォルム隆盛の世にあって逆行するかのようなこのスクエア…
「腹へった!早く行こうで!!」
お、おぅ…;
たしなめる息子たちの声に背中を押され出発です。
後にこのスクエアなフォルムに感謝することになろうとも知らずに…
俺 「何でも好きなモン注文してヨシ!!
俺のおごりだ!!」
息子① 「家族で割り勘って意味分からんし…(- -;」
父親の威厳の見せ方を少々間違えたとはいえ、デザートまでゆるす器のデカさ!
息子たちよ、器と○○はデカければデカいほどヨシだ!
店員「ドリンクバーのチケットお持ちですか?」
あっ、ちょっと待ってよ。えぇ――っと確か財布の中にあった……
「いや、無いです。」
さて無事に料理もテーブルに並び宴の始まりだ。
しかし僕には一つだけ気がかりな事があった…
そしてそれをどう息子たちに伝えるべきか考えていた…
息子たちが料理に口をつけるのを確認してその事実を告げる。
「えぇー、お父さんから君たちに重大発表があります。
お父さん…
財布を忘れちゃいました!!」
一同 「ええぇぇ―――っ!!!」
無心に料理を口に運んでいた息子たちも手をとめる。
はしゃぐな、はしゃぐな。
「しか―し!
ジャ―――ン!!小銭入れは持ってきてました!☆◎!★」
「中には500円玉が3枚、100円玉が7枚、以下省略。
計算すると…
何とかお父さんの注文分ぐらいは払えそうで―す♪」
息子① 「はぁ――――っ!?」
息子② 「うわぁ… この人サイテー…」
息子③ 「もぐもぐもぐもぐ……」
もはや「この人」呼ばわりである。おまけに「サイテー」
「携帯で家に連絡しよう!!」
さすが長男!頼もしい!
しかしな、お前はまだこの父親の事を理解しきれてないようだな。
俺を見くびってはいけない、財布を忘れてくるヤツが携帯持ってくるか?
あん?
まぁそれはそれとして、お前の携帯で家にかけろ…
「父さんが携帯持ってくるなつったじゃん!!」
そ、そ、そうだった;
せっかくの家族揃っての宴の席上で携帯ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、いじられても興ざめするからな…
でもだからって馬鹿正直に置いてくるヤツがあるか!
まっしかしお前は素直に育ったな…
お父さんの子育てに間違いは無かったって事だな…うんうん…
いや; 今は遠い目をしてる場合じゃない。
イッキに事態は深刻化してきたぞ。
「店の人に正直にワケを話そうや!」
おぉ!なんとも優等生的な解決策!
次男坊よ、お前は学期途中ではあるが生徒会役員に立候補しろ。
そして昨今の心根のいびつに歪んだ学生たちに喝を入れてやれ!
しかしな マイ・サン、大人の世界には見栄や建て前ってモンがあるんだぞ。
お前も大人になったら分かる日が来るさ。
だいいち衆人環視の中、店員に媚びへつらう父親の姿を見たくはあるまい?
とにかくだ、この場は僕たちのために命を捧げて下さった牛君や鶏さん、海老ちゃんの成仏のためにもまず喰っちまおう!!
おい!次男坊、お前は立ってどこへ行く気だ?
ちょ、ちょ、ちょっとトイレへ…;
「お父さん、あいつ店員にタレ込む気でっせ (-皿-)」
言葉にはせずとも僕に注がれる長男の視線がそう告げている。
ちょ~っと待った!
シットダウン!アンド・イート!!
喰う時は喰う事に一生懸命!死んだ曾婆ちゃんはいつもそう言ってたぞ。
しかしお前ら喰うの速いな…
あんまり速いと女子に嫌われるぞ!
隣のカップルの怪訝そうな視線が僕を刺す。
いや、いや、食事の話ですってば!
息子つかまえてそんなアダルトな定説を説いて聞かす度胸は僕にはありませんって!
満腹中枢も満たされ食後のエスプレッソを流し込みながら打開策を考える。
もうそろそろ潮時だ。どうやってあのウィンドウの外の世界へ出るか?
息子たちも開き直ったらしくドリンクバーのジュースをミックスさせなんともキテレツな液体の精製にいそしんでいる。
おいおい!泡がハンパじゃないぞ!化学変化起してないか?;
それ何ちゅう色しとんねん!?
誰かにお金を借りる
打つ手はそれしかあるまい。
店内に知り合いがいないか確かめる。
あっ!あの人はどこかで見た事があるぞ!
すみません…どこかでお見かけした事があるんですが…
1万円ほど貸していただけません?
…無理だ(- -; 完全にいかがわしい。
通報される恐れすらある。
思春期の息子たちに父親が連行される姿など絶対に見せられない。
あれ?3年の先輩たちだ…
後輩の父親にファミレスでお金をせびられる高校3年生。
シュールすぎる…; 長男の今後の学園生活を考えると却下。
その時だ!
ピンポ~ン♪
響き渡る入店合図の電子音。
入り口に目をやると、そこには取引会社の所長の姿!!
普段は壮年期を越え枯れた風情で「終わった感」を撒き散らしているが、この時の彼は違った。
少なくとも僕には誰よりも頼もしく思えた。
僕が女だったら2号になっても良いとさえ思わせる。
いやぁ~、女じゃなくて良かった、良かった。
さっさと1万円ほどお借りし、なぜか勝ち誇った様な顔で会計を済ませ窮地を脱する。
夢にまで見た外の世界、風は生暖かく快適とは言い難い。
まあ良いじゃないか、一山乗り越えたんだし。
そう、問題はまだ解決していない。
僕の財布はどこへ行ったかだ。
確実に車に乗り込む直前まで右手に握っていた。間違いない。
屋外へ落とした公算がイッキに高まる。
現金は絶望的として、免許、カード類は?
犯罪に巻き込まれる可能性も捨てきれぬ、よく分からんが。
とりあえず諸機関へ連絡のうえ効力を無くしてもらわねば。
もしもの時のために財布に忍ばせ、その時が来るのをひたすら待ち続けているオカモト君という名のゴムはどうだ?
あれで勘弁してもらうわけにはいかないものだろうか?
使用期限ってものがあるのか?
ファミレス駐車場で主の帰りをひたすら待ちわびるキューブ。
水銀灯に照らしだされいつもより幾分凛々しく見える…
ん? んん?
僕の目に飛び込んできた物は…
で、でかした――――っ!! キューブ・イズ・マイ・ルーム!!
そうなのだ、ガレージで息子たちを乗車させる際、屋根の上にポンて置いたのだ!ポンて。
自宅からここまで車で15分、落とすことなくよくぞ運びきった!!
僕の運転技術もさることながら、やはりここはフラットな天井に溝を刻んだ優秀な日産のデザイナーを高く評価しよう!
VIVA! SQUARE FORM!!
肝心の財布の中身は…
免許 OK! カード ALL RIGHT!!
オカモト君 今度こそ使ってやるからな!
よし!早速お借りしたお金を返済に…
ようやくこの話のオチが来ました。
ダラダラと長文お付き合いいただきありがとうございました。
では「オチ」です。
財布の中身は3千円、お金をおろすの忘れてました;