
JR神戸駅(神戸市中央区)から北東すぐの歩道にある旧国鉄の蒸気機関車「D51」形(愛称・デゴイチ)を地域のシンボルにしようと、地元・西元町の有志が取り組みを活発化させている。目下、野ざらしで傷んだ車体の修復を進めており、10月にはイベントを計画する。今年は神戸駅開業145周年。さらに同駅が西端にあたる東海道線の全線開通130周年と鉄道に縁が深い。関係者は「最適のタイミング。街の活性化の一助になれば」と意気込む。(上杉順子)
このデゴイチは1944年に製造された1072号機。太平洋戦争中の材料・人手不足で工程を簡素化し、代用材料を使用した「戦時型」仕様で、ボイラー上の蒸気だまりなどに名残がある。75年に引退するまで、30余年にわたり活躍した。78年に、当時の神戸市長・宮崎辰雄氏が「東海道線の終点近くに保存したい」と国鉄(現JR)に掛け合い、同年から現在に至るまで無償貸与を受けている。
当初は神戸元町商店街の西端近くの広場に置かれたが、92年に現在地へ移転されてからは目立たない存在に。雨ざらしでさびが浮くなど劣化が進み、以前にも見かねたボランティアが修繕したことがある。近年はごみの不法投棄も目立ったという。
近くに福祉系NPO法人の事務所を構える木村由巳子さん(67)は、地域活動で約2年前から周囲を清掃。「なぜここに、こんな状態で」と疑問に感じ、経緯を調べ始めた。鉄道好きの知人らの助言で市やJRに尋ね、市と国鉄が交わした覚書や、設置時に市が作ったパンフレットも見つけた。
デゴイチ周辺は商業施設が集まる駅海側のハーバーランドに比べるとやや寂しいが、高層マンションやサンテレビ新社屋の建設が進み、今後は盛んな往来が見込めるエリア。「昔からあるデゴイチを地域資源にしたい」と市と交渉し、手始めに10月13日、周辺商店主らでつくる「みなと元町タウン協議会」の主催で「神戸・西元町D51まつり」を開くことにした。
当日はデゴイチ周辺に音楽ステージや飲食、鉄道グッズ販売コーナー、記念撮影ゾーンなどを設ける。
まつりに向けて車体を修復中で、次回は9月1日午後4時から塗り直しなどを予定。参加者を募集している。詳細は「神戸・西元町のデコイチを守る会」のフェイスブックから。
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2019/08/22 22:31:43