忘れるところでしたが、おくりびとを観てきました。ようやく。このまま観に行けないままかと思っていたところです。さて、おくりびと本木雅弘、広末涼子、山崎努らが出演している邦画です。日本ならではの“納棺師”という職業を通じて、故人の旅立ちを“おくる”人々と、その納棺師になった青年の苦悩と葛藤を描いた作品でもあります。本作は東京の楽団でチェロ奏者をしていた青年が楽団の解散に伴い、夢を諦め、妻を連れて故郷の山形へ帰り、納棺師として新たな人生を歩み始めるところから始まります。冒頭、吹雪のなか車を走らせる男二人。着いた先が葬儀が始まる家。そこで故人に死装束をまとわせ、化粧を施し、納棺する。この一連の動作に日本の古来からある神秘的な儀式のようなものを覚えます。ただ納棺というのはその性質上、死のとなりにあるもの。死人に最も触れる職業であるため、一般には忌み嫌われます。そのために、友人には避けられ、妻は実家に帰り、人に堂々と言える職業でもないことから、主人公は悩み、時に葛藤しながら進んでいく。山形の山々を背景にチェロを奏でる主人公はどのような想いを秘めているのか。このような、暗くイメージの作品でありながら主演の本木雅弘がひょんなことから納棺師になった青年を好演しています。…やがて、親しく知る人の死。その人を“おくる”ときどうするのか彼は納棺師として“おくる”為に精一杯の“旅立ち”の“お手伝い”をする。そんな映画でした。最後に、この“おくりびと”で主人公の幼いころ生き別れた父親役で、映画の最後に“おくる”人物として出演した峰岸徹さんが先日亡くなりました。御冥福をお祈りします。