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やえなでしこのブログ一覧

2019年08月13日 イイね!

万緑の秘境 奥只見

万緑の秘境 奥只見私が通っていた中学校では朝のホームルーム前に読書の時間があって、本来は自分で家から持ってきた文庫本などを読まないといけないのだが、私は横着していたため3年間ずっと教科書や資料集を読み漁る時間となっていた。

国語数学理科社会、英語を除く主要教科の教科書と資料集は全て読破したが、中でも国語の資料集はお気に入りで、さらにその中でも俳句の項目が大好物だった。

俳句はみなさんもご存知の通り、花鳥諷詠に則って五七五のなかに季語を入れ、その時々の自然現象や思いを詠むものが一般的だが、無季自由律俳句といって季語が無く且つ五七五にとらわれない形式もある。いずれの形にせよ、その短い文節の中に凄まじい量の思いや情報が詰め込まれており、私のような凡人が本日のブログに長々と書いた文章がたった十数文字で表現されてしまうのだから俳句はすごい。

ということで今回は、会社の同期から今年は帰省しないのでどこか写真撮影に行きたいとのリクエストをもらったので、資料集にも掲載される種田山頭火の有名な句「分け入っても分け入っても青い山」をコンセプトに盛夏の奥只見へRS3を走らせた。奥只見は大学2年生の時分に初めて訪れて以来、その秘境感を味わうためにしばらくは初夏や紅葉の時期に毎年訪れていたが、ここ3年ほどは遠ざかっていたので久しぶりだ。

奥只見は文字通り福島県只見町のさらに奥、新潟県魚沼市から福島県桧枝岐村にかけての山間部で、国道352号線 通称”樹海ライン”が東西を貫いている。樹海ラインの名の通り、その大部分が広葉樹の森に抱かれたルートだ。また、国道352号線というのは酷道マニアにとってはおそらく最もよく知られた道の一つで、魚沼市の大湯温泉を過ぎたあたりから桧枝岐村の七入オートキャンプ場あたりまでの約70㎞が1~1.5車線幅しかない酷道区間に当たる。尤も、酷道といっても当該区間の全線が状態の良い舗装路となっており、個人的には酷道としては入門コース的な位置づけであると考えている(むしろそうでないとRS3では行けない)。
今回のルートはこちら

さて、私が奥只見に行くときはいつも新潟県側から登っていくことにしている。特にこだわりはないのだが、初めてこの道を通って奥只見を訪れた時にこのルートだったので、以来なんとなくずっと踏襲している。
普段奥只見に出向くときは魚沼スカイラインで星空や夜景撮影も組み合わせているのだが、今回は前日夜に一泊二日の新潟・福島旅行から戻ったばかりで仮眠時間を確保しなければならなかったので、国道352号線に直行することにした。午前2時過ぎに起床して出発、7時過ぎには新潟県側の麓の関越道小出ICで高速を降りた。先述の通り酷道区間がこれから約70㎞続くので、買い物や給油などはこの小出の街中で済ませておくのが無難だ。ちなみに私は途中の残雪や沢で飲み物を冷やして飲むためにコンビニで買い物していくことが多い。そして今回もまたローソンにお世話になり、店長のおじさんとポイントカード多すぎで面倒ですよね、という他愛無くも意外とクリティカルな問題であろう世間話をしつつ支払いを済ませて酷道へのアタックを開始する。



奥只見湖までのピーク、枝折峠までは1車線幅の曲がりくねった道が続く。峠まではこの酷道区間中最も道幅が狭い区間で、対向のための退避スペースが少ないので注意が必要だ。また、この区間は朝方は日陰になり、写真の撮れ高は稼げないので対向車と後ろからのバイクに注意しつつどんどん登ってしまう。


こんな感じで暗くて撮りにくい区間です。



しばらくすると枝折峠に到着するが、実は峠からの展望はあまりよくない。しかし、峠を過ぎるとすぐに奥只見湖側の展望が開けるようになり、眼前に荒沢岳がその雄大な姿を現す。晴れた空と荒沢岳に、夏草と木々が織りなす万緑がとても美しい。なお、枝折峠には登山者用の駐車場とトイレが設置されているが、いつも登山者の車でいっぱいなので、実際に停められるのはこの先に少し下ったところにある広めの退避場所であることが多い。むしろこの場所の方が展望としては優れているので好都合だ。

荒沢岳とRS3。PENTAXは青と緑が本当にきれいに写ります。



枝折峠を過ぎた後は銀山平へ向かってぐねぐね下ってゆく。この下りの途中から右手に見えてくる中ノ岳の展望は圧巻で、手前の樹海とその中に佇む荒沢ヒュッテと共に織りなす景色はとても日本とは思えない。とくに残雪のある7月までは空の青と木々の緑とのコントラストが美しく写真映えする。

銀山平まで下りるとこのルート唯一の平たん且つ2車線の道となる。銀山平は北又川の流れが作り出したと思われるわずかな平地で、ここからシルバーラインに合流できる分岐があるので、ダム駐車場での休憩もかねて寄り道する。駐車場にはダムの記念館や土産物屋があるので興味のある方は時間をとっていただければと思う。今回はダム自体は特に目的ではないので、休憩もそこそこにすぐ出発することにした。
ちなみにシルバーラインは麓から奥只見ダムまでを結び、これまで登ってきた国道352号線をバイパスする役割も持つ県道で、全線の8割以上がトンネルという狂気の道だ。ナトリウムランプが照らす素掘りのトンネルは最初は興奮するが、あまりにも長すぎるのでやはり途中から合流する程度がちょうどよいと思う。1車線幅の登り狭隘路を楽しめる変人に限るが。

銀山平を過ぎると湖畔の1.5車線区間に入る。相変わらず1車線幅の部分も多いが、退避スペースが多く取られているのでそこまで運転には難儀しない。しかしここまで写真を撮りながら来ると時刻は9時を回っていることが多く、交通量が増えてくる時間なので引き続き細心の注意をもって運転を続けねばならない。

湖を映した1枚。北欧のフィヨルドのような風景が続きます。



なお、この辺りまで進んでくると奥只見名物”洗い越し”が見られるようになる。通常、川や沢に道を通す際は橋をかけてその上に通すが、洗い越しは逆転の発想で道の上に沢を通す形になっている。洗い越しは奥只見特有の道路構造ではないが、その数の多さは群を抜いており名物といって良い。ちなみに奥只見は逆を突くのが好きで、なんとスキー場が豪雪のため冬季閉鎖になる。それほどの秘境ということだろう。

洗い越しの一つ。雨の後だと水量が激増します。車高の低いクルマは勢いよく侵入すると顎をするので注意。





しばらく湖畔を進むと少しずつ登っていくようになり、高台から湖を見下ろすようになる。湖の展望が効くのはこのあたりが最後なので、遠景を撮りたい場合はここで撮っておくことをお勧めする。鷹ノ巣の遊覧船乗り場跡を過ぎるといよいよ湖畔は終わりで、ここからは広葉樹林帯の中を進む林間コースとなっている。尾瀬から流れてくる川に沿って森の中を走る。途中平地が広がる場所があって、そば畑や納屋など久しぶりに人の生活の匂いがする。

今回飲み物を冷やして休憩した遊覧船乗り場跡での1枚(この沢はあまり冷たくなかったな…)。



新潟県と福島県の県境である金泉橋を過ぎると一瞬開けた後、さらにギアを上げた上りが始まる。このあたりでは、針葉樹の大木交じりにブナやミズナラが広がる美しい広葉樹林が我々を包んでくれる。紅葉の時期は赤や黄色の光に満ちた素晴らしい景観となり、国道352号線のハイライトとなる。

しばらくすると標高1500mを超えて国道352号線の最高標高地点となるが、展望が開けるわけでもないし特にこれと言ってスポットなどもなく、そのまま御池駐車場への入り口の前あたりから下りがはじまる。下りきって桧枝岐川を渡れば酷道区間は終了だ。
普段はこれまでの道のりで十分奥只見を味わっているためこの辺りはあっけなく通り過ぎるだけなのだが、今回の酷道区間の締めくくりは美しい滝となった。だいぶ下ったところにあるモーカケの滝駐車場の手前にその滝はある。実は恥ずかしながらこれまで何度も通っていながらその存在に気づいておらず、見るのは今回が初めてだ(たまたま水を汲んでいる人がいたので気付けた)。その名を「橅坂の清水」といい、名前の通りブナなどの広葉樹の森の中を流れてくる美しい滝だ。広葉樹の保水力のおかげで大雨でも濁流にはならないらしく、周辺が美しく苔むしていて滝を中心に鮮緑の情景が広がる。夏の盛りだというのにその清水は冷たさを有しており、水の流れと共に運ばれてくる涼風が心地よく肌に触れ、一口飲めば雑味のない美味しさがのどを潤す。実は冒頭の種田山頭火は偶然にもこんな句を残している「こんなにうまい水があふれている」(このブログを書いている途中に知りました。ほんとに偶然ですね)。


ひと時の涼をとった後は酷道区間の終了した352号線をそのまましばらく進み、舘岩のそば処 曲家で遅めの昼食をとる。奥会津の蕎麦も中々美味しい。食後は少し道を戻って窓明けの湯に入浴、仮眠させてもらってから帰路についた。

曲家は川沿いの席がお勧めです。ボリュームもあって美味しいお蕎麦屋さんです。



盛夏の国道352号線は、やはり分け入っても分け入っても青い山に包まれ、空の青と共に首都圏での暮らしで疲弊した視神経を癒してくれた。この句が詠まれたとき、人々の多くはまだ徒歩で旅をしていた。今日の私たちはクルマを使ってこの奥只見を写真撮影込みでも7時間そこらで駆け抜けてしまう。それでも自然を美しいと思う価値観はいつの世でも不変であり、それを詠んだ俳句の魅力もまた不変であり続けると感じたドライブであった。

Posted at 2019/08/18 20:54:47 | コメント(1) | トラックバック(0) | ドライブレポート | 旅行/地域
2019年07月30日 イイね!

保険料率クラス、変わってませんでした

保険料率クラス、変わってませんでした先日1年点検だったので、保険料率クラスが下がっていれば納車時に3年契約した自動車保険の見直しでもするかと損害保険料率算出機構のホームページでRS3後期型を調べてみると・・・

保険開始2019年1月1日~2019年12月31日
対 人 4
対 物 4
搭乗者 4
車 両 9

全く変わってませんでしたー。

3年契約した理由は他が高かったからです。車両9なんて保険会社によってはそもそも加入できないか、加入できるところでも平民にとっては驚きの価格のところばかり。RS3は馬力だけでなく保険料も車格を超越しているようです。ということで一番安かった営業担当氏紹介のところに3年契約で加入しました。お互いwin-winの良い契約であったと思います。料率が変わらないので引き続きこのままいこうと思います。


ちなみに前期型は
保険開始2018年1月1日~2018年12月31日
対 人 4
対 物 4
搭乗者 4
車 両 8

であったものが

保険開始2019年1月1日~2019年12月31日
対 人 4
対 物 3
搭乗者 4
車 両 9

に変わっており、車両保険はむしろ上がって後期型に並んでおりました。昨年の契約時、この前期型の料率クラスを参考にしていたため、今年になれば後期型も下がるだろうと踏んでいましたが甘かったです。


でも対物は下がって後期型より低いのはなぜだろう?
前期型も後期型もほとんど同じ車なのに…。
算出方法が分からないので色々と邪推してしまいます。少なくともみんカラにおられるオーナーの皆さんは料率が上がるような運転はしないように見えますしね。
Posted at 2019/07/30 22:42:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | RS3 | 日記
2019年07月28日 イイね!

1年点検してきました

1年点検してきました本日、RS3の1年点検をしてきました。
昨年8月の納車から約18,000㎞を走行。東北地方や中部地方を中心にだいぶ走りました。サンデードライバーとしてはかなり稼いでいるかと思いますが、とても楽しいクルマなので毎週欠かさず乗っていましたから無理もないですね。

この間、全くトラブルなく良く走ってくれました。最近はエンジンの調子が出てきたのか、高速中心に走った時の燃費が13.0km/lを突破することも珍しくなくなりました。この燃費はこれまではスタッドレス用の軽量ホイールでしか出せなかった数値です(因みにホイールを変えた際は一気に1.0km/lも伸びたので驚きました)。

ちなみに点検開始前にメカニックの方が車体の下を見せてくれました。走行距離の割には綺麗だと言ってくれたので、今の感じで洗車していけば良さそうです。



最近話題?のブレーキ導風板。まじまじ見たの初めてです。



点検中、S3セダンを貸し出してもらいました。



やっぱりS3はとても良いクルマですね。RS3はちょっと尖りすぎていますが、S3は何をするにも卒なくこなします。しかも同じ四輪駆動なのにRS3と比べると軽快です。前後の重量配分はRS3もS3も同じでエンジンの出力特性も似通っていますから、ギヤ比やクワトロの設定の違いなのでしょうか。なんにせよ買い物や外食などの普段使いも重視するならS3ですね。ゴルフRなんて基本性能は同じでしかも価格が低めですからコストパフォーマンス半端ないと思います。

S3に乗って軽い買い物と昼食を済ませた後、ディーラーに戻り、異常なしということで作業説明書をいただいて完了です。これからも大事に乗っていきたいと思います。
Posted at 2019/07/28 22:39:11 | コメント(1) | トラックバック(0) | RS3 | 日記
2019年07月20日 イイね!

大人になって気づいた房総の魅力

大人になって気づいた房総の魅力自分が住んでいる場所の魅力は、なかなか自らは気づかないものである。
私はいまでこそ神奈川県の都市部に居を構えているが、もともとは千葉県北部の農村地域出身であるため、子どものころは親に連れられてよく房総半島を通って南房へ釣りに行っていた。

その時の房総半島内陸部の印象というのは、何のメリハリもなくつまらないところだなあといった程度のものしかなかった。なにせ最高標高は408mで日本の各都道府県最高地点では最低(沖縄の最高地点より低い)、そのおかげで高原や渓流は存在しないし(一応、麻綿原高原や養老渓谷はあるけど…)、全体的に房総丘陵という丘陵地帯のため見晴らしも良くない。特にこれといった魅力のないところだと思っていた。

さて本日は、色々と訳あって生まれて初めて房総半島内陸部を目的とした日帰りドライブへ出かけたのだった。RS3を駆ってアクアラインを東進、そのまま房総半島内陸部へ進み、市原鶴舞ICで降りてから飯給駅に向かう。当時はただの田舎だと思っていたのが、いま改めて通ってみると、ところどころ昭和テイストのその風景がなかなか良い。往時を偲ばせる地主の家、里の神社、道祖神。日本人ならどこか懐かしく感じる風景がちらほら残る。
また、大人になって自分のクルマ、自分の運転で走ってみたことで、房総半島の道は丘陵というだけあり、ほどほどのカーブとアップダウンで走っていて退屈しない道であることにも気づいた。一応、首都圏近郊というだけあり、東北や北海道ほど空いてはいないが、のんびり流す分には十分だ。これで時々でいいから見晴らしが効いてくれたら文句ないのだけれど。

同行した友人のWRX STIと共に。助手席に乗せてもらいましたがいいクルマでした。



飯給駅は小湊鉄道の無人駅だ。もともと小湊鉄道自体は千葉県にありながらあまり経営状態の芳しくない地方超ローカル線だったため、駅舎や路線周辺は開発されず良い具合にノスタルジックな風景を残しており、私の記憶している中では十数年前にはすでにごく一部のもの好きに注目されていた鉄道会社である。
飯給駅に着くとちょうど上り電車が到着するところだったので数枚撮ってみた。私は撮り鉄ではないのでいまいち構図の取り方が分からなかったが、なんとなくそれっぽい写真が取れたので良しとする。駅近隣の神社も良い雰囲気だった。





飯給駅を満喫した後は濃溝の滝へ向かう。通称「ジブリの滝」と言われるここ数年で人気が出てきた名勝だ。普段、世間で騒がれているスポットなどはあまり廻らない私だが、今回ばかりは出身地千葉県の自然が珍しく話題になっているとのことで、思わず足を延ばしてしまった。結局ここでは滝撮影の絶好ポイントが立ち入り禁止になっており、それを写真に収めることは出来なかったが、千葉の滝や渓流がここまでのポテンシャルを持っていたことに驚嘆の念を得られたとともに、滝の代わりとしてハンミョウを望遠レンズでばっちり抜くことができた。
ハンミョウはNHK Eテレで香川照之氏も絶賛していた通りなかなか独特の形態を持った虫で、カミキリムシやクワガタのような格好いいフォルムにヤマトタマムシのような鮮やかな色彩を併せ持つ非常に写真映えする昆虫だ。





滝で写真を撮った後は早めの昼食。金谷フェリー港(浜金谷港とも)にある回転寿司店、船主総本店で地魚のお寿司をいただく。ここは普通の回転寿司では出てこないような地魚が色々あり、魚好き・釣り好きとしてはけっこう楽しめる回転寿司だ。そして、道の駅保田小学校で夕食の素材の買い物をした後、少し早いがそのまま帰路に就くことにして、今回のショートドライブを締めることとした。

今回の写真撮影をメインに据えたドライブで、遅まきながら千葉県の魅力に気づくことができたが、それは単に大人になって感受性が変化したからなのか、あるいは現在故郷を離れて都市部に住んでいるからなのか、はたまた千葉県民であるという変な自負があったせいで視野が狭かったからなのか判然としない。もしかしたらその全てなのかもしれない。いずれにせよ何らかの変化があったから気付けたのであり、そのまま何の気なしに過ごしていたら気付かなかったかもしれない。写真を趣味とする者としては、日頃から感度を上げて変化がなくとも気付きを得られるようにしていかねばならないと感じたドライブであった。
Posted at 2019/07/24 22:59:39 | コメント(1) | トラックバック(0) | 写真 | 日記
2019年07月06日 イイね!

深山の青葉と桜桃狩り

深山の青葉と桜桃狩り私は季節の移ろいを五感で感じることを何よりも大切にしており、その時々に伴った事象や事物を目的に出かけることが多い。

今回は毎年のイベントに位置付けている山形でのさくらんぼ狩りに加え、静かな森の中で緑の木々に囲まれたひと時を過ごそうということで、まずは新潟県胎内市へRS3を走らせた。


関越自動車道を長岡ICで下車、長岡駅前で昼食をとる。長岡のように歴史という下地のある街は、関東によくあるようなチェーン店ばかりの無機質な街とは違って温かみとかノスタルジーとか、なんとなく有機的な感じがするので私は好きだ。町中華と本格中華の境界にあるような、これまた個人的には好ましい中華料理屋「喜京屋」で美味しい海老そばをいただいた後、少しばかり駅前をふらふらしてから今晩の宿である奥胎内ヒュッテを目指す。

「喜京屋」のよだれどり。メニューは沢山あってどれも美味しそうです。



カーナビのおすすめルートでは関越道に乗りなおして暫く北上してから下道であったが、そこはせっかくこの長閑な下越まで来たのだから、幹線道路は通らずに下道で行くことにした。実は北陸や東北というのは北海道と肩を並べるほどのツーリング好適道路の宝庫で、幹線道路を避けるだけでも非常に気持ちよく走れる道がそこら中にある。

今回通った新潟県道14号線~新潟県道2020号線~北蒲原東部広域農道は良い道だった。新潟県道14号線は、新潟県五泉市から阿賀野川に沿って少し登ったところにある三川温泉から始まる(正式にはここが終点)。山越えが終わった後、右折すると県道202号に入り、さらに途中で右折すると広域農道に入る。ほぼ全線がセンターラインのある2車線道路で、程よいカーブと程よい直線にアップダウン混じりで運転に退屈しないし、路面状況も悪くない。
この時のルートはこちらをご覧ください
(みんカラってGoogle Mapの埋め込みできないんですね…)


胎内スキー場までいくと広域農道は終わりで、ここからは新潟県道53号線。胎内川に沿って飯豊連峰の主脈近くまで続く道だ。そして、一般車が到達できるその最奥部に奥胎内ヒュッテはある。なお、この道は路面がへたり気味なので、RS3のように硬い脚のクルマには少し辛い。

奥胎内ヒュッテは高級ホテルとかそのような類の宿泊施設ではないが、そのコンセプトから私はこの施設を応援している。県道が通じているとはいえ、飯豊連峰と胎内川の峡谷に抱かれたその立地は世間の喧騒から隔絶されていると言って良い。

ヒュッテ正面玄関


ヒュッテ駐車場にて(梅雨だからと洗車をさぼってしまいました…)



実際にヒュッテ周辺では携帯電話の電波は入らないし、登山者とわずかな工事車両を除けばこのあたりを通る車は皆無に等しい。そんな立地条件を活かして、電波だとか情報だとか、そういった世俗的なものをなるべく排除したシンプルな宿泊施設だ。インターネットはロビーにWi-Fiがあるだけで、部屋にテレビはない。その代わりこのヒュッテはのびのびと枝葉を伸ばす木々に囲まれ、葉のこすれる音や鳥のさえずり、虫の声、水の流れる音以外は聞こえてこない静かな環境にある。惜しむらくはそのような環境を楽しめる露天風呂が無いことだが、ここは自然が濃すぎて露天風呂を設けるとメンテナンスが大変なのかもしれず、宿泊料金を考えると仕方ないと思う。なお、ヒュッテといっても山小屋的な施設ではなく、宿泊施設としての設備は一通り揃っておりそのどれもが綺麗に保たれている。

ヒュッテの下を流れる渓流。歩いて河原まで下りられるみたいです。



この施設の売りは、なんと言ってもテラスでいただく朝食だ。空腹は最高のスパイスとよく言われるが、ここでは五感で感じる自然もまた最高のスパイスとなる(正確に言うと触感はテラスでは基本的に無いのでご安心ください)。因みに特に何も指定しなくとも朝食はテラス席でとることになっているので手続きは不要だ。


また、夕食もこの価格帯としては非常に充実しており、全体的なコストパフォーマンスは良いと思う。この奥胎内ヒュッテは経営母体が胎内リゾートという第三セクターで、ロイヤル胎内パークホテルという中規模のホテルも有していることからスケールメリットが働いているものと思われる。フォルクスワーゲンのクルマにおいてその車格以上に良い素材が見受けられるのと同じ原理かな。

夕食はちゃんとフルコース。スープがすごくおいしい。



さて、二日目はさくらんぼ狩りということで山形県東根市を目指す。ヒュッテから人里まで下ったのち、荒川に沿って米坂線と共に東進する。この道は国道113号線。山形南部と新潟北部を結ぶ動脈であるため交通量は比較的多いが、線型が良いため実勢速度は高くストレスなく走れる。

東根まではカーナビ上は国道13号線まで東進するルートが示されていたが、ここはやはりもっとローカルな道をということで名前の分からない広域農道チックな道をチョイス(後で調べたら置賜西部広域農道というらしい)。この道は広域農道らしい走りやすい道で非常に良かった。その後、国道287号線に合流して白鷹町、朝日町と経由すると東根市はすぐそこだ。

東根市は日本一のさくらんぼの街だ。国内最大の生産地である山形県の中でも東根市は生産量トップを誇っており、街中がさくらんぼだらけだ。特にさくらんぼ東根駅から奥羽山脈に向けて扇状地を上っていく山形県道122号線・29号線や、それに並行する296号線フルーツライン沿いは圧巻で、見渡す限りのさくらんぼ畑になっている。また、さくらんぼ東根駅は山形新幹線停車駅のため駅前が整備されているのだが、そこに植えられている街路樹はもちろん、さくらんぼである。6月中旬、まるで宝石のような果実が街路樹にたわわに実る様は、茨木のり子の詩「六月」の一節「食べられる実をつけた街路樹が どこまでも続き」という描写そのもので、訪れる者をとても幸せな気分にさせてくれる。

以前訪れた時に撮った駅前の写真。さくらんぼ実ってます。



さて、そんなさくらんぼに満ち溢れた東根市だから、その季節にはあたりを少し走るだけで直ぐさくらんぼ狩りのできる観光農園が見つかる。今回は少し時期を外していたのでもう終わってしまっている農園も多かったが、それでも佐藤錦の食べ放題のできる農園がすぐ見つかった。佐藤錦は中生種ではあるがもう終盤ということで若干実が緩くなっているとのことであったが、私たちにとっては十分美味しいものだった。ちなみに山形県ではどこでも関東周辺ではびっくりするような価格で食べ放題ができる。素人としてはその価格にちょっと心配になってしまうが、きっと農園にもメリットがあるからこそやっているのだろう。果物狩りというのは、生産者と消費者が直接結ばれる双方にとってうまみのある契約なのだと思う。





さくらんぼ狩りに訪れるといつも私を幸せな気分にさせてくれる東根市。来年はもう少し早い時期に来て色々な早生種・中生種を楽しんでみようという思いを胸に、今晩の宿のあるかみのやま温泉に向けてハンドルを握った。


Posted at 2019/07/15 19:03:39 | コメント(1) | トラックバック(0) | ドライブレポート | 旅行/地域

プロフィール

「@danslemidiさん、素敵な写真ですねえ。5~6月の緑はほんとうに綺麗で癒されます。日々の中に散りばめられたちょっとした瞬間を大事にしていきたいですね。」
何シテル?   05/26 15:23
地方の県道や広域農道を寄り道しながらのんびり走るのが好きです。以前は山道を走り回るのが好きでしたが、最近ようやく落ち着いた走りを好むようになってきました(笑) ...
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