ヨーロッパ各国で販売されていたトヨタ・アベンシスは高く評価されすごい売り上げを記録した

イギリスで生産され欧州各国で展開したアベンシスは、セダン、ハッチバック、ステーションワゴンがある
トヨタ自動車はイギリスに構えている工場に、ヨーロッパで展開するDセグメントのステーションワゴン、セダン、ハッチバック車を製造することを任命した。そこで誕生したのがアベンシスで、こちらは欧州車に求められるものをきちんと果たしており、日本でも輸入販売した実績を持つ。なお車名の由来は、フランス語で前に進むという意味の単語・AVANCERから来ている。

先代は同じくヨーロッパで活躍していた、流麗な印象のカリーナEだった

アベンシスの前身に該当するのが、同じくヨーロッパで展開していたカリーナEだった。こちらは日本で広まっていたコロナ及びカルディナが原型となっているセダン車で、エクステリアはベンツやBMWにも負けないくらいの麗しさを放っていた。そして販売を終了した後はカルディナと共にアベンシスへ受け継がれる。

初代T210　220型からパワフルなエンジンが加えられ、7人で乗れるミニバン仕様も登場した
1997年、カリーナEの後継車として初代アベンシスが発表され、翌年の1998年にヨーロッパで販売されることになった。形状はセダン、ハッチバック、ステーションワゴンの3通りを揃えたが、セダン車はBMW・3シリーズを連想させるようなデザインに整った。生産はイギリスの地域・ダービーシャーに構えている工場に任せ、その頃はカローラの5ドアリフトバックも英国で生産することが決まった。肝心のエンジンはガソリンとディーゼルが揃い、駆動方式は前輪駆動・FFのみだが、非常に満足のいく構造になっている。その後は専用エアロパーツや改良したサスペンションを加えたスポーツグレード・2.0SRが加わり、2001年には最大で7人乗れるミニバンが登場した。さらに展開はオーストラリアにも浸透したが、ハッチバックのみが販売された。

他の車の流れを汲んで誕生した2代目T250型は、安全テストで5つ星を獲得するなど大変な名誉を頂いた

初代で大成功を収めたアベンシスは2003年に2代目となり、とうとう日本へも進出することを決めた。こちらも製造はイギリスにお任せして、ボディタイプは前回と同じ3通りだった。ちなみにCOBBYによると、欧州仕様車ではディーゼルエンジンのみが使われ、日本仕様車には4WDや1AZ-FSE 2,000ccエンジンが加わり、セダン車やステーションワゴンの2種類が揃っていた。そして今回は前回にはなかった低燃費や利便性、盗難防止システムを加え、自動車安全テスト・ユーロNCAPでも高い評価を獲得した。2代目の誕生は、他の車の流れを汲んで成し遂げられたことも忘れてはならない。

アベンシス以外の新旧勢ぞろいの歴代トヨタ車

豊富なエンジンを取り揃えた3代目T270型は、エクステリアが精悍な印象に整った
とうとう2009年に3代目へと登りつめたアベンシスは、相変わらずイギリスから欧州各国へ広まったが、セダンとステーションワゴンのみで展開した。エンジンは直列4気筒DOHC及びディーゼルターボに進化して、運転席と助手席にいくつものエアバッグが付けられ、運転を手助けするTRC+VSCが標準装備され、アダプティブ・クルーズコントロールシステム、プリクラッシュセーフティシステム、レーンキーピングアシストをオプションで加えられるようになった。今度はエクステリアが今までよりも精悍な印象に整い、マークⅡブリットやクラウンエステートにも劣らない輝きを放ち、燃費基準を達成でき、ついにはトヨタ独自の衝突回避支援パッケージ・Toyota Safety Sense Cが加わった。

製造・販売が完全に終わってしまっても、プリウスやカムリといったトヨタの名車に受け継がれている

これまで紹介してきたアベンシスの製造及び販売は、2018年に完全終了してしまったが、例え終わっても日本ではプリウスα、欧州ではカムリ、カローラセダン、カローラツーリングスポーツに受け継がれている。ちなみにプリウスαはトヨタが誇るハイブリッド車を務め、カローラセダンはたくさんあるカローラシリーズを盛り上げ、カローラスポーツには初代コネクティッドカーの役割が加わった。

モータースポーツにも積極的に参加して、栄誉あるチャンピオンに輝いた
2010年には、アベンシスをベースにしたマシンでBTCC・イギリスツーリングカー選手権に出場することが決まり、堂々と総合優勝を果たした。ちなみに勝利は一階だけではなく何度も果たし、2017年にはインディペンデント選手権でチャンピオンを収めた実績もある。

全体的に評価すると、欧州車のような流麗さと素晴らしい走行、安全面にこだわっていたことがわかる
ヨーロッパで活躍したトヨタ・アベンシスを全体的に評価してみると、欧州車で求められる麗しさと走行性能がきちんとあることを始め、トヨタ独自の安全性能が加わっているので、他では決して見られない個性を引き立てているのが特徴である。それは決して、ベンツやBMWなどの有名な車にも劣らなかった。