いすゞが結構長い間手掛けていた乗用車・ジェミニは史上最大の販売台数を記録した

トラックでおなじみのいすゞ自動車は、普通乗用車もあれこれ手掛けていた
今ではすっかり大型トラックで有名となったいすゞ自動車は、かつては普通乗用車も手掛けていた実績がある。その種類は豊富にあって、トラックでも使われているディーゼルエンジンを搭載したもの、流麗なデザインに整えたもの、アメリカのゼネラルモーターズと提携を結んで製造したもの、磨きをかけたエンジンを搭載したもの、SUVの要素を取り入れたものが当てはまるが、今回は5代に渡って長い間展開することができたジェミニを紹介する。

初代 PF50/PF60/PFD60型からびしっと整ったセダン／クーペを成し遂げ、理想以上の車を果たした

ジェミニの原点は1974年にさかのぼり、当初はベレットジェミニという名前で販売されたが1975年にジェミニに切り替わり、2ドアスポーツクーペと4ドアセダンの2種類で登場した。さらにゼネラルモーターズの協力も受けたので世界戦略も果たすことができ、エンジンはG180型 キャブレター直列4気筒SOHCが使われ、駆動方式は後輪駆動・FRで、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアが3リンク式となっていた。しばらくするとエンジンが電子制御のディーゼル式に変わり、低燃費を実現できたので、1988年まで販売を継続した。

2代目 JT150/190/600型になると、米国市場への展開を意識した設計を生かした

まだ初代が発売されていた1985年に、2代目となるFFジェミニが登場した。今度はエクステリアデザインの印象が変わり、セダンとハッチバックの2種類で展開し、エンジンは4XC1型 1.471Lキャブレター直列4気筒SOHC、分配型燃料噴射ポンプ式直列4気筒SOHCディーゼルターボに、トランスミッションはNAVi5 、 3速AT 、 5速MTへと進化した。そして1987年から名前が完全にジェミニに変わり、高い走行性能や変更したグリルなどを採用して、ゼネラルモーターズを仲介してアメリカ合衆国で販売することも決めた。

セダン、ハッチバック、クーペの3通りで展開した3代目 JT151/191/641型

平成に切り替わった1990年に、とうとうジェミニは3代目へと突入することとなる。今度からセダン、ハッチバック、クーペの3通りが用意され、エンジンは電子制御燃料噴射式 ECGI　直列4気筒SOHC12バルブに、サスペンションは前後が同じとなるマクファーソンストラット式切り替わった。そしてセダンは北米市場ではいすゞ・スタイラスの名称で販売され、斬新なデザインを採用したことも大きな特徴である。一見充実しているように見えるが、この頃はバブル経済の崩壊や世界的な自動車業界の不況もあったので、売り上げの方は極度の不振に追い込まれた。これ以上発展する見込みもなく大幅な赤字となってしまったので、3代目は1993年に販売終了を迎えることとなった。

4代目 MJ1/2/3型からはセダン車のみに統一されたが、たくさんの人からの好評を得られた

前回の苦境を挽回するために、いすゞは1993年に4代目ジェミニを販売することとなった。ボディタイプはここから4ドアセダンのみとなり、駆動方式はデュアルポンプ4WDに、エンジンはD15B型1.5L及びZC型1.6LのSOHCに変わった。この頃のいすゞは乗用車の自社生産から完全に撤退したので、製造はホンダに任せることが決まり、前回の反省すべき所をしっかりと踏まえて、念入りに設計した。しかしそれでも、当時全盛だったミニバンやステーションワゴンに押されてしまい、売り上げは芳しくなかったとCOBBY。

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最後のモデル・5代目 MJ4/5/6型で、26年間の歴史に幕を下ろすことになる

いくつもの紆余曲折を経てここまで発展したジェミニは、ついに1997年に5代目へと突入することになる。こちらも4ドアセダンのみで展開するが、最後のモデルとしてふさわしくなるように流麗に整え、エンジンをD15B型1.5LまたはD16A型1.6Lに変えた。そしてトランスミッションはいすゞ初のCVT・マルチマチックを採用し、フロントグリルはホンダが手掛けるアキュラ・ELに似ているものに整えた。そして2000年になると、ジェミニは26年も続いた歴史に幕を下ろした。

宣伝のCMは、迫力あるカースタントを使っていて、合成やCGなどは一切使っていない
より多くの人に知ってもらうのに欠かせない宣伝コマーシャルは、昔ながらの風情が詰まっていて、見ている側の心に届くようなものに仕立て上げた。内容は迫力あるカースタントを使ってただ街を颯爽と走っているだけだが、「街の遊撃手」というキャッチコピーも加えたので、なかなかの流麗さがあった。さらに走行するシーンは、傾いた状態を保った姿も取り入れた。

ジェミニと肩を並べた姉妹車は、ホンダのシビックフェリオ及びドマーニ、アキュラ・ELが当てはまる
いすゞ・ジェミニは、4代目から姉妹車が登場することとなる。それはホンダが手掛けるシビックフェリオとドマーニで、どちらもセダン型を留めていて独自の麗しさを保っている。そしてジェミニが5代目になった時はアキュラ・ELも姉妹車となった。