トラックでお馴染みのいすゞ自動車がかつて手掛けていたSUV・ミューは、ショートホイールベースで、Bピラー以降が開放型となっているのが特徴で、若者の心を鷲掴みにしたスペシャリティーモデルにもなっている。
さらに突き詰めていくと、堂々としたクロスカントリー4WDのような風貌をしていて、名前はミステリアスとユーティリティーから生み出されていて、何よりどこまでも突き進むという勇ましさがあふれているのを感じる。
平成に切り替わった1989年に誕生したミューは、この頃から立派なSUVの形状を留めていて、この頃は一番後ろに幌が付いた「ハードカバー」と「ソフトトップ」の2種類が登場した。土台はCOBBYでも解説しているはしご型フレームでサスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンと縦置きトーションバースプリング、リアがリジッドアクスルと半だ円リーフスプリングの組み合わせとなっていて、エンジンはガソリンとディーゼルがある直列4気筒で、駆動方式は4WDのみだった。最初からこんなに堂々としていたので、当然売れ行きはなかなか好調だった。ちなみに製造は日本国内だけではなく、アメリカ、イギリスの工場にも任せられた。
1990年になると、同じ形状を留めたミューウィザードを追加設定した。こちらはディーゼルエンジンの燃料噴射システムを電子制御式に変更して、ディーゼルターボに設計しており、サスペンションは2つの要素を融合した、前後でそれぞれ異なるものとなっている。もちろんこちらも多くの人から人気を集め、しばらくするといすゞ自慢のSUV・ウィザードへと切り替わった。
ミューの姉妹車と言えば、ホンダがかつて販売していた3ドアSUVであるジャズが当てはまる。こちらはホンダの独自開発車種ではなく、いすゞ自動車よりミューのOEM供給を受けて製造され、ミュー事態と比べてみるとアルミホイール、ボディカラー、シート表皮、ドアトリム、エンブレムが異なっているのが特徴である。そして販売期間は1993年から1996年のたった3年間だった。
ヨーロッパに向けて1991年に開発されたフロンテラスポーツは、あまり形状がミューと変わっていないが、イギリス・ルートンのIBCビークルズで製造され、当初はオペル製の直列4気筒 2.0Lガソリンエンジンが搭載されたが、マイナーチェンジによって4JB1-TC型 直4 2.8Lディーゼルエンジンに切り替わった。ちなみにフロンテラはオーストラリアに向けて作られたこともあって、こちらは駆動方式は4WDのみ、エンジンは直4 2.2Lのみ、トランスミッションも5速MTのみだった。
1998年に2代目となったミューは、初代に比べるとなだらかな印象になり、全体的に見るとおとなしいと感じられる。そしてエンジンは直列4気筒のディーゼル、V型6気筒のガソリンが揃い、燃費の向上、環境負荷の低減を両立した。この経緯から、2代目ミューはおとなしいデザインだけではなく、スポーツ性が際立っていることが十分に伺える。
ミューが2代目になってしまっても、それと同じ形状を留めたフロンテラスポーツは大切に受け継がれている。こちらもイギリス・ルートンのIBCビークルズで製造され、今度からエンジンが直4 2.2Lガソリン、2.2LディーゼルとV6 3.2Lの3種類となり、製造や展開はとうとうアメリカ合衆国にも到達することも決まった。
車を根底から支えるプラットフォーム/土台は、いすゞ自慢のピックアップトラックだったロデオから受け継いでいる。やっぱり土台がしっかりと安定しているからこそ、どこまでも突き進める4WDを成し遂げられるのだと実感する。
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ホンダ N-WGNカスタム ホンダ N-WGN カスタムに乗っている、国産車、外車、旧車問わず、車好き女子です。 好 ... |