
前回に引き続き、ボディ製作を進めていきます。
いよいよ地獄のデカール貼りです。このキットのデカール、窓枠やサイドモールが細かく分割されていて、貼りやすさという点ではいいのですが、カットされていないため、切り出しだけでかなり体力を奪われることになります。タミヤとかならデカールもカットしてくれてあるんですがねえ。
こういうスペースは余白ではなく、よく見ると白色バージョンの★マークなどが印刷されています。黒系のボディカラーを選択した際に使うのでしょうね。コルサグレイを選択した私が使うのは黒色バージョンのデカールです。
ボディの保護フィルムを剥がしながら貼り進められるよう、できるだけボディの下側から上側の順で貼っていきたいと思います。まず小さい★マークをドアに貼りたいのですが、丸形でさっそく切り出しが厄介です。ざっくりとシートから切り離してから作業したいのですが、変な形に切り離して他のパーツの作業に不都合が生じても嫌なので、隣接するパーツには予め切れ目を入れておきました。その中でも、
大きい★マークにも隣接している「GM57007」と、
定規とカッターで一気に切り出したいリヤ窓枠下部については、もうこの段階で切り出しておくことにしました。
これで残った余白部分を安心して切り出すことができます。
★マークは曲線バサミで切り出していきます。本来、曲線に沿った向きで使うハサミだと思いますが、逆向きも案外使いやすいと感じました。左手・ワーク・右手が一直線に近い並びになるからかな?
そんなこんなで切り出せました。余白部分は透明なので円の歪みは気にしない。
ドアのモールドを利用してマスキングテープを平行に貼り、
ドア後端から60mmの位置に印を付けました。
デカールの方は、マスキングテープと干渉しない部分の台紙をちょこっと切っておきます。
機械工学を修めていないので正確な説明ができないのですが、この場合は3箇所を基準にして位置合わせを行えばデカールの位置角度が一意に定まるはずです。現物合わせでバランスを確認し、今回は★の上端を先ほど付けた印に、★の両足をマスキングテープの辺に合わせることにしました。これにより、★の上端が左右位置を決定し、★の足それぞれが上下位置を決定し、★の両足を揃えることが角度を決定している…みたいな感じです。リンク機構でいうところの自由度みたいな概念が使えれば、もう少しうまく説明できるんでしょうかね。
マスキングテープを除けて台紙を剥がし、空気が入らないように貼り付けます。うまくいきました。
同じような高さのパーツとして、次はトランクガーニッシュを貼りたいと思います。ついでなのでトランクモールも貼ります。この2枚、もともと隣接して印刷されていたので一体のまま貼ることもできそうに思えましたが、貼り付け面に段差があったため素直に切り離してから貼ることにしました。なんならトランクモールは貼り付け面の幅とデカールの幅がほぼ同じなので、デカールをギリギリで切り出さないと綺麗に貼れません。シビアです。
余談ですが、トランクモールの端部を見ていただければわかる通り、四角いデカールも必ず角を落とすようにしています。角があるとどうしてもそこから剥がれてきやすい気がしますので。丸く切るのは難しいので、斜め45°で1回切り落とし、それで出来た2つの角をさらに切り落としています(
正十六角形っぽい角になるはずです)。トランクガーニッシュも、この写真の後で同様の処理をしています。
これは失敗だったと思っているので真に受けないでほしいのですが、マスキングテープと同様に中央部の台紙を剥がして位置合わせしてから貼り付けました。この方法ではデカールの曲がりを防ぐことができないため、結局やや歪んだ仕上がりとなってしまいました。この方法は、十分な幅があってほぼ歪まないパーツには適していますが、細長くて曲がりやすいパーツには適さないようです。
この段階でマスキングテープも剥がすことにしました。もし修正が必要なのであればテールランプや窓枠を貼る前にやるべきだからです。
とは思ったものの特にはみ出しもなく綺麗にマスキングできていました。
とれるやんを用意してありましたが杞憂でしたね。
それよりも、テールランプのマスキングが微妙に大きすぎやしませんかね。デカールの正面から見るとよいのですが斜めから見ると透明な部分が見えてしまいました。しょうがないので裏から黒色の油性ペンで塗っておきました。
モールは全部同じ高さなので、トランクモールに引き続きサイドモールを貼っていきます。基本的に定規とカッターでの切り出しですがフロントフェンダーのサイドモールは先端が曲がっているのでここだけ曲線バサミで。
プレスラインに沿うように貼っていきたいため、目印としてマスキングテープの一辺をプレスラインに合わせて貼っておきます。どうもプレスラインがハッキリしないため、マスキングテープを貼っては光を当てて確認し剥がして微調整し…の繰り返しが一番の難所でした。一通りマスキングテープが貼れたらサイドモールはそれに合わせて貼っていくだけです。
ここで説明書にない一工夫を入れます。まずはマットな黒色のマスキングテープを128x30mmに切り出したものを用意します。切り出し作業を行う際には台紙が欲しくなりますが、それには適当なデカールのゴミを流用しました。
そしてこれをグリルの部分に貼ります。説明書通りに作るとグリルの裏に塗装色が丸見えになってしまうので、この一工夫でリアリティを高めます。後から思ったのですが、グリルの部分をマスキングしておいてちゃんと内部を見せるのもいいかもしれませんね。とれるやんを使えば後からでもできなくはないと思いますが私はたぶんやらない。ちなみに、グリルパーツとボディマウント用パーツを支えるためにどうしてもポリカ部分が必要なので、くり抜くことはできません。
モールの高さまでがほぼ完成したので、そこまでの高さのパーツは取り付けてしまいます。リヤバンパーは取り付ける前に、例の自作スペーサーをビス穴にゴム系接着剤で固定しました。なお、もう一組のビス穴も高さに余裕がある感じがしたので、補強を兼ねてこちらにもワッシャーを接着しておきました。
グリルやオーバーフェンダーを取り付けると、開口部が補強されてボディを持ちやすくなりました。
この類のデカールは好みに応じて貼ってくれという意図を感じますが、特にこだわりもないので説明書通りに「ARMY GM57007」を貼ることにしました。これもプレスラインと平行なマスキングテープを目印に貼っていきます。なお「GM57007」というのはこのキットのメーカー型番ですが、メタな要素を良い感じに模型の世界観に落とし込んでますね。
次は大物です。ボンネットの★マークです。ドアのものと同様に、★の上端と両足を基準にして貼ります。少しの誤差が目立ちやすいと思われるので、基準点部分の台紙をカットして精密に位置角度を合わせました。なお、次の手順のために台紙中央とその左右5mmくらいのところには予め縦の切れ目を入れてあります。
ボンネットは中央部にプレスラインがあるので左右位置の目印はそれを使えます。上下位置の目印は今回もマスキングテープで設けました。このマスキングテープはボンネット左右のプレスライン(の露出部分)が等長となるように貼ったのですが、やはり定規で測っては剥がして微調整し…の繰り返しでした。
位置角度に自信が持てたら、次は空気を入れないことに気を配ります。中央部分の台紙を片側ずつ剥がし、プレスラインに沿って密着させていきます。ここまでできたら位置角度はズレないので、残りの台紙を慎重に剥がしてトランサーや指で貼っていきます。
最後は窓枠です。タミヤの一体型デカールを見慣れているので面食らったのですが、このキットでは上辺・下辺・左コの字・右コの字の4パーツに分かれています。ちまちま切り出すことに気が遠くなりましたが、この方式なら空気が入る心配もなく、歪みも生じにくいので、中々どうして合理的な方式ではないかと思いました。なんなら多少歪んでも打ち消すように調整できます。見方を変えると、ユーザー側で調整が利くようにしておくことでメーカー側もそこまでの精度で印刷しなくていいというメリットがあるのでしょうね。
左右のコの字を先に貼っておき、それと辻褄が合うように上辺と下辺を貼っていくことになります。トランクガーニッシュの反省を踏まえ、こういう細いデカールは一方の端点をまず貼り、
数センチ残して台紙を剥がし、もう一方の端点を持って目的地に合わせながらトランサーなどで貼っていきます。この状態のうちは引っ張れば容易に剥がれるのでやり直しが利きます。
ここまでくるとデカール自身が自重を支えられるので、手を離して本当に目的地に向かっているか確認します。良さそうならもう少し台紙を剥がして貼っていきます。
大丈夫そうなら台紙を全部剥がして貼り付けます。これが最後の微調整のチャンスです。線がピッタリ繋がるようにしましょう。
ドアの窓枠は例外で、三角窓と上L字・下L字という構成です。三角窓の中にはご丁寧にLとかRとか印刷されているのでくり抜く必要があります。
三角窓は上端と下端の台紙を切って位置合わせします。下端の平行を出したいので下から貼っていくのが良いでしょうね。三角窓を貼ったら、それに合わせてL字を貼っていきます。L字はごまかしが効きにくいので慎重に位置合わせして貼ります。
これでようやくデカール貼りが完了し、だいぶ気が楽になりました。ボディ製作としては細々したパーツの取り付けがまだ残っていますが、そこまでやってしまうと箱の中に保管しにくくなってしまうので、次回からはまたシャーシ製作に戻りたいと思います。