ずいぶん遅くなりましたが,先日おこなった菜々パパ号のエンジントラブルに関する修理作業と所見を報告します.
〇対象車:菜々パパ号(H7式GX-R,KK-4C)
〇走行距離:102,100km
〇症状:エンジンカタカタ音とオイル漏れ
カタカタ音は特にエンジンが温まると音が大きくなる.
4ヶ月前に子メタル交換,その後2400km走行.
〇作業日:2011年2月12日~14日
〇交換パーツ:
1.メタル関係
子メタル(STD):12108KA030 ¥3210
(US 0.03:12108KA040 ¥3210)
(US 0.05:12108KA050 ¥3210)
親メタル(STD):12211KA060 ¥9780
ストレイナー,Oリング:806915100 ¥80
エキマニカバー,ボルト:800206780 ¥20 3個
2.ピストンリング交換(オイル上がり対策,ヘッドからのオイル漏れ対策)
ヘッドガスケット:11044KA221 ¥3640
ガスケット,ロッカカバー:13294KA121 ¥2310
オイルフィラー,Oリング:806922050 ¥100
デスビ,Oリング:22476KA020 ¥270
カムオイルシール:806738200 ¥830
ピストンリングセット:12033KA421 ¥9500
3.ステムオイルシール交換(オイル下がり対策)
シールInバルブ:13207KA020 ¥300 4個
シールExバルブ:13211KA020 ¥300 4個
〇作業内容
<1日目>
6:45AM 菜々パパ宅 到着
7:00AM 作業開始
準備(ジャッキアップなど,いろいろ...)
タイヤ,インタークーラー,エアクリ&スロットル,バンパー,SC,パワステポンプ,パワステブラケット,オルタネーター などを取り外し
9:30AM びぉびぉおさん 到着
昼食を挟んで...
エキマニと触媒のボルト,ヘッドカバー,オイルパン,スティフナ,ストレイナー,コンプレッサー,ハーネスコネクタ,ピストン,ヘッド(インマニ,エキマニと一緒に)などを取り外し,スクレバーでヘッド面掃除
子メタルの状態確認したところ全滅,親メタルもアンダー側で剥離ありのため,クランク交換?が必要と判断されブロックを降ろすことを決断.
6:30PM 作業終了
<2日目>
7:00AM 菜々パパさんと作業開始
8:40AM 思索して格闘すること1時間40分,無事にエンジンブロック脱着
ヘッド分解,バルブ取出し,ピストン,ヘッド,オイルパン,バルブ洗浄,ピストンリング交換,ステムシール交換,クランクチェック,子メタル,親メタル交換,ヘッド組立て(バルブすり合わせ,バルブ,ロッカーアーム装着),スティフナ,ストレイナー,オイルパン装着.
2:30AM 作業終了
<3日目>
9:30AM 作業開始
ヘッドガスケット,ヘッド装着,タペット調整,その他,補器類を順次装着.
6:30PM 作業完了!
3日間でエンジンOH完了です!まさに奇跡?!
〇所見
子メタルの状態は,上側の剥離が激しいですね.
写真は,左から#1ピストンの順です.各子メタルの組合わせは左側が上側,右側(キャップについている)が下側です.
親メタルの状態です.左側から#1ピストン側の順です.各親メタルの組合せは,左が上側,右が下側です.#1のみ上下のメタルが剥離していますが,#2~5は下側のみが剥離していました.
以上の結果から,子メタル上側,親メタル下側の酷い剥離は,ピストン下死点における下側の衝撃を反映していると推測されました.したがって,子メタル交換の際,同様な傾向が見られる場合は,親メタルのキャップをはずして親メタル下側のみだけの交換でも改善される可能性が示唆されました.エンジンを降ろせない応急処置的には効果があると思われます.
したがって,菜々パパ号が4ヶ月前に子メタルを交換していても親メタルがすでに異音の発生源にもなっていたため,異音は改善されず,わずか4ヶ月で子メタルにも損傷を与える結果となったと考えられました.
このようなメタル状態を生み出したクランクでしたが,ピン径計測やプラスチゲージでクリアランスを確認したところ,親メタルで一番影響が見られたクランクピン#1でもSTDサイズで基準値に入ることを確認したので,すべてSTDサイズの親メタルで対応しました.子メタルは,プラスチゲージでクリアランスを確認して適応するメタルを選択した結果,#1がSTD,#2と#3がUS0.03.#4がUS0.05でいずれも0.051mmが計測され基準値の範囲内におさまりました.
3日目は,夕方から降雪が強くなり,自走チェックが出来ないまま撤退を余儀なくされました.
後日,サーモハウジングからの水漏れが報告されましたが,その後,異音もなく,問題なく走行していると報告を受けました.
したがって,今回の怒涛のエンジンOHミッションは
大成功したことを宣言して報告を終わります!
おまけ
洗浄前のピストンヘッドの比較です.3>1>4>2の順にカーボン汚れが目立ちますね.インジェクターの吐出量のバラつきでしょうかね...
Posted at 2011/02/23 22:38:23 | |
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参考資料 | クルマ