前回の日記で市販LEDヘッドライトの解析を書きました。
今回はその続き、物の実車搭載までを書きます。
H4ヘッドライトと光軸の調べ方については・・・写真は撮ったのですが、長くなるので需要があれば書きます。
まずは、市販品から剥がしたCXA1512を乗せる為の台座が必要です。
と、言う事で・・・H4バルブやLED、ライトのリフレクターを持ってカブで片道100キロの旅へ・・・
姫路のプロショップへ行って現物あわせで削って頂きました(感謝)
事前に光軸に合うLEDのマウント位置は調べておいたので、その位置に合う様にアルミを削り出して頂き、家に持ち帰ってアルマイト加工したのが↑の写真です。
今回は15V10Aで60分通電、着色なしで仕上げは酢酸ニッケル0.6%水溶液で20分程煮込みました。
沸騰させない様にビーカーに水溶液と対象物を入れて湯煎しましたが、温度安定性が良く異臭もしないので良かったです。
こちらは今回新たに調達した酢酸ニッケルです。
あらゆる薬局で販売を断られ、知り合いの医師や薬剤師にも聞いたのですが答えはNG。。。
色々調べた所、人体に使う物ではないので流通ルートが違うのが原因だった様です。
試薬専門の会社に問い合わせ、理化学機器の商社を紹介頂いて電話で注文すると、翌日入荷であっさり入手出来ました。
但し、発送は出来ないとの事で店頭に引き取りに行きましたが。。。
なお、販売単位の関係で500グラムも購入する事になりました(価格はそれほど高くは無いです)
今回使ったのが3グラム・・・使い切るのは不可能な気がします。
お友達でアルマイトやってみたい方が居ましたらご相談ください。
そしてアルマイト後の台座にCXA1512を熱伝導接着剤で接着し、配線をしました。
この状態でヒートシンクと冷却ファンを追加し、一時間の点灯試験後の温度が↓の写真です。
これはLEDの真裏のアルミ部を計ったものですが、やや高めの数値が出ています。
対策として、沖電気が開発したエネルギー変換型放熱シールのまず貼る一番を台座へ貼り付けしておきました。
このシールはオキツモのクールテック同様、熱を赤外線に変換して放熱する物で、無風・密閉空間でも放熱を行う事が可能です。
こちらはHIビーム時の各LED電流です。
CXA1512が2個並列接続ですが、素子間の温度差や個体差で微妙に電流は変化し続けます。
こちらは点灯時の電流です。
これは直流点灯時の電流ですが、カブの交流を整流した場合は20V程度になりますので、20V時は0.9A程度の消費電流となり車両側の改造は不要、とっても省エネです。
こちらはライトの裏側です。
台座の後ろにM4のタップを立て、パソコンのグラフィックカード用ヒートシンク&ファンを搭載しました。
リフレクターやヒートシンクは熱伝導接着剤で台座と接着してありますので、点灯時は全体がほんのり暖かくなります。
こちらは最終仕様のドライバー回路です(テスト走行後シリコンで防水処理しました)
DC/DCコンバータの入力側にあるコンデンサを大容量の低ESRタイプに変更し、入力段にあるダイオードブリッジと共に整流回路を構成しています。
出力段のコンデンサは信頼性UPの為、元々と同じ耐圧・容量の国産低ESRタイプに置き換えました。
HIビーム検出用フォトカプラは交流のままでは上手く動作しなかった為、ショットキーバリアダイオードで半波整流し、コンデンサで平滑化、定電流ダイオードで定電流ドライブしています。
ちなみに元のフォトカプラからシャープ製(白色)に変更していますが、実験中に誤接続で焼いてしまった為であって機能的なな理由ではありません。
なお、実はFIのプレスカブは交流点灯と言いながら実際には平滑化されていないダイオード整流されたパルスが来ているらしく、今回の回路構成ではCOM端子(左側真ん中)を+側にしないと上手くHIビームを検出しませんでした。
そしていきなりですが車両搭載写真です。
完全にポン付けです。
ぼるとお~ん(笑)
こちらは発光部アップの図。
遠目にはLEDと言う事が判らないかな?
不要輻射防止の為にはブラックアルマイトの方が良かったです。
そして点灯比較の図。
都合の良い壁が無かったので、プロジェクター(映写機)用の80インチスクリーンを道路に設置して比較してみました(笑)
写真はライトからスクリーンまでが3メートル、スクリーン寸法が1,620×1,220ミリです。
デジカメはISO感度・シャッタースピード・絞り固定で撮影しました。
体感より若干暗い目に写っています。
純正電球はカットラインって何ですか?ワイド配光って何ですか?と言う状態です。
LED側はカットラインはしっかり出ていますが・・・HIビームが上を向き過ぎています。
これには理由があって、H4バルブはLOとHIの発光点が殆ど離れていないのですが、LEDの場合、発光部の周辺に台座がある為、限界まで発光点を近付ける事が出来ないのです。
このたった数ミリの差が、実際の投光ではとんでもない差になります。
この問題を解決する為には、発光点を隣接させれる台座の小さな素子を使う必要があります。
調べた所、1800ルーメンクラスならあるにはあるのですが、かなりお高いのと普段はLOで走りHIは主に警告用途位でしか使わない事、原付には車検が無いと言う事で暫くこの状態で様子を見てみます。