GT40は前後左右斜めどこから観ても隙がない、アナログ人間の琴線に触れる素晴らしいデザイン。コクピットの8連メーターも最高で、こんなカッコイイクルマは無い(個人の感想です)。1960年代に英国ローラ·カーズの創設者エリック·ブロードレイによるものだ。当然、CADの無い時代だったので、デザイナーがクレイモデルを削って作成したからコンピュータデザインの白物家電現代車とは素性がまるで別次元。いつかは手に入れたいと40年前から憧れていたクルマ。俺はスモールブロック積んだこのmk1のほうが好き。
以前、友人からクラッシュしたSPFのGT40mk2を譲り受けて、フレーム交換すればすぐに直るということでシェルビーアジアにフレーム代ほか400万円を支払った。楽しみで毎週のように店に通い詰めたが、毎回適当にはぐらかされて3年5年が経ち、10年が過ぎて、このままじゃ人生が終わるぜ。SPFに大阪の代理店経由でフレーム購入を打診するも出さないという。もう、再生は不可能と諦めて、もう1台別のGT40を購入する方向に転換。
オリジナルは今や4~5億円、ル·マンウィナーGT40-P1075は30億円でも売ってくれないようだ。当然のことながらリプロダクションから選択することに。フラット目線で検討すると、やはり、ERA製のGT40が最もオリジナルの雰囲気が再現されているので、これに決定。
SPF製は、血統は正しく、オリジナル図面から起こされているが、フレームに使用されている鋼板が軟鉄のため剛性に欠ける。高張力鋼板(ハイテン)での製造は材料が非常に硬いため高価なハイテン専用プレス機が使えなかったためだ。最も気になる外観では、Fフェンダーが丸く盛り上がり過ぎで、ヘッドライトも吊り目で一瞬で違うとわかる。内装はドアを開けてびっくりな現代質感なので絶対にあり得ない。SMITHSメーターのデザインも時代が違うし。そのほか、リアクリップのキャッチが1個しかなかったり、各部が現代風にアレンジされていて改修に大騒ぎすることになる。その全面改修をする覚悟でいたのでパーツを世界各地から集めていた。せっかくの血統車なのにフィニッシュ担当者が無知だと台無しだ。数年前に限定で製造されたツールルームコピーの内装は良くできていると思うが、外観が改善されておらず残念。。俺もSPFオーナーなので、ほかのオーナーさん、気を悪くしないでくだされ。
もうSPFのmk2の修理ができないというコトになってしまったので、雰囲気が格段にオリジナルに近いERA製に決定。ERAはSPFよりも約10年前に製造が開始されている。しかし、ERAとしては、GT40は手がかかりすぎて儲からないとのことで20年ほど前に製造中止したので希少価値も高い。
前置きが長くなったが、この個体の初代オーナーは友人。俺がCOBRA427に乗っていた2000年頃につるんで走っていた個体。彼が急逝して人手に渡っていたが、2023年秋、COBRA乗りの悪友が売りに出ていることを教えてくれた。旧車価格が高騰している現在、かなり悩んだが、ここで手に入れなかったら一生の後悔だし、問い合わせ殺到とのことで、他人に買われる前に観ずにすぐ手付を送金した。打ち合わせに販売店に出向いたときにも日本人と外国人から問い合わせ電話が3本かかってきていた。
ちなみに、ERA製のGT40の総生産台数は百台ちょいでオリジナルの113台と同じくらいであり、しかも半数以上が左ハンドルなので、オリジナルと同じ右ハンドルは逃したらもう手に入らないくらいタマ数が少ない。
この個体、載っているエンジンは今ではまず入手不可の希少な1965·6年のKコードエンジン。組み合わされるトランスミッションはZF製 5DS-25/2。ともにオリジナルGT40に搭載されていたものだ。弱点のC4ブレーキはWilwoodに換装され、これまた効かないサイドブレーキも内蔵ドラムに改められていてラッキー♬
ちなみに、俺の中で、「レプリカ」とは、フィエロベースのフェラーリのように見るからにカタチがヘンテコ(ベース車のフロントウィンドウのママとか)で、エンジンもコクピットもオリジナルに程遠いお笑い系を指す。「リプロダクション」はエンジンとトランスミッションはオリジナルを使用し、フロントウィンドウや灯火類もオリジナルか同一形状に製造したものを指す。99.9%の知識のない一般人にはどっちもおんなじだけどね(笑)。SNSで一瞬でリプロってわかるクルマを「本物のGT40だ!」って狂喜して書いている一般人を見ると、あーあ、って感じ。