
今年も年末調整の時期がやってきました。
会社から発行してもらう源泉徴収票の見方が良く分からいと耳にしますので、今回はちょっと専門的な話をしたいと思います。ご自分の源泉徴収票があれば手元に準備してくださいね。
そもそも、年末調整ってなぜ必要なのでしょうか?
月々の給料から所得税が差し引かれていると思いますが、この月々の税額は概算なのです。概算と言っても、結構正確な税額でして、給与の額や扶養親族の人数で細かく設定されているのです。
給与計算をする為に会社側は従業員の扶養親族の数を把握しなければいけませんが、その書類が年末に提出する
『給与所得者の扶養控除等申告書』です。今年も皆さん提出されたでしょうが、その表題に『平成23年分』と書かれていたことに気付いたでしょうか?つまり、この書類は本年の年末調整をするためのものではなくて、来年の月々の税額を算出するための書類なのです。当然ながら年中で扶養の増減があれば、もう一度提出することになります。そのために(異動)申告書も兼ねています。
一方、もう一枚の『保険料控除申告書』は本年の年末調整に必要な書類となります。
話がそれましたが、年間の給与総額が確定すると税金を清算しなければいけません。それが年末調整です。年末調整によって、
確定した税額よりも1年間に控除されていた税額の累計額が多いとその差額が還付されるのです。だいたい1万円前後でしょうか。ちなみに、賞与から控除される所得税は若干多めなので、賞与が多い人は還付金も多くなる場合があります。レアケースですが、還付をされずに徴収される人もいます。萎えますよね。
年中に扶養親族が増えた場合で、さきほど説明した『異動申告書』を提出していない場合は、扶養の数が反映されていない場合もありますのでお気をつけください。
後々、年末調整に誤りがあることに気づいた場合は確定申告で取り戻せることが出来ますので、ご安心を。
では、源泉徴収票を解説しましょう。(添付画像参考)
①支払金額・・・
いわゆる年収ってやつです。社会保険料や所得税等を引かれる前の金額。ちなみに通勤手当はこの金額には含まれません。通勤手当は基本的に非課税なので。
②給与所得控除後の金額・・・
よく『手取りの金額のことでしょ』って言う方を見かけますが、全く違います。
給与所得者(サラリーマン)には、サラリーマン経費と呼ばれる必要経費が税制上認められています。自営業で経費が発生するように、サラリーマンだってスーツや靴などの経費が発生していますよね。それを一定の割合で認めますよ、ということ。その経費を税務上『給与所得控除』と言います。年収によって差はあるのですが、年収700万円ぐらいまでなら約30%前後の経費が自動的に認められるのです。使わなくても認められるということがポイント。
例で説明すると、600万円と426万円の差額、174万円が『給与所得控除』。支払金額からその控除を差し引いた後の金額が、『給与所得控除後の金額』、となります。
約30%前後という数字を覚えといて下さいね。
③所得控除の額の合計額・・・
そろそろ頭の中が混乱してきましたか。笑
税金の計算は、=(支払金額-給与所得控除-所得控除)×税率-控除額 です。
つまり、『給与所得控除』は操作の余地がありませんが、『所得控除』は多ければ多いほど税金が安くなる仕組みです。結婚することや子どもを作ることが節税対策の一つと言われるのは、この所以です(今年まではね。謎)。
では、この所得控除の一部を列挙してみましょう。
○社会保険料控除・・・給与から控除されている社会保険料等
○生命保険料控除・・・最高5万円(年金保険を併せると最高10万円)の控除
○地震保険料控除・・・最高5万円の控除
○扶養控除・・・一人38万円の控除
○特定扶養控除・・・16歳から22歳の扶養親族がある場合は一人63万円
○配偶者控除・・・38万円
○配偶者特別控除・・・配偶者の所得金額による
○基礎控除・・・本人に38万円の控除 などなど
例の福岡太郎さんは、所得のない配偶者(控除対象配偶者有)と扶養親族が一人いますのでその控除額は、社会保険料控除799,740円、生命保険料控除50,000円、扶養控除380,000円、配偶者控除380,000円、基礎控除380,000円。これらの控除の合計額が1,989,740円。『所得控除の額の合計額』と一致しましたね。皆さんも電卓を叩いてみてください。
ちなみに、『給与所得控除後の金額』から『所得控除の額の合計額』を差し引いた金額を
『課税所得』といいます。
④源泉徴収税額・・・
年間の確定所得税額です。
この場合の計算は、4,260,000-1,989,740=2,270,260(課税所得)
2,270,000×10%-97,500=129,500 となるわけです。
さきほど言いましたように、税金の計算は、
課税所得×税率-控除額 です。
その関係は、
1,950,000円未満 税率5% 控除額0円
1,950,000円超 3,300,000円未満 税率10% 控除額97,500円
3,300,000円超 6,950,000円未満 税率20% 控除額427,500円
6,950,000円超 9,000,000円未満 税率23% 控除額636,000円
以下、割愛。
大切なのは、自分がどの税率のランクに位置しているか、ということ。次回の話にも繋がりますから、覚えていてください。
次回は、今回の話を絡めて、『子ども手当の損得』あたりを説明したいと思います。