
仕事を終え、疲れた体を投げ出すように電車のシートに身を任せる。
さっきまでの喧騒が通り雨のように過ぎ去り、ほどよい電車の揺れが一日の苦労を充実感に変えてくれる。今日も色々あったけど、頑張ったな。
ふとした気配で前を見た。
目の前のシートに、会社帰りと思われる綺麗な女性。
少し早めの黒いコートと長めのマフラーに、栗色の流れるような髪が一層明るく映える。
清潔感があって、かわいい。
何か携帯に夢中になって覗き込んでいる。
彼氏からのメールなのか、お気に入りのサイトなのか、或いはみんカラか。
時折、クスッと笑ったり、一所懸命に何かを書いたりしてる。
きっと楽しいんだろうな。
もう自分の世界に入ってしまっているようだ。
無意識に笑ったり真剣な顔になったりして、完全な自然体だ。
見ているこちらも自然と頬が緩む。
するとなんと
オモムロに人差し指を鼻に入れ始めてしまった。
我が目を疑いたかったが、紛れも無く鼻糞を掘り起こそうとしている。
どうすればよいのだ?
幸い、周りの乗客は気付いていない。
いや、俺と同じく金縛り状態なのかもしれない。
それにしても長い間ほじっている…。
ああ、いけない、そんなに深く…
おぉ、そんなに激しく…
完全に無意識なんだろう。
まるで彼女の全てを見てしまったような罪悪感を感じながら、エスカレートする行為をじっと見守るしかなかった。
掘り起こした宝物を見て、ようやく我に返った彼女。
すぐさまパンツのポケットに手をしまい込み、辺りを確認するかのように見回す。
さっきまでのあどけない笑顔は一転して厳しい形相に。
やばい!こっちを向きそうだ…!
ああぁぁ…目が合ってしまった…。
世界一気まずい雰囲気の電車だ。
何故か俺が悪者のような。
彼女の大切な物でも盗んだかのような。
俺は何もしていないんだ。もちろん写メだって撮ってない。
君を辱めるつもりは、毛頭ないんだ。俺は悪くない…。
あぁ、どうか許しておくれ。
決して誰にも話さないから…。
※画像と本文は関係ありません


Posted at 2008/10/21 20:24:23 |
トラックバック(0) |
チャラリーマン | モブログ