
昨秋交換して不要になったコムスのへたった旧バッテリを再生できないかと考えて、デサルフェータ回路を自作してバッテリ回復実験をしてきました。
ご存じの方は多いと思いますが、デサルフェータとは充電中の鉛バッテリ端子に高周波のパルス信号を加える回路のことです。この信号でバッテリ電極に固着した硫酸鉛結晶(サルフェーション)を分解・再イオン化することによって、劣化したバッテリの性能を回復させるものとされています。簡単な回路なので自作している人も多く、またパルサーとかバッテリー再生器等の名前で市販もされています。
さて鉛バッテリには大別して二つの型式があります。
(1)「開放型」……ベント型とも呼ばれ、自動車用などで昔からある型式。上部の蓋を開けてセル毎に電解液を補充したり比重を測ったりできる。
(2)「密閉型」……MF(メンテナンスフリー)型とも呼ばれ、電解液補充が不要で蓋は開けられないため比重測定はできない。コムスの主/補バッテリはこの型式。
今回テストしたのは3種3個の開放型バッテリと、コムスのバッテリはじめ5種14個の密閉型バッテリで、6月から8月にかけて4個の充電器と4個のデサルフェータを同時並行24時間ぶっ通しで合計延べ2700時間以上の稼働実験となりました。ようやく結果をまとめましたので、要点を以下にご紹介します。
さて、これらのバッテリに対してデサルフェータ稼働テストをしたところ、
(1)開放型の電解液比重については、3個中2個で満充電時比重が1.25以下だったものが1.30前後まで回復できました(1個は実験中のミスで過放電させてオシャカに)。なお回復に必要な稼働時間は200~300時間でした。
開放型の充電容量については、1個しか測定できていませんが、少なくとも新品時の20%程度まで劣化したバッテリに対しては、デサルフェータによる回復効果はありませんでした。

(2)密閉型については定電流放電試験を繰り返し行って充電容量の回復効果を比較しました。
------------(8/25訂正追記)---------------
その結果、
①初期容量が25~65%に劣化したバッテリ6個中5個は、10~25%程度の容量回復が見られた(60%の1個のみ容量が5%ほど低下)。
②初期容量が80%以上あり劣化の少ないバッテリ5個中4個は、逆に5%ほど低下した(80%の1個のみ変化なし)。
③容量が回復したバッテリを見ると、回復が確認できたデサルフェータ稼働時間は、12Ah型で70~200時間、60Ah型で12~24時間程度であった。
④容量回復の如何にかかわらず、どのバッテリに関してもデサルフェータを必要以上に長時間稼働するほど容量が低下していう傾向があった。
-------------(追記ここまで)--------------
バッテリ劣化の原因は、サルフェーションの他にも電極や電極に塗られた活物質の劣化・剥離など種々の要因があるので、デサルフェータひとつで劇的に回復するというほど甘いものではないようです。
詳しくは整備手帳に追ってレポートしますので、よかったらご覧ください。

Posted at 2020/08/17 15:52:13 | |
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