主人公の翻訳するロマンス小説と、主人公自身の物語が同時進行するストーリー。そんな彼女の私生活で色々あり、イラついて翻訳する小説を無茶苦茶にしてしまう、翻訳元のストーリーから崩れていく様が面白い。メインの現実世界の物語は、気負わず、緩く、軽く、相変わらずな三浦しおん節が楽しめる。主人公に翻訳されるロマンス小説(もはや翻訳ではなく、彼女の創作ともいえるものだが)も、意外にもハマり楽しめた。こっちがメインのストーリーも読んでみたいと思うほど。ロマンスの世界から逸脱した血みどろの世界、ロマンス小説に真逆な性の嗜好など、作者の趣味全開で笑った。あとがきも、三浦しおん節で楽しめる。そんなユルい1冊。★★★