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三井物産は月内にも金を裏付け資産とする暗号資産（仮想通貨）の発行に乗り出す。価格を金価格に連動させ、仮想通貨交換会社を通じて個人向けに販売する。実物資産であり価格変動の緩やかな金を裏付けることで、裏付け資産がなく価格が急変する仮想通貨とは異なる金融商品として販売する。スマートフォンなどに保存した仮想通貨を、提携した小売店などで電子マネーのように決済で利用できるようにもしていきたい考えだ。

金に連動した仮想通貨の発行は日本初とみられる。発行する「ジパングコイン（ZPG）」は発行額と同額の金を三井物産がロンドン市場から調達してひも付けする。三井物産はセブン銀行などと仮想通貨交換会社を立ち上げ、ZPGの取り扱いについて金融庁の許可を得て関東財務局に登録した。

実物資産の裏付けのないビットコインなどと違い、裏付け資産があるとその資産が価値尺度となって価格が安定する。1ZPGは金1グラムとして小口で取引できる。トークン（電子証票）には三井住友銀行による銀行保証も付く。

まずは自ら立ち上げた交換会社で個人向けに販売する。他の仮想通貨交換所でも順次取り扱えるようにする。

関東財務局に登録した交換業者は利用者の本人確認が必要だ。仮想通貨を証明するブロックチェーンについては管理者を置かない「パブリック型」ではなく、管理者が存在する「プライベート型」を採用することで利用者を限定し、プライバシー保護やマネーロンダリング（資金洗浄）対策につなげる。

実物資産の金は「有事の金」と呼ばれ、リスク回避のために運用されているほか、インフレ回避資産ともいわれる。金投資は上場投資信託（ETF）でもできるが、仮想通貨にすることで若年層の資産運用にもつながるとみている。

ZPGを決済に使えるようにすることも検討する。例えば、個人のスマートフォンにウォレット（電子財布）のアプリを入れ、コンビニやスーパーのレジで買い物をする際にバーコードを読み取ることで保有するZPGから支払える仕組みを想定する。決済時に瞬時に円に換金できるようにするほか、店舗がZPGとしても受け取れるようにする。

ZPGを売却もしくは決済に使った場合は値上がり分が課税対象となる。雑所得扱いで、最大45%の所得税がかかる。住民税10%と合わせると55%となる。利益が20万円を超えた場合は確定申告も必要になる。

三井物産は30年以上、国内外の大手企業向けに貴金属や非鉄金属、エネルギーなどの価格リスクをヘッジする商品のデリバティブ取引事業を手掛けてきた。そのノウハウを生かし、個人向けにデジタル通貨として生かす。

デジタル通貨を巡っては発行の動きが広がっている。三菱UFJ銀行などのメガバンクやNTTグループなどの大企業74社・団体が参加する企業連合は2021年11月末、銀行預金を裏付け資産としたデジタル通貨「DCJPY」の試験発行を始めると発表した。22年後半をメドに企業間送金での実用化を目指している。三井物産はDCJPYに先駆けて個人向けにZPGを発行、ガソリン給油や電力料金の決済などで相互に同時交換できる仕組みを想定する。

海外でも米IT（情報技術）大手が仮想通貨を使った決済サービスの導入を検討し始めている。ツイッターは自社のSNS（交流サイト）上でユーザー同士が現金やビットコインを贈りあえる「投げ銭」機能を昨年秋に世界で導入。ペイパル・ホールディングスは日ごろの買い物をビットコインなどの仮想通貨で支払えるサービスを米国で始めた。アマゾン・ドット・コムも暗号資産とブロックチェーン分野の開発責任者を募集する求人情報を公開したことが話題になった。

もっとも、仮想通貨に対しては世界で規制が強まっており、日本も規制強化に動いている。金融庁は法定通貨を裏付けとする仮想通貨に対し、発行体を銀行と資金移動業者に限るなど規制を強める。財務省も外為法の資本取引規制の対象に加える方針を示した。ただ、健全な市場育成には前向きな話でもあり、普及にはマネーロンダリング対策などと両輪で取り組むことが欠かせない。

米労働省が4日発表した1月の雇用統計では非農業部門の就業者数が前月から46万7000人増えた。15万人程度だった市場予測を上回った。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大もあって深刻な人手不足が続いており、労働需給の逼迫による賃金上昇は高インフレをさらに長引かせる恐れがある。

コロナ禍を踏まえて季節調整のモデルを変更した結果、過去のデータが遡及改定され、たとえば2021年12月の就業者数の増加幅は20万人弱から51万人に上方修正された。その水準からみると、1月の就業者の伸びは鈍っている。

1月の失業率は4.0%と前月の3.9%からほぼ横ばい。米連邦公開市場委員会（FOMC）が長期的に落ち着くとみている失業率4.0%と並ぶ。高インフレのなか、「最大雇用」へ労働市場が回復しているとの米連邦準備理事会（FRB）の判断は揺るがない。

米国家経済会議（NEC）のブライアン・ディーズ委員長は、調査期間中に急増した病欠者の扱いなどで統計がゆがむ可能性を指摘していた。宿泊など娯楽・接客業の就業者が約15万人増と、勢いは鈍いながらも雇用増の中心となった。

コロナ禍を機に共働きをやめて配偶者の一方が退職したり、高賃金を求めて転職を探ったりする動きが広がった。感染リスクが高い接客業などは敬遠され、足元でのオミクロン型の拡大はこうした傾向を強める恐れがある。

1日発表の21年12月の雇用動態調査（JOLTS）によると、非農業部門の求人件数が1090万件を超えたのに対し、採用数は620万件余りにとどまる。高賃金を求めるなどして自発的に離職する人は430万人台となり、南部バージニア州の飲食店の女性は「新たに採用できず、1人で厨房、接客、会計のすべてをこなすので手が回らない」とこぼす。

賃金も上がっている。21年10～12月期の雇用コスト指数でみた民間部門の賃金給与は1年前と比べ5%上昇した。今回の1月の雇用統計による民間部門の平均時給は前月比0.7%増となり、前の月（0.5%増）から伸びが加速した。

原油価格の上昇などもあって高止まりするインフレを抑えるため、FRBは3月のFOMCで利上げに踏み切る見通しだ。パウエル議長は今後の金融政策運営を「機敏に（nimble）」と表現しており、市場では「22年の利上げ回数は4回ではなく5回」（米ゴールドマン・サックス）などと金融引き締めを強めるとの見方が広がっている。

FRBは利上げ開始後、保有資産を縮小する量的引き締め（QT）にも早期に着手する構えだ。秩序ある緩和政策の修正により、米経済と金融市場を新たな軌道に軟着陸させる難題に取り組むことになる

3日の東京株式市場で仮想空間「メタバース」の関連銘柄が急落した。メタバース分野に積極投資するグリーは前日比8%下落し、仮想空間でのプラットフォームを手掛けるシャノンも一時5%安となった。前日の米メタ・プラットフォームズの決算発表を受け、メタバース市場の先行き不透明感が意識された。


3日の日経平均株価は5営業日ぶりに反落し、前日比292円（1%）安の2万7241円で取引を終えた。そのなかで下落が目立ったのが、ネットワーク上に構築された3次元の仮想空間で交流したりサービスを提供したりするメタバース関連銘柄だ。

グリーの終値は前日比67円安の819円と、約1カ月ぶりの安値をつけた。同社は2021年夏、今後2～3年で100億円規模の資金をメタバース事業に投資すると発表してから株価に弾みがつき、同年11月には1074円と4年4カ月ぶりの高値をつけていた。

3次元（3D）でのバーチャルイベントサービスを手掛けるシャノンも21年11月の直近高値からは4割超安い水準に沈む。前日に好決算を発表したソニーグループのほか、3Dデータの解析システムを扱う理経や、オンラインでのエンターテインメントのIMAGICA GROUPなども軒並み下げた。

米メタは2日に21年10～12月期の純利益が10四半期ぶりに減益に転じたと発表し、米株式市場の時間外取引で株価は23%超の大幅安となった。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「米金融政策が引き締めに向かいハイテク株に売り圧力がかかるなか、メタ決算をきっかけに連想売りが広がった」と指摘。一方で「下げは一時的だろう」とみていた。

新型コロナウイルスの新規感染者が3日、全国で初めて10万人を超えた。大阪市による入力遅れの上乗せ分を含めた数字で、2週間前の2倍を上回る水準。1月12日に1万人を超えてから約3週間で10万人に達した。変異ウイルス「オミクロン型」の流行で増加に歯止めがかからない。

厚生労働省によると重症者は911人となり、前日から25人増えた。

新規感染者は東京都が2万679人、大阪府が1万9615人。大阪市の保健所が国の感染者情報共有システム「HER-SYS（ハーシス）」への入力が遅れていた7625人分も計上されている。

新たな死亡は東京で新たに4人、大阪で13人が確認された。

都内の新規感染者を年代別にみると、20代が3849人と最も多く、30代が3675人、40代が3457人で続いた。ワクチンの接種状況別では2回接種済みが9705人、接種なしが5563人となっている

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