2022年02月01日
住宅ローン金利がじわり上がってきた。米金利上昇に伴う国内長期金利の上昇を反映し、3メガバンクは10年固定タイプの金利を約6年ぶりの水準に引き上げた。とはいえ、住宅ローン利用者の9割は、より金利が低い変動タイプを選んでいる。金利上昇は住宅ローン全般に波及するのか。
住宅ローン金利は大きく2種類ある。10年など一定の期間、適用金利が変わらない固定タイプと、半年ごとに適用金利を見直す変動タイプだ。3メガバンクが1月31日に引き上げを発表したのは固定タイプの金利だ。三菱UFJと三井住友が0.1ポイント、みずほと三井住友信託銀行が0.05ポイント、それぞれ前月に比べて引き上げた。
銀行は長期金利の指標となる10年物国債の利回りなどを基準に固定タイプの住宅ローンの金利を決めている。日本の長期金利は1月31日に0.185%と、日銀がマイナス金利政策の導入を決めた2016年1月以来、6年ぶりの水準まで上昇した。銀行にとって、長期間、適用金利を固定するのはリスクであり、早速、上昇分を反映した。
一方、短期プライムレート(短プラ)と呼ばれる金利を基準にしている変動タイプの金利はまったく別の動きになっている。短プラに基づく基準金利は日銀の政策金利に連動している。日銀は16年2月にマイナス金利政策を導入してから政策金利(マイナス0.1%)を変えておらず、基準金利も2.475%で微動だにしていない。
むしろ、銀行はこの基準金利からの引き下げ幅を競ってきた。auじぶん銀行の年0.289%を筆頭に、みずほ銀行もネット経由なら年0.375%に設定している。そろって固定タイプの金利を引き上げた2月分も、各行とも変動金利は据え置いた。このため住宅ローン利用者の9割は変動タイプを選ぶという。
では今後、変動金利にも国内外の金利上昇の影響は出てくるのか。結論から言えば、変動タイプの適用金利に波及することは当面なさそうだ。銀行が変動タイプの金利を引き上げるのは基準金利が変わるとき、つまり日銀が政策金利を引き上げるときだからだ。
いまの政策金利はマイナス0.1%で、政策金利の変更はマイナス金利政策の解除を意味する。日銀は資源高や供給制約に伴い、足元の物価上昇基調が長引く可能性を考慮しつつも、物価上昇は一時的として「現在の金融緩和を修正する必要はまったくない」(黒田東彦総裁)との姿勢を貫いている。
長期金利についても、日銀は0.25%以下に収まるように操作する金融政策(イールドカーブ・コントロール=YCC)をとっている。この政策が機能している限りは、金利水準がどんどん切り上がっていく可能性は低い。
住宅ローン専門サイト「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇氏は「少なくとも黒田総裁の任期の23年4月までは変動金利が上がることはないだろう」と読む。もっとも、この見立ては国内の物価上昇が日銀の想定どおり一時的にとどまることが前提になる。
変動金利で当面、超低金利のメリットを享受するか、固定で先行きの金利上昇の不安を小さくするか。物価2%目標の達成はなお遠いが、これまで以上に日銀の金融政策の行方が注目されていくのは間違いない。住宅の購入者は、まったく心配する必要がなかった金利上昇を念頭におきながらの選択を迫られる局面に入りつつある。
Posted at 2022/02/01 22:23:15 | |
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2022年02月01日
フィンランドのノキアやNTTなど世界の通信関連企業48社が、インターネットに常時接続する「コネクテッドカー(つながる車)」の部品について、トヨタ自動車やホンダなどに特許料の支払いを求めていることが分かった。1社あたり最大で年200億円近い負担になり、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。次世代車の中核技術はネット接続や自動運転などソフトの重要性が増している。日本勢の技術戦略は見直しを迫られている。
IT(情報技術)系など異業種の競争力が高い分野で、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。次世代車の中核技術はネット接続や自動運転などソフトの重要性が増しており、日本勢の技術戦略は見直しを迫られている。
通信規格「LTE(4G)」の特許料の交渉を担う米企業のアバンシを通じ、トヨタとホンダ、日産自動車の国内車大手3社に関連特許を包括的に使う代わりに車1台あたり15ドルの支払いを求めている。車の所有者が通信機能を使うかどうかにかかわらず、車メーカーに請求する。
アバンシは「パテントプール」と呼ばれる関連特許を持ち寄って共同で交渉する企業だ。海外企業ではノキアのほか、スウェーデンのエリクソンや米クアルコム、蘭フィリップスなどが参加する。国内企業からもNTTやソニーグループ、パナソニック、シャープなどが加わっており、国内外の48社が参加する。
48社で4Gの基盤となる標準必須特許の約7割を持つ。車載通信機が電波を送受信する方法や機器の動作の順序など、いずれもつながる車に欠かせない基本的な特許とされる。企業別ではノキアが基地局など通信インフラ、クアルコムは半導体関連、シャープは通信開始時の接続技術などに強い。
部品会社との費用の分担なども含めて車3社が支払いに応じるかは不明だ。応じれば、年数十億~200億円近い使用料になるとみられる。トヨタは2022年3月期にグループ全体で1029万台を販売する計画だ。全車に通信機を搭載して特許を使うと約180億円の支払いが必要になる計算だ。トヨタの同期の連結純利益見込みの0・7%にあたる。
アバンシは日本経済新聞の取材に「3社との協議は初期段階だ」としている。トヨタとホンダ、日産は「コメントを控える」としている。
通信特許はスマートフォンなどの端末をつくる機器メーカーが4G関連の多くを保有し、クロスライセンスで特許料を相殺しあうのが一般的だ。車メーカーは基本的に4Gの特許を持っていない。今回の同15ドルの要求額は、新たに車メーカーに支払いを求める枠組みとして設定した。
海外勢では独BMWなどが同15ドルの支払いに応じている。独ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)は21年6月、4Gの特許を巡る訴訟でノキアに特許使用料を支払うことで和解した。
4Gなどの通信機が車に搭載されるようになったのはここ数年で、自動車メーカー、車部品メーカーともに標準必須特許の使用料を原則として支払っていない。48社はパテントプールを組み、一体となって自動車メーカーから特許料を得る交渉を進める考えだ。
アバンシは年内にも高速通信規格「5G」の契約条件も車メーカーに提示する方針で、使用料などの詳細を詰めている。通信関連の特許を巡っては米特許管理会社が21年10月、トヨタやホンダなどを通信部品の特許侵害で米国で提訴した。
次世代車の目玉となる新技術はデジタル分野が中心でIT大手などが強みを持つ。独コンチネンタルによると、車両価値に占めるソフトの比率は現在の1割から30年に3割まで高まると試算する。エンジンなど機械的な特許が多い自動車メーカーには手薄な領域だ。
自動運転では「LiDAR(ライダー)」と呼ばれる高機能センサーが欠かせない。世界で100社あまりが参入し、米ベロダイン・ライダーなど新興企業のほか、ソニーグループなども技術開発や特許の確保に動いている。映像の分析などには人工知能(AI)の技術も重要になる。AIの特許では米IBMや米マイクロソフトが強い。これらの分野も次世代車を巡る知財の中核になりそうだ。
知財問題に詳しい牧野和夫弁護士は「次世代車の特許に対応する戦略部門を設ける必要がある」と指摘。そのうえで「(M&Aなどで)特許を買い集めるか、IT大手と提携して自社のポジションを高める戦略が求められる」と語る。
これまで自動車メーカーは部品メーカーと一体となって新型車を開発してきた。車メーカーを頂点に産業ピラミッドを作っており、業界内での知財リスクは表面化することが少なかった。次世代車で技術の裾野が広がることで、業界の慣例が通用しない異業種が重要な技術を握ることになる。
Posted at 2022/02/01 22:12:57 | |
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2022年02月01日
つまり、エンジンパワーだけをとっても、「100km/hで走れるのと、100km/hを余裕で快適に走れる」のとは、別問題ということだ。しかも、速度が高まるほど急激に高まる走行抵抗=空気抵抗の大きい、いわゆるスーパーハイト系と呼ばれる、背が高く、車重もそれなりに重い両側スライドドアを備えたNAモデルほど、高速走行ではパワー不足を感じやすくなったりする。室内が広大で荷物もいっぱい積めるため、フル乗車(4名)+荷物となると、なおさらである。当然、パワー、トルクが不足していれば、アクセルペダルの踏み込み量も大きくなり、その状態が長時間続けば右足が疲れてしまうかも知れない。高速道路を使って遠路まで行くせっかくのドライブ旅行なのに、目的地に着いた頃には運転疲労でもうヘトヘト、ではシャレにならない。楽しめない。
とはいえ、予算的にどうしてもNAモデルを検討せざるを得ない、というなら、先に触れた、ターボとNAの動力性能差が小さく、NAでもターボに遜色のない性能を持ったクルマをチョイスすればいい。一例としては、スズキ・ハスラーのFF(マイルドハイブリッド)モデルだ。筆者の過去の試乗リポートでは、こう記されている。「新エンジン、CVT、モーターアシストのおかげもあって、初めて走り出した際、ターボモデルかと錯覚したほどの出足のスムースさ、トルク感、伸びやかな中間加速の持ち主だった。冷静に見るとターボエンジンにない、エンジンの回り初めにゴロゴロとした3気筒感ある振動が見受けられたのが、ちょっと気になった部分とはいえ、新型となって、ターボモデルと新NAエンジンの動力性能差は確実に縮まった印象だ」。
実際、ハスラーのターボとNAモデルの2台で東京から軽井沢を目指し、往復したのだが、2名乗車ではあったものの、NAのハスラーでも、上信越道碓井軽井沢ICからプリンス通りに至るバイパスの長い長い上り坂を、無理なくスイスイと走れたほどで、なおかつNAモデルでも軽井沢に到着した際の運転疲労は最小限(往路がNAモデルの担当だった)。もちろんその裏側には、しっかりとしたボディ剛性と操縦安定性、快適感に直結するしなやかな足まわりと乗り心地のフラット感、段差越えなどでのショックや信じ宇の小ささ、走行中にステアリングやフロア、ペダルに伝わる振動の小ささ、そして車内の静かさといった基本性能の高さがあってのことではあるのだが。
そして軽井沢からの復路はハスラーのターボモデルの担当となり、走らせた。たしかに動力性能の余裕を感じさせるし、静かではあるものの、NAモデルとの劇的な違いは(価格差も考慮して)見出しにくかったのも事実だった。NAの軽自動車でも、乗車人数、荷物の積載量によっては、そうした印象を持てることもあるということだ。ただ、意外にも総合燃費はターボモデルのほうがわずかに上だった。NAとターボモデルを並走させたため、同じ速度で走ることになり、パワー、トルクに余裕あるターボモデルのほうが終始、アクセル開度が小さくて済んだためである。
結論は、高速走行、ロングドライブを頻繁に行うのであれば、また、フル乗車、荷物満載で遠出する機会が多いなら、基本的にはターボモデル、それもACC(アダプティブクルーズコントロール)付きの軽自動車を選ぶべきだと思う。疲れにくさは安全運転につながると同時に、運転が疲れないということは、目的地についたあとの疲労感も最小限だから、乗員全員がパワフルにドライブ旅行を目いっぱい楽しめることになる。クルマの使い方によっては、そこまで検討した上でNAかターボかを選んだほうがいいと思う。
Posted at 2022/02/01 22:05:05 | |
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2022年02月01日
最近の軽自動車は、660cc、58馬力程度のNAエンジンモデルでも、パワーユニットの進化、以前より増したトルクやCVTとのマッチングの良さから、高速道路で100km/h走行することが可能だ。
そもそも軽自動車の高速道路における最高速度が80km/hから100km/hに引き上げられたのは、ミレニアムの2000年10月。もう22年も前のことになるわけで、その時代から軽自動車が高速道路を上限、100km/hで走っていいことになり、軽自動車メーカーもそれに合わせて、高速走行でも無理なく走れる軽自動車を、NAモデルでも実現してきた経緯がある。
とくにダイハツの軽自動車用エンジンはずいぶん前から比較的トルクがあり、最近の軽自動車は全体的にNAとターボの性能差が小さくなっているのも事実。誤解のないように付記すると、ターボの動力性能が落ちたのではなく、NAの動力性能がスペックの数値以上に上がってきたということだ。
たとえば、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーのK CARオブ・ザ・イヤーを受賞したホンダN-ONEを例に挙げれば、NAエンジンでも3気筒感はほぼなく、出足こそやや重々しい加速力ではあるものの、それがむしろ重厚な走りの質感の高さを演出。60km/hも出せばターボモデルに共通する車内の静かさとともに、平坦路であれば十分な動力性能と軽快な走りを味わわせてくれたりする。
さすがにエンジンを高回転まで回せばそれなりにエンジンノイズが高まってはくるものの、高周波ノイズが抑えられた厚みのあるサウンドで耳障りじゃないから決して不快ではない。しかも、乗り心地は、15インチタイヤを履くターボモデルと比べ、しっかり感とマイルドさを見事にブレンドした心地よさ、快適感があり、とくに荒れた路面や段差、マンホール越えでの振動、突き上げ感はより軽微。フラット感でも上回る印象なのである。 操縦性にしても、カーブやレーンチェンジでの安定感、しなやかにロールする、安心感あるロードホールディング性能など、ちょっと飛ばした程度ではターボモデルとさほど変わらず、乗り心地を含めたトータル性能では、むしろNAエンジン搭載のオリジナルグレードに好感が持てたほどであった。ちなみに足回りに前後スタビライザー、横力キャンセルスプリング、アジャイルハンドリングアシストといった操縦安定性を高める技術を全グレードに投入しているのも、そんな印象が持てる要因と言っていいのである……。
だがしかし、冷静な目で見ると、さすがにNAエンジンの軽自動車が高速道路の100km/hクルージングが可能だとしても、ターボとの差は、速度が増すほどに、距離を重ねるほどに広がってくるのも事実。つまり、NAエンジンモデルが日常域でいかに静かに軽快に走ってくれたとしても、車速が上がれば持てるパワーをギリギリまで使うことになりがちで、同時にエンジンノイズが高まり、車内は一気に騒々しくなる。車内騒音が乗員の疲労度につながるのは当然で、長時間の高速走行では、やはりパワーに余裕があり、より低回転で静かに走れるターボモデルとの差が、運転疲労、乗車疲労という点で大きくなるということだ。
Posted at 2022/02/01 22:00:18 | |
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