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2020年10月04日 イイね!

ホンダ、F-1撤退

ホンダ、F-1撤退 すっかり秋は深まり、北海道は暑からず寒からず「一瞬の快適な季節」を迎えている。
 そんな穏やかな日々であっても、世の中はなんだか騒々しい。
コロナ禍もすっかり慣れてしまった感はあるけれど、まさか一国の大統領、それもアメリカ合衆国のその人が感染するとはもはや笑い話にもならない。
私はこの誰も経験したことのないウイルス感染拡大による世界的危機で、米、中、日のトップの誰かが、あるいは全員がその地位を降りるかも知れないと思っていたが、すでに我が国のトップはそのポジションを譲り、米国の大統領は選挙を控え微妙なところだ。
一方、今回のウィルスの発生源とされる大陸のトップは他の二人と違って、ますますその力を強力なものにしようとする様子がうかがえる。
なんだかドサクサ紛れな感がしないでもないが、ニュースで流れる映像を観るにつけ、このままでいいのか?と疑念を抱かずにはいられない。

 前置きが長くなってしまった。
騒々しいのは政治だけじゃなかった。

『F-1ホンダ 2021年いっぱいで撤退』

このニュースに落胆した人も多いだろう。
気持ちは分かる。
私も第2期のホンダ参戦のとき、撤退のニュースに落胆した。
当時、メディアも含めその判断には
ずいぶんと批判的なものが多かったと記憶している。
今回も「メルセデスに勝ってから辞めろ!」
「理由が意味分からん!」などと、可愛さ余って憎さ100倍的な論調がある。

 しかし・・・
またしてもここで断っておくけれど、私は落胆も憤慨もしていない。
「ホンダが撤退?あ、そう・・・」だけだ。
その判断に四の五の言うつもりはない。
あえて言わせてもらえば「今までお疲れ様でした!」である。

 日本の自動車メーカーで、ホンダ以外にF-1に打って出るガッツのあるメーカーが他にあるだろうか?
2020年現在、F-1の歴史の中で表彰台の中央に立ったドライバーを支えたエンジンメーカーはホンダだけである。
エンジンからパワーユニットに変わっても、
ホンダは優勝エンジンのひとつとしてその名前を刻んだのは事実だ。
だから賞賛こそすれ、撤退するからといって批判めいたことを言うつもりはない。

 しかし別の意味で落胆している。
このままでいけば、という前提になるがホンダが撤退すれば
パワーユニットの供給元はメルセデス、ルノー、フェラーリの3社になる。
たった三つのパワーユニットというのは、なんとも寂しい。
確かに現代のF-1はレギュレーションでガチガチに縛られているから、
メーカーは違えどほとんど同じような正義の上に成り立っている。

80年代以前の、12気筒と8気筒、NAとターボがぶつかり合うなんて、
ほとんど古代神話のような話だろう。

 さらに今のところ唯一メルセデスに対抗できる力を付けつつあるホンダが撤退すれば、ますますメルセデス1強に拍車がかかるだけではないかと思ってしまう。
これはメルセデスにとっても、実はあまり「ありがたくない現象」ではないか。
勝って当たり前のレースに資金投入することに、企業としてどうか?という点だ。
そうなると「メルセデス、チーム売却か?」というウワサも、
あながちデタラメではないのでは?と思えてしまう。
この世界、「ンなワケないでしょう~!」というウワサが
実は本当だったりするから恐ろしい。

 また、話は変わるがフェラーリの低迷もF-1の危機だろう。
ここまでナマクラエンジンだと、アルファロメオもハースモただの「弱小数合わせチーム」になってしまう。
いや、もうすでになっているか。

 話を元に戻そう。
ホンダの撤退によって恐らく他のメーカーになんらかの動きがあるかも知れない。
バーニー・エクレストンならきっと
主要メーカーに水面下でアクションを起こしただろう。
リバティメディアにそれができるか。
新規参戦の可能性があるとすれば・・・
BMW?
VW・Audi?
PORSCHE?
TOYOTA?
いやいや、どれも難しいだろう。
今や純粋に強力なレーシングエンジンを作ることを目指す時代ではなくなった。
環境に配慮し、エコノミーでエコロジーなF1用のパワーユニットでなければならないからだ。
F-1に限らず上位のカテゴリーはそういうものになってしまったのだ。

 そう考えると、今がもっとも参戦することが難しい時代なのかも知れない。
ホンダに限って言えば、第1期も第2期もそして第3期も尊敬に値するが、
今回の第4期パワーユニット時代に参戦したということは
賞賛されるべきことなのではないだろうか。

 最後にTOP画像をご覧いただきたい。

スピリット201ホンダ、1983年のマシンである。
ドライバーはステファン・ヨハンソン。
ホンダは第2期参戦にあたり、用意周到に準備を重ねた。
何もかもが今では信じ難いことだが、
ホンダが出資をしたF2チーム(スピリット)から参戦を始め、下地を作った。
画像のスピリット201は、なんとF2シャーシを使用している。
当初はこのままスピリットホンダでF-1参戦を継続するはずだったが、
その話は「破談」となりホンダはウイリアムズをパートナーに選んだ。

 その後のホンダの快進撃はみなさんもご存じの通り。
しかし一方でホンダのやり方は「札束ビンタ」と言われたこともあった。
既に大企業となったホンダは惜しみなく資金を投入した。
資金投入ならルノーもフェラーリもそれなりにつぎ込んだのは間違いないが、
当時のホンダほど勝ちまくりとなれば、色々と言われるのは仕方がない。

 ただ、当時のホンダであっても、記録的な勝利を重ねていっても、
その資金に見合った成果があったかどうかと思うと、いささか疑問なのだ。
そして当時のホンダという会社はそれを分かっていたのではないか。
分かっていた上で、あえて「ホンダらしく」という意味でF-1に参戦した。

 今はもうそんな時代ではなくなった。
参戦するにしても撤退するにしても「合理的理由」が求められる。
レースをやるのに理由なんてあるか!と言いたい。
山頂を目指す登山家に合理的理由を求めるのか。

レースが好きだからやる、というのは企業としては間違いなのだろうが、
私のようなモータースポーツ好きの外野はそうじゃない。
ホンダがここ数年のF-1を盛り上げたのは間違いない。
商業的にはこれまで同様に、決して成果があったわけではないにもかかわらず、
あるときはボロクソに言われたにもかかわらず、粘り強く開発を続けた。

 そのことに敬意を表さないモータースポーツファンはいないだろう。
Posted at 2020/10/04 20:09:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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