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2011年08月31日 イイね!

ポルシェ パナメーラに乗ってみました!後篇

ポルシェ パナメーラに乗ってみました!後篇 さて、すんごい長くなるので前篇を別でアップしましたが、今回は後篇として気になったところと総評をアップしてみたいと思います。
(前篇のリンクは→こちら



気になった点
・うっとうしいアイドリングストップ


 実はこの車にはアイドリングストップ機構が装備されています。一般的な日本車と同様、信号待ちなどで完全停止後しばらくするとエンジンが自動的に停止し、ブレーキ踏力を緩めたり、停車時間が長引くとエンジンが再始動するのですが、この車排気音がすごく大きいので、再始動のたびに
「ズドウゥゥンンンヴォヴォヴォヴォヴォ・・・・」
という音を響かせます。音が静かならいいのですが、ちょっと止まっただけでこの爆音なのでうんざりしてきます。
 一応アイドリングストップのキャンセルスイッチ(画像一番下の○の中にAと書かれているスイッチ)はあるのですが、環境のためにあるものを切ってしまうのもなんか抵抗がありました・・・
 で、アイドリングストップがあるから燃費がすごく良くなるのかというとそれほどでもなく、市街地中心7:高速3ぐらいの割合で150kmぐらい走って、燃費は6km/Lでした。V8・4.8L・400PS・車重1770kgの車を、渋滞の市街地を走らせ、アイドリングがけっこう長くて、高速では前が空くとフル加速という、燃費には不利なことばかりでこの数値だから納得すべきなのかもしれませんが・・・

・低速走行時のPDKのマナー

 概要での解説の通り、この車のトランスミッションは最近流行りのツインクラッチ式の「PDK」なのですが、巷間よく言われるように、低速走行時のギクシャク感は消すことができていません。加速時はゼロスタートからいきなりアクセルを踏むと結構強い衝動がありますし、減速時は「グーッ、グッ、グッ、グググググ・・・」という感じでギアが一段一段切り替わっているのが明確にわかる衝動があり、あまり快適ではありません。
 で、上記の通りこの車にはアイドリングストップ機構が備わっています。私は自動変速の車で停止寸前の時はブレーキ踏力をかなり緩めて滑らかに止まるようにするのですが、前述の通り「グッグッグッ」と減速してきてアイドリングが停まるときに「ガックン」となるので、まるで運転が下手な人みたいで恥ずかしいです。これなら絶対MTの方が滑らかです。
 さらに発進の際は2速で発進するのですが、まるでMTに不慣れな人が盛大に半クラッチをしているようにエンジン回転数が高いので、みっともないし車にクラッチに負担が掛かってるんじゃないかと心配になります。

・狭いところに閉じ込められたような後席

 この車は車格相応の、ショーファードリブンの大型サルーンというよりも、スポーツカーがたまたまサルーンになっただけというものです。その分明らかに後席の快適性は犠牲にされています。居住空間自体は確保されているのですが、ポルシェらしくルーフ後端が下がったデザインなので頭上空間は最低限です。
 また足元空間自体は、前席シートバックと膝前に握り拳3~4個分ぐらいの広い間隔はあるのですが、前席シートバックがポルシェらしいサイズの大きいハイバックのもののため、前方の視界は極端に悪いです。それから、この車の後席はセンターコンソールのある4人乗りなので、キチンと座ることを求められます。脚をガーッと広げてオレ様座りはできないので、オラオラ系の方は後席には座らない方がいいです(爆)
 あと前席の座面を下げると前席下に爪先が入らなくなり、実際よりも狭く感じてしまいます。

・なんでハッチバック?

 長所でハッチバックのスタイルがポルシェらしくて個性的と書いたのですが、Fセグメントサルーンにハッチバックがはたして似合うのかどうか疑問に思います。
 欧州車には「シューティング・ブレイク」という車体形状を持つものが連綿と存在します。「シューティング(shooting)」はすなわち狩猟のことで、狩猟の際などに猟犬や銃、獲物を収納するために、高級車やクーペであってもハッチゲートを持つボディが与えられているものを「シューティング・ブレイク」といいます。
 最新の車ではフェラーリ市販車初の四輪駆動車として話題になった「FF」はシューティング・ブレイクですし、ミニ・クラブマンやBMW・Z3 Mクーペ、ボルボC30、ボルボ1800ES、アルファ156スポーツワゴン、日本車ではアコードエアロデッキもシューティングブレイクと言えるでしょう。
 パナメーラは恐らくシューティングブレイク的な位置づけも狙っているのではないかと思うのですが、荷物の出し入れの際客室が外部にさらされるハッチゲート付きのボディが、果たしてFセグメントサルーンとしてふさわしいのでしょうか?車体強度・重量・防音の観点からも、トランクを独立させた方が良かったのではないかと思います。この車であれば、4人フル乗車でゴルフに行く機会も多いでしょうが、ゴルフバッグの出し入れのために後席のゲストの頭上でハッチゲートを開け閉めというのもちょっと・・・という感じです。
 それに、デザイン上リヤウインドウの傾斜を強めて流麗に見せたいということであれば、同じくFセグメントサルーンでハッチゲートを持つアストンマーティン・ラピードのような、非常にエレガントで美しいスタイルならまだ理解出来るのですが、パナメーラはラピードほどかっこいいとも思えません・・・
 欧州車ではシトロエンXMやルノー25・サフランなどハッチバックの高級車が存在しなくはなかったのですが、」それでも一般的ではありません。やはりオーソドックスにノッチバックでいいのではないでしょうか。
 
・ブラインドタッチできない操作系

 今回パナメーラに乗って、最も気になったのはこの点です。
 シフトノブ左右のセンターコンソールにはエアコン、スポーツクロノなど各種スイッチがとても美しく配置されているのですが、これブラインドタッチすることは全く考慮されていないようです。一直線上に、全く違う機能を持った同じデザインのスイッチが並んでいるため、正しく操作するためにはいちいち手元を確認せねばなりません。
 使用頻度の低いスイッチならばまだいいのですが、この中には「○だった点」でも書いたスポーツクロノパッケージのスイッチもあり、このようにハイスピードドライビングの最中に押す可能性があるスイッチまで押しにくいというのはどういうことでしょうか?
 これだけスイッチ類を詰め込んでいるので、逆に(特に日本の一般道路においては)使用頻度の高いもの、例えばハザードのスイッチがえらくわかりにくかったりします。
 ポルシェのデザインフィロソフィーは「形態は機能に従う」というもののはずですが、「全然従ってねえだろこれ・・・」って思いました。

・不可解なPDKのステアリングスイッチ

 写真はパナメーラのステアリングですが、ちょうど親指付近にあるのがPDKのマニュアルモード操作スイッチです。左右は同じ機能が与えられていて、前方へ押してシフトアップ・後方へ引いてシフトダウンですが、この位置非常に操作しにくいです。
 ステアリングというのは本来押して回すもののはずですが、その際に力が掛かっているのが親指付け根の膨らんだ部分のはずです。パナメーラのシフトスイッチ位置は親指を離さざるを得ず、きちんと力を掛けることができません。上記のシフトノブ左右のスイッチと言い、パナメーラの操作系はポルシェらしからぬ合理性に疑問を感じるものがあり残念です。

・エグいオプション商売

 これはパナメーラに限ったことではないのですが、ポルシェはオプションの価格が高くいろんなものを付けていくと目ん玉飛び出ますww
 昨日アップした前篇の概要のところに書いて、その価格の高さにびっくりされた方も多いかと思いますが、今回の試乗車・パナメーラSにはスペシャルカラー(65.3万円)、カーボンブレーキのPCCB(141.8万円)、19インチターボホイール(25.2万円)、アダプティブスポーツシート(レザーシート+レザーインテリア)(105.7万円)、アクティブエアサスペンション+PDCC(83万円)など高額オプションのオンパレードです。
 高額なことそのものはプレミアムカーなのでいいのですが、中には排気音が大きくなるだけで性能は全く変わらない「スポーツエグゾーストシステム(46万円)」という、ポルシェらしからぬチャラいオプションも装着されていました。ノーマルでは見栄えが悪いというわけではないのですが、それにしても1385万円の車がオプション装着で1900万円、すなわち138万の車が190万円になるって、そりゃすでに別の車だろって感じですね。
(余談ですが、このスポーツエグゾーストシステムによって排気音が大きくなった後って、メチャナイスサウンドでシビれますwwwwwwww)
 この辺の詳細は、ポルシェ公式サイトにカーコンフィギュレーターという着せ替え遊びができる機能があるので、是非見てみて下さいww 多分目ん玉飛び出ますwww

 ただ、ポルシェの名誉のために補足しますが、おなじみポルシェ911の自然給気モデルの最高峰スポーツ仕様「GT3」には、難燃素材製のフルバケットシート・7点式ボルトオンロールケージ・キルスイッチ等が備わった「クラブスポーツパッケージ」という、市販車としては極度に走りを重視した仕様にすることのできるオプションがあるのですが、これは無償だったりして、純粋に走りに関するものは低廉に提供されます。

・やかましいパークアシスト

 高級車にはよくある、バンパーに備えられたセンサーで障害物との距離を感知して音で知らせる「パークアシスト」機構がパナメーラにも装備されているのですが、街中を走ってるとすり抜けするバイクなどにもいちいち反応してうるさいです。順調に走ってるといきなり
「ポン・・・・・ポン・・・ポンポポポポポポポーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 」
と言い出すのでギョッとしますwwwwwwww
 それから駐車場や狭い道等で道端に雑草が茂っている場合にもいちいち反応するので、
「わかっとるがな!!!」
と思いましたwwwwwwwww
 ちなみに写真は運転席オーバーヘッドコンソールですが、一番左上のOFF P▲と書かれたスイッチでキャンセルすることができます。


総評
 私のブログを長くご覧下さっている方は、時々ブログネタにポルシェが出て来るのをご存じかと思います。要は私、ポルシェ大好きなのですが、じゃあ私がポルシェ経験豊富なのかと言うとそんなことはなく、学生時代に911を運転して以来15年ぶりぐらいのポルシェドライブでした。メルセデスやBMW、レクサスはよく運転する機会があるのですが、岡山のような田舎住まいだとポルシェに接する機会そのものがないんですよ、お恥ずかしい(泣
 今回のレポはそんなポルシェド素人が書いたものとして皆さまお読みください・・・
 
 こうして書いてみると「気になった点」が多いように思えますが、これはそれだけ書きたいことが多かったということです。通常の試乗記だと乗ってみても、「ふ~ん、普通にいい車だね・・・」だけで、正直感想を書くのが大変、というかその車のことを思い出すのが大変で、試乗記を膨らませて書くのに苦労する車も多いです。この車は良きにつけ悪しきにつけ、とにかく強烈な印象を与えてくれ、書きたいことを集約するのが大変でした。
 実際に乗ってみるとパナメーラはただただ圧倒されるすごい車でしたが、そのすごさは、単に「高い車だから「ポルシェだから」というものでなく、「車としての正しさを持っている」という点から醸し出されるものです。ドライバーの意思に忠実な動き、車から伝わってくるインフォーメーションの豊富さ、適切なドライビングポジションのとり易さ、それでいて黒子になってしまわない存在感・・・ こういった点はすべての自動車が備えていなければいけない、自動車として本質的な部分だと思うのですが、実際には残念ながらごく一部の車しか持ちえていないものです。
 
 近年、特に日本ではエコカーにあらずんば車にあらず、ハイブリッドにあらずんば車にあらずという風潮が顕著です。これは世界的にも大なり小なりこういう傾向があり、このパナメーラもアイドリングストップ機構が備わっていたり、先日「パナメーラSハイブリッド」が発売になりました。
 が、エコカーであること・ハイブリッドカーであることが自動車の本質を否定するものであってはなりません。例えばプリウスなどは走行中のエンジン音など車からのインフォーメーションを徹底的に遮断しているがゆえに、運転している感覚がきわめて希薄で運転が全く楽しくありません。車からの情報が少なくて速度感がないので、「今40km/hぐらいかな~」と思って速度計を見ると70km/hぐらい出ててギョッとします。最近高速道路でやたら飛ばしているプリウスを良く目にしますが、速度感がない上に運転が楽しくない車なんて、どんどんスピードを出してさっさと目的地に着きたいと考える方が自然だなと妙に納得します。

 でも、こんな車に乗って車が、運転が好きになるでしょうか?車が楽しいと思えるでしょうか?プリウスに乗ると、この車は車が好きでも何でもない人間が、車が好きでも何でもない人間(燃費とか車内の静かさは気になる)に向けて作った車なんだなと思います。こんな車に自動車の未来はありません。
 こういう書き方をすると「そりゃ、パナメーラは高いから良くて当たり前だろう」とか「ガイシャ信仰だ」とか思われるかもしれませんが、パナメーラの良さは価格の高さにあるのではありません。前篇に書いたような、車好きならばわかるであろう、自動車の本質が極めて優れているのです。パナメーラは40km/hで走っている時は40km/hだなあと感じることができますし、120km/hの時は120km/hだと感じられます。ゆっくり走っている時でもスポーツカーをドライブしていることを実感できますし、速度を出しても車を自分の支配下に置いているという安心感が伝わってきます。
 エコカー・ハイブリッドカー流行りの中、ともすればパナメーラのようなスポーツカーは否定されてしまいがちですが、実際に乗ってみるとパナメーラには抗い難い、自動車としての魅力があります。こういう魅力を持った自動車は今後も存在し続けなければなりません。

 今回パナメーラに乗せていただいて、自分自身の自動車に対する審美眼・審査眼を調律することができました。今回はつい気持ちが入ってしまって長々と書きましたが、今後もたまにはこのような車に乗ってレポートを書き、その魅力や自動車としての本質とは何かをお伝えできればなと思います。

何はともあれ、こんな素晴らしい自動車の世界・ドライビングの世界を体験させてくれて
ありがとうパナメーラ!
そして
いつかはポルシェ!

↓↓試乗記前篇はこちら
ポルシェ パナメーラに乗ってみました!前篇

↓↓フォトギャラリー よろしければどうぞ↓↓
ポルシェ パナメーラに乗ってみました。 外装編その1
外装編その2
外装編その3
内装&使い勝手編その1
内装&使い勝手編その2
内装&使い勝手編その3
内装&使い勝手編その4
Posted at 2011/08/31 10:00:34 | コメント(7) | トラックバック(0) | 新車試乗記 輸入車編 | 日記
2011年08月30日 イイね!

ポルシェ パナメーラに乗ってみました!前篇

ポルシェ パナメーラに乗ってみました!前篇 さて、当分東京・埼玉・福島・岩手行きネタが続くのですが、ネタがあり過ぎてご覧になってる方が飽きるといけないので、ここでちょっと小休止。通常コンテンツの新車試乗記をやりたいと思います。



 私の試乗記に出てくる試乗車の出自は様々です。多くの場合、新型車が出てからすぐに試乗に行くので、当然ディーラーの試乗車が多くなりますが、他にも車検や修理の代車であったり、旅行先のレンタカー、個人所有の車ということもあります。
 しかしながら、こういった車は結構一般的な車が多くなってしまいます。私が大金持ちだったら、自分のコレクションの車を…とかwwww、高級車ディーラーに行って…とか、金持ち仲間の車に乗せてもらって高級車の試乗記を…ということも出来るんでしょうけど、カネもコネもないワーキングプアの私には困難ですwww
 とはいえ、年1回ぐらいは何かスペシャルな車の試乗を…と思い、いろんなルートを探して、昨年はハマーH2、一昨年は日産GT-Rの試乗とフォトギャラリーをアップしました。
 で、今年はなんか面白い車に乗れないかな〜…と手を尽くした挙句、写真のこの車に乗れることになりました。↓↓


 というわけで、だいぶもったいつけましたが、
ポルシェ パナメーラ
に乗ってみました。
 試乗車の仕様は、V8・4L・400PSのエンジンを搭載した後輪駆動モデルのパナメーラS、トランスミッションはツインクラッチ式の7速PDK(Porsche Doppelkupplung:ポルシェ・ドッペルクップルング)・ボディカラーはアクアブルーメタリック・左ハンドルです。

 パナメーラSの車両本体価格は1385万円ですが、試乗車には…
スペシャルカラー(アクアブルーメタリック):65.3万円
ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ(PCCB):141.8万円
19インチ パナメーラ ターボ ホイール:25.2万円
アダプティブスポーツシート(レザーシート+レザーインテリア):105.7万円
スポーツクロノパッケージ:21.6万円
スポーツエグゾーストシステム:46万円
アクティブエアサスペンション+PDCC:83万円
…などが装着されて、実に1900万円近く!!になる仕様です。
(他に見落としてるオプションがあるかも・・・)

 さて、通常はここから○だった点と気になった点を書いていくのですが、今回に限ってパナメーラの概要を少し解説を…


◎概要
 ポルシェ パナメーラはポルシェ初の本格サルーンとして登場した車です。2009年5月の上海モーターショーでワールドプレミアされ、同年内に日本にも導入されました。
 全長4970㎜×全幅1931㎜の巨大なサイズでありながら、全高は1418㎜というワイド&ローなディメンジョンです。

 ちなみにライバル各車とボディサイズを比較すると・・・
               全長 全幅 全高(単位:mm)
メルセデスベンツ S550 5100 1870 1485
BMW 750i         5070 1900 1490
レクサス LS460      5060 1875 1465
・・・と、低くて広いというパナメーラの特徴がはっきりわかります。

 外観はご覧の通り、極めて個性的。メルセデスベンツSクラス、BMW7シリーズ、レクサスLS同様のFセグメントでありながら、ハッチゲートを持つ5ドアです。一見するとポルシェの代表的スポーツカー・911の全長を引き伸ばしたようにも見える、尻下がりのデザインです。 Fセグメントサルーンといえば、押し出しの強いフロントグリルの車が多いですが、パナメーラはグリルレス、ヘッドライトは911やケイマン・ボクスターなどスポーツカーとの近似性を感じさせるもので、同セグメント他車との考え方・成り立ちの違いを明確に感じさせられます。 

 ポルシェには以前サルーンモデルが存在したことがあり(市販車ではありませんが)、ポルシェ創始者・フェルディナント・ポルシェの息子で、ポルシェ356を設計したことで知られるフェリー・ポルシェの75歳の誕生日を祝って作られたGTモデル・928ベースのワンオフ車(928-4)が存在します。
 ただ、1980年代後半〜90年代初頭にかけてのポルシェの経営危機や、911に代わる主力モデルの育成に失敗したことなどにより、サルーンが市販されることはありませんでした。
 何度も噂に上っては立ち消えになってきたポルシェのサルーンがここにきて市販された一番の理由は、特にサルーンを好む中国市場の嗜好にいち早く対応させるということなのでしょう。
 
 バリエーションは…
ベースモデルの「パナメーラ」(V6・3.6L・300PS、パナメーラのみMTorPDKが選択できる)
パナメーラの4輪駆動版である「パナメーラ4」
「パナメーラS」(V8・4.8L・400PS)
その4輪駆動版の「パナメーラ4S」
「パナメーラターボ」(V8・4.8Lターボ・500PS・4WD)
そのハイパワー版の「パナメーラターボS」(V8・4.8Lターボ・550PS・4WD)
さらに最近ハイブリッド版である「パナメーラSハイブリッド」(V6・3L・333PS+モーター47PS相当・後輪駆動・ティプトロニックS)が追加されました。
 
 ちなみに「パナメーラ」という名称は、1950〜54年にメキシコで行われた過酷な公道レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」に由来します。


○だった点
・サルーンでありながら本格スポーツカーであること


 パナメーラと同クラス(Fセグメント)の車といえば、メルセデスベンツSクラス、BMW7シリーズ、レクサスLS等が挙げられます。近年はそれらFセグメントの車もスポーティさを打ち出していて、エアロパーツやスポーティなシートなどの専用の内外装が与えられていたり、足回りが固められていたりと、一昔前の高級車の豪華一辺倒というのとは一線を画しています。
 仕事柄、メルセデスSクラスやレクサスLSには乗る機会があったのですが、普段は車内は静かで乗り心地も良くていかにも高級車の雰囲気満点、いざ飛ばすとそれなりに俊敏に走ってくれ、一昔前の高級車とは異なるスポーティさを持っていました。
 が、それらライバル車のスポーティさというのは、あくまでも普通の車の延長線上にあるものです。例えばステアリングギア比などはそれほどクイックでなく、曲がるためにはかなり切り込んでいく必要がありますし、飛ばしている時もフワフワして怖いわけではないのですが、ダイレクト感がないというか車からのインフォーメーションがオブラードに包まれているような感じで、情報が伝わりにくいため飛ばそうという気にはなれません。

 パナメーラはこと走りについてはライバル各車と全く異なっています。まるで自分の手で路面を触っているかのように情報を伝えて来るステアフィール、街乗りでもステアリングを持ち変える必要のほとんどないクイックなステアリングギア比、ポルシェらしくフロントフェンダーの峰があるデザインによる車両感覚のつかみやすさ、Fセグメントサルーンとしては考えられないぐらい大きな排気音、ロールは極小だが路面の段差・アンジュレーションを消さない乗り心地、固いレザーバケットシートなど…
 そもそもキーをひねってエンジンを掛けた瞬間に
「ズドウゥゥンン!!!」
という、Fセグメントの高級車としてはありえないような爆音が響き、車好きなら「おおおぉ!!!」と思います!
 パナメーラをドライブすると、この車が高級車のスポーティー仕様ではなく、スポーツカーがたまたまサルーンの姿をしているだけのものであることがよく理解できます。

・その気にさせるスポーツクロノパッケージ

 写真はシフトノブ左側にあるスイッチ群ですが、「SPORT」「SPORTS PLUS」と書かれているのが「スポーツクロノパッケージ」のスイッチです。
 「スポーツクロノパッケージ」とはPDKのシフトスケジュールをスポーツ走行に適したよう低いギアを多用するスケジュールにしたり、アクセルペダルの踏み込み量に対してのエンジンレスポンスを向上させたり、アクティブサスペンションが車高を下げたり等を連携して行うシステムですが、写真をご覧の通り、「SPORT」と「SPORTS PLUS」モードを選ぶことができます。
 「SPORT」モードでも乗り心地が固くなるのですが、「SPORTS PLUS」モードになると違いは歴然としていて、ハーシュネスは強いが低く構えて4輪で路面をつかむような姿勢、自動的にシフトダウンして低いギアで高回転をキープし、アクセルを踏み込んで加速するの車が待ち構えているようなエンジンのレスポンスに変貌します。パナメーラがドライバーに「もっと飛ばせ!もっと踏め!」と語りかけている声が聞こえるかのようです。

・個性的で何者にも似てない、ポルシェそのもののスタイル

 パナメーラを特徴づけているのは、何と言ってもFセグメントの高級サルーンにも関わらず、ハッチゲートを持つ5ドアハッチバックであることです。このハッチゲートのデザインはなだらかな傾斜ではなく、ちょっと丸っこいというか911など他のポルシェ各車とも共通イメージです。
 Fセグメントサルーンのデザインにはセオリーというか黄金比があり、室内やトランクの広さや高級感など様々な要素を高次元で並び立たせようとすると、どの車も同じようなスタイルになります。

 手元に以前自動車文化検定を受験した時の参考書があり、メルセデスベンツSクラス(W221)、BMW7シリーズ(E65)、アウディA8(D3)、レクサスLSの側面をシルエットにして比較した図があるのですが、フロントオーバーハングの長いアウディA8が多少違いがあるかな〜?という程度で、各車とも非常によく似ています。つまりフロントグリルやテールランプ、キャラクターラインといったディテールで違いを出さざるを得ないということですが、パナメーラはそれらを全く超越した外観です。
 私の2歳の息子(私とか家族が乗ってるスイフト・ライフ・デミオ・ワゴンRぐらいは識別できるが、他は怪しいwwww)にパナメーラの写真を見せて「この車何?」と聞いたところ、即座に「ポルシェ!」と答えましたwwww サルーンになってもポルシェのデザインアイディンティは明確に受け継がれているようです。

・自分にぴったりのドライビングポジションが取れる

 試乗車にはオプション設定の電動アダプティブスポーツシートが装着されていました。これはスライド・リクライニングはもちろん、座面高前後独立調整・ランバーサポート・サイドサポート・サイサポート、さらには座面前後長(ひざ裏)の調整までが可能です。私は街乗りの場合、バックレストをほぼ直立させて肩口までがバックレストを離れず、座面高は前が低め・後ろは高め、ひざ裏まで座面がサポートしてくれるというポジションを好むのですが、パナメーラはこのポジションがピタリと決まります。さらにステアリングにはチルト・テレスコピックも備わります。調整箇所は多いが、どこをどんなに調整してもポジションがおかしい車も多い中、走りに重要な影響を及ぼす点に妥協がないのはさすがポルシェです。

・鬼のように効くブレーキ

 ポルシェといえばブレーキが優秀なことで知られます。この優秀さは主にリヤエンジンの911やミドシップのボクスターやケイマンなど、車両後部に重量物であるエンジンが搭載されていることにより、ブレーキング時に前後重量配分が適切化されることによってもたらされるものとされています。

 一方パナメーラはコンベンショナルなフロントエンジン・リヤドライブのレイアウトで、ハードブレーキング時に前のめりの姿勢になってしまうのかなと思っていたのですが、実際にブレーキを強く踏み込むと四輪が路面に食い込むような、車体全体を沈めた安定した姿勢で、なおかつ後ろから大きな手で掴まれたような強烈なGで減速します。パナメーラSは1770kgという重量級ですが、減速時の姿勢・減速Gともそれを感じさせません。
 重たいV8エンジンをフロントに搭載するにもかかわらず、この車の前後重量配分は52:48と良好で、これが高い制動性能を確保する根本となっているのでしょう。
 ちなみにブレーキのコントロール性も秀逸で、急に強く踏み込んだ際でもブレーキペダルからの反力が急に強まるようなこともなく、微小な力の強弱を正確に伝えてくれて、狙い通りのブレーキングができます。

・フリーストップ式のドア 
 普通の車のドアは、止まるところが2箇所ぐらいしかなくて止まってほしいところで止まらず、隣に車があったり壁のそばでドアを開けるときに気を遣いますが、パナメーラのドアは手を離したところどこでも止まるフリーストップ式です。開閉はやや重いのですが、それでもパナメーラのように幅広い車だと狭いところでのドア開閉には気を遣いがちなので、これは良い装備だと思いました。


 さて、かなり長くなってしまうので、気になった点や総評は後篇に分けてアップしようと思います。鋭意執筆中ですので、今しばらくお待ちを・・・

↓↓フォトギャラリー よろしければどうぞ↓↓
ポルシェ パナメーラに乗ってみました。 外装編その1
外装編その2
外装編その3
内装&使い勝手編その1
内装&使い勝手編その2
内装&使い勝手編その3
内装&使い勝手編その4
Posted at 2011/08/30 09:58:48 | コメント(9) | トラックバック(0) | 新車試乗記 輸入車編 | 日記
2010年04月27日 イイね!

ハマーH2乗ってみました。

ハマーH2乗ってみました。 いつもいろんな車のインプレッションをお届けしている私の新車試乗記ですが、年一回ぐらいはスペシャルな車をじっくり乗ってレポートしてみたいなと思っています。前回は昨年の今頃に日産GT-Rに乗りましたが、今年は写真の車です。

 というわけで、キングオブアメリカンSUV
ハマーH2に乗ってみました!
(まずお断りなのですが、試乗車は最終モデル(2008年)ではないため、現行仕様と各部に差異があります。)

 ハマーH2は、米軍の軍用車である「HMMWV(High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle:機動多用途装輪車両、通称:ハンヴィー)の民生仕様「ハマーH1」の雰囲気を踏襲して、既存のGMのSUVをベースに作られた車です。
 巨大なボディサイズと独特なスタイルが個性を放っています。また、外装のメッキパーツや20数インチ、場合によっては30インチ近いホイールも入るというカスタムのスタイルも強烈ですね。


◯だった点
・デカい!・かっこいい!

 全長4820㎜×全幅2130㎜×全高2060㎜ととにかくデカいです!多人数乗車するわけでもない車でこれだけ場所を取るのはいかがなものかという気もしますが、やはりデカさはアメ車の要!!素直に「デケェ!カッコいい!!」と思います。
 遠くからでも存在感は抜群ですし、近くに寄るとそのデカさに圧倒されます。ベンツが来ようがフェラーリが来ようが、遙か上の方から睥睨することができ、優越感満点です。

・周りの人を楽しい気分にする(笑)
 この車に乗り始めたとき、みんなこっちを見てくるので何なんだろう?と疑問に思ってたのですが、どうやらみんなこの車に注目しているようです。
 2日間乗っていただけで、子供が追いかけてくる、中学生が「ハマーだ!スゲエ!」って叫ぶ、信号待ちで視線を感じるので、ふと見ると路線バスの中の人がみんなこっちを見てる、車停めてたら通りがかりの人に話しかけられる・・・と、まるで有名人になったかのような体験をすることができました。
 高額車に乗っていると感じる羨望、というより「ケッ!高い車に乗って見せびらかしやがって・・・」的な嫉妬心のこもった視線ではなく、純粋に「ハマーだ!すげえなあ!いいもの見た」的な視線でなんとなく周りの人にハッピーを振りまいて走っているような気分になりました。


もう少し頑張ってほしい点
・デカい!
 日本の道路事情下では全長4.8m×全幅2.1mの巨体は当然大きなデメリットとなります。
 私は仕事でよくハイエースのスーパーロングワイド(全長5.4m×全幅1.9m)を運転するのですが、ハイエースは大きさのわりに見切りが良くてハンドルが切れるので、狭い路地でもスイスイ入って行けますが、ハマーは全長がずっと短いのに取り回しが悪いです。
 ハンドルが切れないため、交差点を曲がるのやUターンに神経を遣いますし、ボンネットに機能的な意味のない突起物があって、車幅感覚が掴みづらいです。
(ちなみにH2の最小回転半径はなぜかメーカーから公表されていません。)
 
 また、この車幅なので一般的な駐車場の枠内に収めることが難しく、有料駐車場に停めるとき係のおじさんに、「こりゃ〜2台分だな…」と言われ、2台分料金払わなきゃいけないのかと思ってヒヤヒヤしました(笑)。
(結局一台分でオッケーでした。)

・ゆるい走行フィール
 SUVとは言え乗用車ベースではなくトラックがベースなので、運転フィールはトラックそのものです。ステアリング形式はいかにもトラックといったボール循環式ですが、遊びが大きくて路面からのインフォメーションをあまり伝えてきません。(ある程度速度を出せば直進性はそれほど悪くありませんが…)
 足回りも危険なほどではないのですが柔らかく、ボヨンボヨンとした乗り味です。加速を試してみようと高速道路の合流でフル加速してみましたが、アクセルを床いっぱいまで踏み込むと
「モモモモ……ンモオオォォォォォォォォ!!!
という豪快な音と共に3トンの車重をものともしない力強い加速をするのですが、まるでパワーボートのような揺れで、同乗していた嫁さんが「なんか不安を感じる加速だね…」というぐらいで、決して飛ばしてはいけない車です。
 また、この車重なのでブレーキの効きも十分とは言えません。止まらなくて怖いと言うほどではないのですが、ペダルタッチがスポンジーなことと合わせて、強いブレーキを踏もうという気になりません。

・デカいのにあんまり広くない室内
 巨大なボディサイズにもかかわらず、室内は大して広くありません。床が高くて天井が低いという独特のプロポーションからもたらされるものですが、頭上空間にはあまり余裕がありません。
 室内の絶対的な幅は広いのですが、前席の場合幅の広いセンターコンソールが中央に鎮座していて、座席スペース自体は広いわけではありません。(後席の場合は横に3人余裕を持って座れます。)
 この車のイメージ的なベースになったHMMWVも同様に、車幅が広いわりに室内は狭いのですが、HMMWVの場合はロードクリアランスを確保するため床面の高さを上げ、敵から発見されにくくするため全高を抑え、幅広いセンターコンソールは銃座にするためという合目的性があります。
 H2はHMMWVのイメージだけをなぞっているので、実用性に問題が生じています。

・「質感」という言葉と無縁の内装
 フォトギャラリー(内装編)もご覧いただきたいのですが、内装はプレミアムSUVらしい質感とは全く無縁です。
 一応本革だがまるでビニールのようにテカテカのシート、内装パーツのチリの大きさ、カチカチプラスチックのダッシュボード、ガチャガチャして遊びの大きい各操作系など、これが800万円以上もする車とは思えません。
 最終(2008年)モデルは内装のデザインが変更され質感が向上しているそうですが…

・絶句する燃費
 この車に乗って燃費云々言うのはいかがなものかという気もしますが…
 今回の試乗で204KM走って43.8リッターを給油、すなわち燃費は4.66km/Lでした。6リッターV8エンジン、車重約3㌧の車の燃費がいいわけがないのですが、半分以上が高速で、残りも一定速巡航が多かったにも関わらずこの燃費というのは絶句してしまいました。

・アメ車的な使い勝手
 ①キーレスエントリーで全ドアが解錠されない。
 ②パワーウインドウが開のみオートで閉はボタンを引き続けなければいけない。
…など、日本車に慣れていると操作に違和感がある部分がありました。
 ①については、一気に全ドアが解錠されると、強盗などが乗り込んでくるので防犯上という理由がありますし、②はワンタッチで全閉になると、手や首などを挟んで傷害を負ったということで訴訟になったりするので(なんせ洗った猫を電子レンジで乾かそうとして猫を殺してしまった人が、注意書きがないのが悪いと言って家電メーカーを訴える人がいる国ですからww)敢えて装備していないのでしょうが、文化の違いと割り切るしかありませんね。
 それからリアハッチの位置が高い上に閉めるのが目茶苦茶重く、開閉に一苦労します。一応ハッチにストラップは付いているのですが、そのストラップも位置が高い上に、体重が軽いとそのストラップにぶら下がってもハッチが閉まらなさそうです。
 身長150センチの私の嫁さんはハッチを閉めることができませんでした。
 ついでにこのハッチを閉めると、「バシャーン!!!」という大音響が響き、車内にいるとビックリします。

 それからこの車、初期型はスペアタイヤが荷室左側にあったそうですが、車内がゴム臭いと不評だったため背面スペアタイヤとなりました。その際に空いたスペースに座席を装備しなかったため、3列目シートは右側しかないという珍妙な事になっています。
(2008年モデルから3列目左側席が備わっているようです。)


総評
 …と、いろいろと短所は書いたのですが、この車の運転は文句なしで本当に楽しかったです!
 楽しかったというのは、車の運転自体よりも、ハマーのある生活、というか、みんなに注目されて声掛けられて…というハマーに乗っていることによって起こる体験が楽しかったです。普段はのび太キャラ(笑)の私ですが、この車に乗っている時はつかの間のジャイアン気分に浸ることができました。

 ハマーH2のハードとしての出来自体は、プレミアムSUVとはいえ中身はトラックであることと、2002年登場と基本設計が古いこともあり、今更特に語るべきものはありません。H2の豪華仕様(タイプG)は新車価格955.5万円ですが、この値段のSUVなら、ポルシェ カイエンSやBMW X5、ランドクルーザー200あたりの方が動力性能や品質面での満足度は圧倒的に高いでしょう。
 ハマーという車は、男らしく豪快な外観デザインとデカさに惚れて乗るというのがすべてではないかと思います。短所はいろいろ書いたのですが、それらは乗る前にわかることであり、このスタイルや雰囲気の前ではいかなるデメリットも些細な問題。気に入れば買いという車ですね。

 今年に入ってから報じられている通り、ハマーブランドのGM中国企業への売却交渉が決裂し、ハマーが消滅してしまうことが確定的となりました。
 もともと世界規模で環境意識が高まって、大型のSUVは環境への悪影響の点からいかがなものかという風潮があったところに、ここ数年の原油価格に高騰、さらにはリーマンショックに端を発した世界不況によるGMの経営破綻と、巨大なSUVであるハマーにとっては逆風の連続となり、ついにはブランド消滅となったのは大変残念です。

 確かに、特に日本人的な視点から考えれば、これだけの巨大なボディサイズに、これまた巨大な6リッターV8エンジンを持つ車がこれからの社会にすんなり受け入れられるとは思えません。

 しかし、この車を生み出したアメリカという国の文化や社会的背景を考えると、大きな車が一概に悪とは言えません。
 欧州大陸から命懸けで大西洋を渡り、苦労して荒野を開拓してきたアメリカ人にとって、馬車を曳く馬は一頭より二頭、二頭より四頭、八頭、それ以上の方が頼りになると考えるのは当然のことでしょうし、それが車に投影され、より大きな車、より力強い車が求められるのはごく自然なことだと思います。

 また、日本のヤンチャな男の子たちがセルシオやマジェスタ、クラウンなどいわゆる「VIPカー」に憧れるのと同様、アメリカ人、特に若い黒人男性にとってハマーは憧れの対象だったそうです。
 景気が悪いとは言え日本は社会全体がそこそこ豊かで、「空気を読む」という言葉に代表されるように、周りの顔色を伺ってみんな横並びの仲良しごっこになってしまいました。
 一方、信じられないぐらい貧富の差が大きく、また人種差別が残るアメリカ社会では、例えば貧しい黒人は金持ちになるためにはバスケットボールの選手になるか、ラッパーになるか、もしくは犯罪者になるかというなか、ハマーのような車に乗りたい、いい暮らしがしたい、金持ちになりたい、いい女と付き合いたいと考えるのは、人間として当然の欲望であると思います。
 そういった欲望がアメリカを世界に冠たる大国に押し上げ、世界中にカネを巡らせてきた原動力だと思うのですが、最近日本の若い人達が「草食系」という言葉に代表されるように車やカネ、権力に対してあまり欲望を持たなくなってしまうと、最終的に日本社会から活力が失われ国際競争力の低下に繋がらないかと危惧してしまいます。
 ガソリンを垂れ流して走るような車がいいとは言いませんが、夢も希望もなく、欲望の対象にならないような車ばかりがあふれる社会が果たして多様性のある豊かな社会といえるのか疑問に思います。

…すみません、話が横道にそれました(笑)

 ハマーはせっかくボディが大きくスペースに余裕があるのですから、ハイブリッドシステムや電気自動車のバッテリーを積むことも容易なはずです。
 またメーカーのGMは技術力が高く、シボレーボルトのようなハイブリッド車を作り上げる力があります。
 幸いにして(?)ブランド売却交渉が決裂したことで、ハマーブランドが中国企業のものにはなっていません。時期を見て環境にも配慮した新時代のハマーがGMから復活すると面白いですね。


↓↓フォトギャラリーに写真があります↓↓
ハマーH2乗ってみました 外観編①
ハマーH2乗ってみました 外観編②
ハマーH2乗ってみました 内装編①
ハマーH2乗ってみました 内装編②
ハマーH2乗ってみました 使い勝手編



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Posted at 2010/04/27 21:17:52 | コメント(11) | トラックバック(0) | 新車試乗記 輸入車編 | 日記
2009年11月11日 イイね!

新型VWポロに乗ってみました

新型VWポロに乗ってみました モデルチェンジしたフォルクスワーゲンポロに乗ってみました。
 グレードは1.4コンフォートライン(現時点では単一グレード構成)、ボディカラーはフラッシュレッドです。
(先日のマークXと同じ日に試乗したのですが、カメラを持って行ったのに、SDカードを入れ忘れてしまったので、実車の写真を撮っていません。写真はカタログを撮影しました。)


○だった点
・7速DSG

 最近のVWの車の多くに採用されているツインクラッチ式トランスミッション「DSG」がこの車にも採用されています。
 DSG車はとにかく気持ちいい変速フィールが魅力です。トルコンATの変速が「ヌルン」「ズルン」という感じだとすると、DSGは「スパン!」「バシン!」という感じで、非常に歯切れが良く気持ちいいです。
 シフトショックについても、変速タイミングは明確にわかるものの納得できる範囲です。
 エンジンパワーは63KW(85PS)と決してパワフルではありませんが、ギアを7速と細かく区切っていることによって、発進加速のピックアップが良く、一定速での巡航時にはエンジン回転数が低く低燃費に貢献しています。
 先代ポロの初期型は75PSとエンジンパワーが不十分で、6速ATをもってしても非力感は否めませんでしたが、新型はDSGによりパワフルではないエンジンを最大限活用させることに成功しています。

・高い燃費性能
 上記のDSGの効率のよさによって、燃費が良いというメリットもあります。試乗時はあまり燃費を気にせず、流れのいいバイパス中心で走ったのですが、燃費計表示値で14.5km/Lでした。1.4L車のいわば暫定数値でもこの数値ですから、本命の1.2LTSIはかなり期待できます。

・コンパクトカーであることを感じさせない走り
 コンパクトなボディサイズでありながら、一旦走り出すとクラスを感じさせない安定した走りです。
 日本車のこのクラスの車といえば、走行性は二の次で使い勝手最優先だったり便利装備をアピールするだけのものが多い中、ポロの走りは1クラス上を感じさせる安定したものです。
 また、一昔前はVWの車は市街地ではゴツゴツし過ぎた乗り心地に、ステアリングなどの操作系がやたら重いなど、街乗りでの使い勝手に問題がありましたが、そういった印象も新型ポロでは全く感じられません。

・質感の高い内外装
 内装色は色気も素っ気もない黒一色で、デザインも装飾性のなく簡素ですが、ひとつひとつのパーツががっちりとお金の掛かった作りです。
 外装も美しいボディ外板の塗面、外板間のチリの差の小ささなど、日本車の同クラスの車と比べ、圧倒的に質感が高いです。

・しっかりしたシート
 上記の通り、デザインは素っ気なく質実剛健なシートですが、いざ座ってみるとさすがドイツ車と感じさせられます。
 座面前後長が長く膝裏までサポートしてくれますし、背もたれの形状は背骨のS字カーブに合わせるように背中全体を支えてくれます。
 また体圧分布が適切で、お尻など体の一点が痛くなるということが少ないです。この点は日本車のコンパクトクラスの車とは雲泥の差です。


もう少し頑張ってほしい点
・DSGの特性

 これはDSGに限らず、ツインクラッチ式のトランスミッションの多くに共通していますが、減速時にだんだん低いギアにシフトダウンしていく際、「グーッ、グーッ」という引っ張られ感があります。低速時には思いの外エンジンブレーキが効き過ぎて違和感があります。
 また、トルコンATのつもりで坂道発進しようとすると逆行してギョッとしたり、傾斜のある車庫にバックで駐車するときなど、アクセルを踏み込まないとバックせず急発進しそうで怖かったりします。
 これらの特性は慣れの範囲で解決できるのでしょうが、初めて運転する人や経験の少ない人はこの特性を理解していないと、思わぬ事故につながりますね。

・室内空間が広くない
 この車とゴルフⅡは全長・全幅ともほぼ同一なのですが、室内空間はポロの方が狭く感じます。安全性への要求が厳しくなったことで、室内空間に占めるピラーなど車の構造物の比率が高まって空間を侵食したり、質実剛健なドイツ車といえど見栄えにこだわるようになって、荷室にもきれいに内張りされるようになったり…という事情があるのでしょうけど…
 後席の足元空間は最低限ですし、荷室も二重底になっているにも関わらず、下の段の天地が浅過ぎて実用性があまりありません。
 この点はフィットやヴィッツなどスペース効率を徹底的に研究した日本車に及ばないですし、コンパクトなサイズで室内、特に荷室が広大だったゴルフⅡからするとレベルが落ちましたね。

・ミラーが小さく後ろが見づらい
 サイドミラーがやや小さいので後方が見づらいです。ドイツ車は最近サイドミラーに関する基準が改正されて、鏡面を大きくしなければいけないはずですが…

・エアコンがセミオート
 細かい話ですが、エアコンがフルオートではなく、温度調節のみオートで、吹き出し口の調整はマニュアルです。はるかに価格が安い日本車のコンパクトカーはフルオートエアコンの車は珍しくないので、ちょっと見劣りがしますね。

・後でラインナップが充実しそうなので、今は買えない?
 現在1.4Lのコンフォートライン単一グレード構成ですが、来年1.2LTSIエンジン搭載車が登場するようです。また、いずれGTIも登場するでしょうし、もしかしたらディーゼルが出てくるのかもしれません。
 現時点ではちょっと買いにくいですね。


総評
 8年ぶりのモデルチェンジでありながら見た目の印象が大きく変化せず、いまいち地味な印象のぬぐえない新型ポロですが、中身は非常にまっとうなコンパクトカーとして、こと走りに関しては日本車の追随を許しません。走りは二の次三の次という日本車のコンパクトカーはぜひポロの骨太な走りを見習ってほしいと思います。
 また、低燃費技術にしても、コンベンショナルなガソリンエンジンと先進のDSGを組み合わせて低燃費を実現していることは特筆できます。

 最近日本ではハイブリッドにあらざれば車にあらずという風潮ですが、例えばプリウスは燃費性能は極めて優れていますが、運転の楽しさや車からのインフォメーションは皆無で、車を運転するというよりも家電やパソコンを操作しているような気分になります。
 またポロと同格のヴィッツと比べると、低燃費にばかり気を取られてCVTでエンジン回転数を無理矢理低く誘導し、ブスブスブスブスとエンストしそうな音を立てて走るヴィッツに対し、ポロは運転が楽しく、またドライバーに自動車を運転していると言う実感を与えます。ポロとヴィッツ、自動車としてどちらが魅力的かは明らかです。

 フォルクスワーゲンはブランドスローガンとして「Das Auto(=The Car:これが真の車)」を掲げていますが、同じような大衆車メーカーでありながら、ポロのようなコンパクトな車であってもあくまでも質の高い運転感覚を持つ車を提供し、「真の自動車」であり続けようとするフォルクスワーゲンに対し、ハイブリッドや低燃費だけが売り物の車にばかりかまけているトヨタという好対照ですね。
 余談ですが、トヨタはお得意のハイブリッドにばかりかまけていると、思わぬところで足をすくわれるのではないでしょうか。このポロにしてもそうですが、小排気量で高性能なディーゼルが各車にラインナップされていますし、電気自動車の開発も急ピッチです。
 欧州勢からもハイブリッドは登場していますが、あくまでも次世代燃料車が登場するまでのつなぎという位置づけのようです。
 日本国内でのハイブリッド人気で調子に乗っていると、いつの間にかトヨタが世界のトレンドから取り残されているということにもなりかねませんね。

 新型ポロの気がかりな点としては、先般モデルチェンジされたゴルフⅥが世界的にあまり好評ではないという点です。
 ゴルフⅥは基本コンポーネンツを先代ゴルフⅤからキャリーオーバーした、いわばビッグマイナーチェンジ版ですが、あまり代わり映えのしない外観や、先代のモデルライフ後半になってTSIなど非常に魅力的なモデルが登場したせいか、Ⅵの販売は世界的にいまひとつのようで、次期ゴルフⅦの登場の前倒しも噂されています。
(CAR GRAPHIC誌2009年10月号のGeorg Kacher氏のコラムより)
 ポロもゴルフ同様、改良を重ねて完成度の高かった先代からあまり代わり映えせず、市場からはあまり進歩がないと受け取られて販売が振るわない可能性がありますね。

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Posted at 2009/11/11 22:20:56 | コメント(5) | トラックバック(0) | 新車試乗記 輸入車編 | 日記
2009年10月06日 イイね!

プジョー407乗ってみました

プジョー407乗ってみました プジョー407乗ってみました。グレードはセダンのSV2.2、ボディカラーはアルミナムグレー(シルバー)です。
 この車のグレード構成はセダンとワゴン(SW)、それぞれに4気筒の2.2LとV6の3Lがラインナップされています。
 以前の日産プレジデントの試乗記同様、台数の少ない個人所有の車であるため写真は撮影していません。
(写真はカタログを撮影しました。)
 また、走行距離はある程度走っていて新車とは言い難い状況ですが、レア度に免じてご容赦下さい。
 

○だった点
・個性的なスタイル
 ここ最近のプジョー各車同様、吊り目のアグレッシブなフロントのデザインです。大きく傾斜したクーペ的なフロントガラスもあいまって、セダンとは思えないスタイリッシュさで、ひと目でプジョー、407とわかる個性があります。

・車体サイズのわりに取り回しが良い
 全幅はなんと1,840mmもありますが、実際に運転してみるとあまり幅は感じません。フロントオーバーハングが長く、また最小回転半径がなため小回りはやや厳しいのですが、それでもこのクラスの車の標準で、決してサイズにビビる必要はないです。

・プジョー車としては適切なペダル配置
 以前プジョー207GTや306(MT)に乗って辟易したのですが、プジョーの右ハンドル車といえばペダル全体が極端に左寄りになっていて、体を斜めにするような感じでペダルを踏まなければならないうえ、ペダル間隔が狭くペダル自体も小さい(その上マスターシリンダーが左のままなのでブレーキタッチが悪い)という非常に問題のあるペダルレイアウトでした。
 407はさすがにボディサイズに余裕がある分足元空間も広く、問題はありませんでした。
(ついでにペダルタッチもごく標準的で、気になるものではありません。)


もう少し頑張って欲しい点
・薄れた「猫足」
 フランス車といえば車格の大小に関わらず、豊かなサスペンションストロークを生かしたしなやかでフラットな乗り心地が特徴とされてきましたが、407はあまりその典型に当てはまらない乗り心地です。ガチガチに硬いわけではないのですがどこかドイツ車的な乗り味で、フランス車らしい個性を期待すると裏切られます。 それから、これは個体差か劣化かもしれないのですが、試乗車は高速道路の路面の継ぎ目でフロントのふわふわしたピッチングが感じられたのも残念でした。

・直進性が今ひとつ
 高速走行の機会の多い国の車らしい高速時の安定性・直進性を期待すると、これもいまひとつかなあという印象です。別に直進性が悪いわけではないのですが、矢のように突き進んでいくという感じでもなく、なんとなく拍子抜けです。
 試乗時は130km/h程度までしか出せず、それ以上の速度域で真価を発揮するのかもしれませんが、日本の道路事情ではそんな速度域が優れていてもその恩恵をこうむることはありません。
 今回の試乗の速度域だと、アコードなど出来のよい前輪駆動の日本車と違いを感じませんでした。
 BMW3シリーズは法定速度で走っていても楽しさ・スタビリティの高さを感じるのですが…

・シートの出来がもう一歩
 欧州車の魅力の一つと言えば出来が良くて疲れないシートが挙げられますが、この車のシートは座面の底付き感があり、決して上質な印象ではありません。
 またサイズ、特に座面前後長が短いこともあり、体全体を包み込むような感覚が希薄なのが残念です。

・スイッチ類の操作タッチ
 ウインカーやライト、パワーウインドウなどの操作系のタッチがあまりよくありません。日本車なら軽自動車でもこの程度の車はあります。
 別にクラウンやレクサス並みにとは言いませんが、400万円級の車に相応しい質感が欲しいものです。

・マニュアルモードのシフトゲートが左側にある
 他の欧州車でも珍しくないので、プジョーに限ってのことではありませんが、ティプトロニックのマニュアルモードのゲートがシフトノブの左側、すなわち左ハンドル用をそのまま右ハンドルにも流用しており、扱いにくいです。

・ナンバープレートが曲がる(笑)
 日本仕様のプジョーやシトロエン各車を見ると、大抵の場合ナンバープレート下側が曲がっています。路面や輪止めと接触してああなってしまうのかもしれませんが、あまり格好のいいものではないですね。
 プジョー・シトロエン・ジャポンはナンバーステーの形状をちょっと考えた方がいいんじゃないでしょうか。


総評
 試乗前まではかなり期待していたのですが、乗ってみると正直「フランスのカムリ」みたいな車でちょっと期待外れでした。
 歴史的にプジョーはフランス車の中でも保守的で、いわゆるフランス車らしさを期待するのはもともとお門違いなのかもしれませんが…
 プジョー207の試乗記にも書いたのですが、グローバル化が進展して各国の車の独自性が段々薄れつつある中、同じPSAグループのシトロエンはシトロエンらしい強い個性を持ち、最近は新モデルライン・DSシリーズでプレミアム性を持たせた新たな提案をしています。
 しかしプジョーは、フロントがとんがったデザイン以外、妙にドイツ車に擦り寄った乗り味といい、なんとなく無個性でパッとしない気がします。
 あくまでも実用車だから個性がなくてもいいんだということかもしれませんが、単に実用的で壊れない車ということであれば、今現在は世界中で日本車の独壇場で、さらにこれからは韓国車や中国車、インド車が伸びてくることが考えられます。
 そんな中でちょっとスタイルがいいだけの単なる実用車が生き残るのは大変なんじゃないかと危惧してしまいます。
 フランス車の中では保守的なプジョーですが、フランス車らしさの中にプジョーならではのブランドアイデンティティを打ち出していってほしいものです。


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・プジョー207試乗記
・BMW3シリーズ試乗記
・アコード試乗記
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Posted at 2009/10/06 16:59:30 | コメント(9) | トラックバック(0) | 新車試乗記 輸入車編 | 日記

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