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2013年06月04日

クルマの速さは「エンジンが今どれだけパワーを出せるか」で決まる。

クルマの速さは「エンジンが今どれだけパワーを出せるか」で決まる。  相変わらず、やれパワーだトルクだと盛り上がっているようなので(謎)また性懲りもなくExcelで遊んでしまいましたよ。。。(苦笑
 表題に書いた通り、クルマの質量や走行抵抗が変わらなければ、クルマの動力性能(加速、登坂、最高速など)はエンジンがその時に出せるパワーで決まってしまいます。
 「パワー=トルク×回転数」ですので、表題を「今のエンジン回転数および、その回転数でエンジンがどれだけトルクを出せるか」で決まる、と書き換えても同義ですが。。。

 画像は私の下駄車 旧型BMW 120dの走行性能曲線です。横軸が車速[km/h]、左の縦軸が駆動力[kN]。赤は各ギヤポジションにおける、WOT(Wide Open Throttle)定常で出せる最大駆動力を示します。青い太線が平坦路における走行抵抗。6速での最大駆動力(赤線)と平坦路の走行抵抗(太い青線)が交わる227km/hが120dの最高速になります。いっぽう右の縦軸はエンジン回転数[rpm]であり、右上がりの緑線が各ギヤにおける車速とエンジン回転数の関係を示します。
 各車速における、最大駆動力(赤線)から走行抵抗(青線)を差し引いた高さが余裕駆動力となります。例えば2速では最大50%の登坂路をほぼ加速も減速もせずに上る事が出来、また平坦路であれば最大7kNの力でクルマを前に押し出す事ができます。この余裕駆動力がクルマを加速させる余力となります。

 一方でクルマを走らせるのに必要な出力は「パワー[W]=車速[m/s]×駆動力[N]」で求められます。パワーを一定として、車速と駆動力の関係を引いたものが右下がりのピンクの点線です。
 120dの最大パワーは130kWですが、駆動力が常に125kW一定のラインを下回っているのは変速機や最終減速器での伝達ロスを考慮したため。120dはエンジン縦置きFRゆえ直結の5速は他より伝達効率が高いため、5速の時だけ利用できるパワーが他のギヤより大きくなっています。
 ここで「余裕駆動力=加速力」と考えれば「駆動力=走行抵抗+加速力」。したがって「加速力[N]=パワー[W]÷車速[m/s]-走行抵抗[N]」となり、パワーが出ているほど加速も優れることがわかります。車速は「エンジン回転数÷減速比」に比例するので「加速力=(トルク×減速比-走行抵抗)×定数」でも同義なんですが、ある車速においてパワーがどれだけ出ているか解れば、ギヤ比とは無関係にどれだけ加速力があるのか知ることが出来ます。

 赤のラインを眺めると、エンジンはフルパワーをピンポイントでしか発生できない(旧120dの場合は4000rpmで130kW)ため、6段あるギヤを駆使してもパワーをフルに引き出し続ける事は難しい事がわかります。例えば4速まではフルに引っ張っても、シフトアップ直前には利用できるパワーが100kW以下に落ち込みます。
 それでは、同じ車両でエンジンのパワーバンドを低速側に広げた場合を考えて考えてみましょう。VGS+2ステージターボで武装した最新の125dは450Nm/1500rpmを発揮しますので、120dの低速トルクをここまで引き上げて極力フラットパワー化してみます。

 最大出力は130kWで変わりませんが、低速トルクを大幅に引き上げ2750rpmから130kWを発生し続けるように改良しました。このエンジンと組み合わせた時の走行性能曲線は下図になります。ノーマルの120dを赤の点線で示しています。

 より低回転から大パワーを出し続ける様に改良したことで、ワイドレシオ6段MTとの組合せでも途切れることなくフルパワーを絞り出し続ける事が可能となりました。またフル加速時はもちろんのこと、巡航ギヤからの余裕駆動力も大幅にゆとりを増しています。とても乗り易そうです。

 では次に、エンジンはノーマルの旧型120dのままで、変速機を6段MTからCVTに変更した場合を考えてみます。現実的ではないですが、現状の6MTのギヤを際限なく多段化していっても同様な効果が期待できます。

 フル加速ではローで130kWを出す4000rpmまで加速したのち、4000rpmをキープしたまま最高速まで加速します。仮にもっとパワーバンドの狭いピーキーなエンジンであっても、一旦ピークまで回ってしまえば常にフルパワーを引き出し続けることが可能なのでこれは文句なしに速そうです。
 ただし普段は燃費や騒音を低減するため極力エンジン回転を抑えて巡航しますので、CVTといえども一瞬でそこからパワーバンドまでワープする事は出来ません。エンジン単体のピークパワーの大きさもさることながら、大パワーをなるべく広い回転域に亘って発揮し続けられるエンジンが「一々シフトダウンしたり、低ギヤでしゃかりきに引っ張らなくても、踏めばすぐ加速する良いエンジン」という事ができそうです。

【過去日記】ターボは低回転からパワーが出るから乗りやすい。
ブログ一覧 | エンジン・ドライブトレーン&燃費。 | 日記
Posted at 2013/06/04 23:17:31

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この記事へのコメント

2013年6月4日 23:56
こんばんは。(#^.^#)
フラットパワーにどんな恩恵があるんですかね?
フラットトルクで、ワイドバンドなのが良いかと思ったりするんですが、むしろ低速は、普段あまりアクセルを踏まないので、過度にトルクを上げる意味はないんじゃないんですかね?
コメントへの返答
2013年6月5日 0:16
コメントありがとうございます~。
フラットパワーの恩恵は、一々シフトダウンしなくても欲しい加速がすぐに得られること、これに尽きると思います。
私の120dはフラットパワーとまでは言えませんが、高速で右に出てきた大型車に引っかかっても、前が開けば6速のまま速やかに車速を回復します。

ニーモニックさんはEVに乗られた経験はおありですか?エンジンをフラットパワー化するのは難しいですが、モータは最大電流制限が入る極低速を除きフラットパワーを既に実現しています。
モータ直結で変速不要なのに、低速からしっかり加速する事に驚かれると思います。高速に上がると途端に元気無くなりますが。「パワー=車速×駆動力」を実感する瞬間です。。。
2013年6月5日 0:44
120dは、vanosなんかついてるんですか?
僕はディーゼルなんかも好きです。たまに積車なんか乗ると下がある感が何か楽しいです。(^○^)

EVはないですねー(>_<)
コメントへの返答
2013年6月5日 22:35
こんばんは。
ディーゼルはTDCでバルブとピストンが近すぎるためか、位相可変バルタイは未だ採用例がないですね~。
代わりに911ターボと同様な可変ジオメトリーターボが付いてます。1200rpmから踏んでもブースト0.7~0.8位はかかるので驚きです。ノズルを絞って低速からタービンをムリヤリ加速するので、排圧は高そうですが。。。
EV、機会があれば是非乗ってみてください!
2013年8月17日 14:29
こんにちは

いつもユニークな着眼点、
勉強しながら拝読しています。

>クルマの動力性能(加速、登坂、最高速など)はエンジンがその時に出せるパワーで決まってしまいます。

うーん?
タイヤのグリップには限界があります。

少しハイパワーの車なら、2速くらいまでは、フルスロットル域ではホイールスピンをしませんか?
(トラコン介入ということで)
FF車の登坂時や、雨、雪、氷などでは特に。

今のピストンエンジンは、トルク配分(発揮領域)
が絶妙であると思うのですけどね。


古いブログに、失礼しました。
いえ、異議があるわけではございませんので。
コメントへの返答
2013年8月18日 7:25
 風が さん、コメントありがとうございます。こちらこそいつも勉強させて頂いております。。。f^_^;
 ユニークだなんて。。。自分としては力学的に普通の事を書いているつもりなのですが、もしおかしな点などあればご指摘頂ければ幸いです。(汗

 さてタイヤグリップの件ですが、ホイールスピンすればエンジンの負荷率は下がりパワーも落ちてしまうので「動力性能はエンジンがその時に出せるパワーで決まる」というのは間違ってはいないと思うのです。どんなに高出力なエンジンであっても、それを引き出すにはパワーバンドを維持しなければならないし、それを受け止められるだけのトラクション能力(特に低車速時)も必要だという事ですね。。。

 クルマを走らせるのに必要なパワーは車速増加につれて三次曲線的に増加しますので、仰る通り内燃機関の右上がりのパワーカーブは必ずしも悪い事ばかりでは無いと思います。しかし折角持てるパワーを高速域でしか発揮できないのは実に勿体無い。。。と思ってしまうのは、私がホイールスピンを起こすようなハイパワー車や超高速クルージングに関心がなく、専ら実用車のドライバビリティと燃費性能にしか興味がないからだと思います。
 なにとぞ、ご了承ください。。。m(_ _)m
2013年8月17日 18:49
ご返答ありがとうございます。

>というのは間違ってはいないと思うのです

はい。

たとえば、ある車の馬力が限りなくあるとすると、タイヤのグリップ力と走行抵抗が拮抗したところで加速しなくなります。

馬力が、タイヤのスリップに使われるということですね。そしてスリップ率が摩擦力を上げる率の最大値を越すと、エンジンの回転は猛烈な勢いで上昇して、速度は下がることになりますね。

タイヤかエンジンの限界値が最高速度を決めることになるのには依存は無いと思います。

普通の車(ファミリーユースの)は、加速度が速度の上昇に伴い増加することは無いと思うのです。
回転の上昇に伴うトルクの増加を(上に凸のトルク曲線を)走行抵抗の増加が相殺してしまうから
その凸曲線は、自動車エンジンの動力として理想的ではないかと思うのです。



燃料消費率は、下に凸の曲線になりますが、
低負荷時でも同じになるのか興味のあるところです。
コメントへの返答
2013年8月17日 20:52
 こんばんは。再度のコメントありがとうございます。

 トルクカーブが上に凸ということは、低回転域ではトルクカーブが右上がりという事になります。一般的なNAガソリンエンジンの場合アイドル回転付近では全負荷でも最大トルクの7割程度しか出ません。また低車速域の走行抵抗は転がり抵抗の寄与度が大きく、空気抵抗の影響は微々たるものです。
 したがってシフトをサボって下から踏んでいくようなケースでは、時間の経過に伴って速度上昇(加速度)が増していくことは実感としてもあります。もちろん実用車でのケースです。

 自動変速なら関係ないと思いますが、例えばCVTは燃費低減のため低速巡航時でも極力エンジン回転を下げ全負荷付近(燃費の目玉)を使おうとします。したがってここから加速や登坂をしたくても先ずはエンジン回転を上げなければ出力が不足している状態になります。
 ここでアクセル操作に対する変速特性が悪いと勾配に応じて徐々にアクセルを踏み加えているのに車速が落ちてくる・・・といった事態に陥りドライバビリティが極端に悪化します。電気モータやディーゼルターボの様に右下がりのトルクカーブを持っていればこの様な問題は起きません。したがって動力発生装置のトルクカーブは右下がり(パワーカーブは極力フラット)に越したことはないと私は考えています。
(ターボの場合、過給が立ち上がるまではトルクカーブは極端な右上がりなので、そこでのドライバビリティは最低ですが。。。)

 部分負荷時のBSFC(正味燃料消費率)カーブは下記のページの下のほう、「吸気管負圧との関係は」のパラグラフにある線図が参考になるかと思います。
http://www.geocities.jp/bequemereise/drive_chr.html
 石油ショック以前の古い時代のエンジンゆえ、WOTでのBSFCのカーブはいささか歪な形状と言わざるを得ませんが、負荷率に関わらずBSFCカーブは基本的に下に凸、というのは見て取れるかと思います。
2013年8月18日 10:56
おはようございます。

>シフトをサボって下から踏んでいくようなケースでは

それは使い方が間違っているということでは無いでしょうか?
おっしゃるように、ATであればその問題は無いでしょう?
ピストンエンジンは、間欠爆発ですから、サイクルを完成させる最低回転数というのが存在します。
アイドリングを維持する最低限の回転慣性が必要です。

CVTには「乗ったことはある」という程度ですが、

>勾配に応じて徐々にアクセルを踏み加えているのに車速が落ちてくる・・

たんに、制御ミスであろうとおもいます。

トルクはフラットなほうが良いと思いますが
上に凸でもなんらの不便は無いし、回転上昇に伴い加速感が増すほうが乗りやすいと思います。
非力な車における、全体的なパワー不足感は、それはいかんともしがたいですけど。
ご紹介のサイトは時々勉強させていただいています。

>負荷率に関わらずBSFCカーブは基本的に下に凸

全域で空燃比がストイキ制御されていて、
ポート噴射ではなくたとえば直噴で燃料量が管理できれば
トルクは吸入空気量で決まるので、BSFCラインはフラット、もしくは右下がり(回転増に伴うフリクション増)になるのではないかと予想します。

電動モータは、停止時が最大トルクで、回転が始まると逆起電力がトルクを下げるので高回転が苦手といわれています。この特性が変速機を不要としているのでシティコミュータとしては理想的と思いますが、
「高速で非力」というのは「絶対馬力」が従来車と比較して低いからだと思われます。
コメントへの返答
2013年8月18日 22:22
 こんにちは。

 シフトダウンすれば必要出力を得られる事を承知で、敢えて高ギヤのまま踏んでいくような運転操作は確かにご指摘の通り「間違って」いますね、スミマセンf^_^; ちなみに勿論アイドル回転数以上での話をしています。
 CVTの制御についても同様ですが、適切に変速を繰り返さなければドライバビリティと燃費の両立が難しいエンジンよりは、フラットパワー(トルクは右下がり)特性でしかも低燃費なのに越したことはないと考えています。どちらが人間の感性にマッチするか?という議論まで否定するものではありませんが、プリウスや日産リーフでの経験から電気モータのドラビリには個人的には好感を持っています。
 いずれにしても、実用車であればイージードライブと優れたドラビリ、そして低燃費をうまく両立できるようになって欲しいと思っています!

 フラットパワーな電気モーター車が車速が上がるほど元気がなくなるのは運動方程式からも明らかですが、今までにない大出力モータを備えたアコードハイブリッドにはぜひ乗ってみたいと思っています。
 ありがとうございました。m(_ _)m

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