心理的相対視野
高速度でクルマでの、移動を考えます。
速度が上がるほど、不安が大きくなります。
(飛行機は、逆です。速度が高いほど、高空を飛ぶほど、安心です。なぜなら、沢山の運動エネルギーや位置エネルギーを持ってるほど、それを他の運動に変換して使えますから。だから、離着陸が一番怖い。速度も高度もありませんから)
クルマで高速度で移動してる時、直進しているだけで、ほぼタイヤのグリップを使い切っています。
翼断面をしたクルマの車体が、空気の壁に持ち上げられて、リフトします。
低速度でもどうしても、操舵輪より遅れてサイド・フォースを発生させる後輪。
それが高速度で更に瞬間的にタイムラグが増えて感じられ、ゆえのオーバー・ステアへの怖さも大きいです。
ですが、もっとも怖いのが、視野の狭窄。
視界が狭まるってのは、大きく、二つあります。
人の眼と脳の肉体的な画像処理速度の限界と、意識的なそれの働きです。
高速度の乗り物に乗ると、操縦者の視野には、大量の画像情報が流れ込んできます。
その画像を一枚毎にスキャンして、その操縦の為の有意味の情報を取り出して、判定する大脳皮質へ送ってマス。
これが、乗り物が高速度になり、画像のフレーム・レートが上がってくると、視野全体の画像を、処理できなくなってきます。
で、有意味情報が少ないと思われる、視野の辺縁系から、情報を端折るようになります。
視野が、狭まるんですね。
普通の道が、まるで、トンネルに入った時の様に感じられます。
これは、高速道路みたく、横からのトラフィックが少ない場所では良いですが、脇道の多い一般路では、周りが見えないので、土砂降りの夜のようにとても不安です。
これを解消するのに、にゃあさんは、視界内をぼうっと眺めます。
天体を観測した経験のある人なら知ってると思いますが、点のような星を見るのは、眼の焦点を合わせますが、淡い星雲を見るときには、夜空全体をぼうっと見ると、良く見えます。
これと同じで、意識は鮮明に見える視野の中心部に、あとは、ぼうっと視界全体を眺めておくようにします。
これで、最も重要な進行方向の障害物なんかも見れて、周辺部も、一応観察できます。
また、周りに他車が居ない時に限りますが、超高速で強い横風、なんて時は、車線の白線を跨いで走って下さい。
車線の真中を走って先を見ると、目の錯覚で車線が狭まって見え、心理的に圧迫され車線を逸脱する不安がのしかかってきます。
白線の上なら、絶対に、進行方向が、ブレません。
人には、利き腕、なんてものがあります。
どちらかの手が、他方より、器用に動かせるとか、能力が高いとかです。
じつは、眼、にもあるんです。
ほとんどの人は、意識もしないし、その必要もありません。
ですが、たとえば、銃を撃つ時は、知っておかねばならない重要な事です。
どちらの眼で、照準するか。
むろん、ハンド・ガンでの撃ち合いでも、両目を開けたまま、狙います。
バトル・フィールドでの広い視界を、出来るだけ得るためです。
そして、片方の眼を意識して、エイミングします。
むかしは、銃口にある照星と手前にある照門を合わせて、エイミングしてました。
最新鋭のファイアー・アームでは、ダット・サイトやポイント・レーザーなんて便利なものがあります。
片目で照準しなくても、両目で照射されたダットを標的に合わせるだけ、です。
ですが、腰だめで撃つ場合を除いて、長物は利き眼を使わなければ、弾はあたりません。
銃床を肩に保持して、狙いをつける散弾銃やライフル銃。
昔ながらの、照星や、スコープは、片目でしか照準出来ません。
もちろん、良く見ようとスコープの接眼部に眼を近ずきすぎれば、発射のリコイルで、眼の周りにアザができます。
レンズに正対しなければ、多枚構造の為に、視野がケラれます。
散弾銃では、照門が無いので、常に同じように銃床に頬付けしないと、狙いが安定しません。
銃身の横幅が広い、水平二連銃なんかでは、よけいに狙いが曖昧になります。
これらは、狙う側と、反対の眼を閉じる事で、照準すること自体は、かなり楽になります。
ですが、絶対に、しません。
どんな時でも、銃は、両目を開けて、撃つのが原則です。
心理的相対視野。
片目を瞑ってしまうと、照準する眼にのみ意識が集中してしまう。
これが、怖いから、です。
射撃場でも、猟場でも、戦場でも、常に辺りに気を配らねばなりません。
人は、意識が集中してしまうと、それのみに視野が尖鋭化してしまい、眼に映ってるのに認識していない状況になります。
それを防ぐために、両目を開けて、照準するのです。
ここでも、秘訣は、照準しない他方の眼は、ぼぅっと見ること。
これで、意識に拡がりを、保てます。
ニャンズ達が、いつもぼぅっとしてるのは、奴らが、そんな奥義を人知れず体得していて、素知らぬふりで実践しているから、かもしれません。
いつも寝てるか、寝ぼけているかのニャンズ達、おそるべしです!
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猟野 | 日記
Posted at
2022/01/28 16:44:53